第0話プロローグ 魔女と言われた兵器の末路
最初は残酷な描写多めなプロローグです。心して読んでいただけると嬉しいです。
なぜこうなったのだろう、ただ私は.....。
最初の記憶。それは多くの者にとって、幸せな記憶だろう。そういうものが残るのだから。私の最初の記憶は、幸せとはかけ離れたもの。今なら言える、最悪で胸糞悪い光景だったと。
幼少期の血に染まった小さく弱々しい手、家族と思われる両親と弱者たる赤子の横たわる冷たい体。いつで、なぜそうなったのかも私は何も知らない。
彼女は過酷な戦争を生きる孤児であった。泥を啜り、食を盗み。暴力も血も死体も、全てが日常であった。
ある日、とある軍人が彼女に声をかけた。
「軍に来ないか」
と。この軍人は彼女の目を見て気づいていた。人を殺したことがあることに。殺していながら気力を無くしていないことに。
彼女はその誘いを受けた、生きるための生存戦略として人を殺すことにしたのだ。
軍に入って彼女は魔女と言われるようになる。感情がないように見え、殺すことに抵抗せず、痛みを嫌わなかった。
大きな原因は、彼女に人を殺す才能があったことだろう。殺す才能と言っても多岐にわたるが、彼女は人の動きをあらゆる要素から予測し、確実に致命傷を与え制圧するのだ。
彼女はあらゆる戦場で使われた、殺すための戦の兵器として。時として戦闘人形と言われながら。
やがて彼女は一部隊を預けられ、部下ができる。彼女は最初、無駄の多い意味のない行動をよくする、理解のできない人間でしかなかった。しかし彼女の動かない感情を、揺さぶるようになる者がいた。
その女性の部下は部隊の中でも特に目立ってうるさく、感情表現がとてつも無く多かったのだ。
魔女と言われる彼女に何度も話しかけ、冷たくあしらわれてもしつこく言い寄ってくる。
次第に彼女は部下の考えを理解しようと自ら関わろうとする。
しかし、その先にあるのはどこまでも、戦争の中にある過酷な現実だった。
あの部下は、いわゆるお人好しで、人を殺すことを躊躇っていた。しかしその隙は戦場では致命的である。一瞬でも動きが止まってしまうのだから。今まで関わってこなかった人種だからだろうか、彼女は気づかないうちに、自分でも驚くような感情の変化があった。そうでないと説明できないことが起きた、起きてしまった。
「なんで?」
戦場に水を孕んだような声が落ちる。彼女は部下を庇った、ありえない愚かな行為だと思っていたのに。
彼女は思考を巡らせる、自分でもどうしてそうなったのか、分からなかったのだ。そうすべき理由などなかったはずなのに。
ーただそうしてしまった。考えるより先に体が動いた。なぜ?
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
そうしても利などなかったはずなのに。
「分からない」
心の奥底から滲み出た言葉だった。
「でも、よかった」
何がよかったのかも、分からない。ただ体から力が抜けるような感覚に襲われる。
思考が沈んでいく、力も、感覚も、分からなくなる。ただ思う。
ああ。解放される。やっと終わる、死ねる。
感情を自覚していなくても、慣れていても、人を殺すということは苦痛だったのだ。よくないことだと、受けいられるようなことを、していないことだけは自覚していた。
もし。もし、できるのなら。許されるのであれば。
最後くらい、普通の人のように泣いて、笑えていたらいいのに......。
そう思って彼女は暗闇に身を委ねたのだ。
彼女は後に、いわゆる異世界に転生し、親の愛を知り、感情を知ることになる。
作者の柴波です!いきなり過酷なプロローグで、、こちらが初めて文として書いた作品です、どうか温かい目で読んでもらえたら嬉しいですね。主人公が最初から不幸のどん底に落としてしまっている気がしますが、応援してもらえれば幸いです。




