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83話 もう1つの異世界

「ならドグニイル卿のところに行きますか。ペルロスト案内してくれ」


「はい。こちらです」


ペルロストの後にアーバスとレイラは付いていく。幹部2人は拷問部屋で待機だな。コレックも脅されたこと以外は何も情報を持っていなかったので処遇はペルロストに任せることにした。こっちとしては逆に欲しい情報が得れたしたな。


「みなさんどうかされましたか?」


と、捕虜達が入っているフロアに辿り着くと既に着いていたルーファが話しかけてきた。余裕な様子を見るに今のところドグニイル卿達に動きがないといったところか


「ルーファ、捕虜達の様子は?」


「今のところは動きなしですね。不審な動きをしている人物もいません」


「ありがとう。ルーファも一緒に来てくれ」


「はい。わかりました」


ルーファも加わったとこで本題のドグニイル卿の居る部屋へと移動する。その部屋には初老の魔族が1人だけ収監されており、アーバスが鑑定するとドグニイルの文字が出てきた。看破も使ったが、変身したりして誰かが身代わりになっているということもなさそうだ。


「お前がドグニイル卿か?」


「いかにも。貴様は何者だ?」


「管理人と言えばわかるかな」


アーバスはトゥールの別名で答える。何故裏なのかというとこの魔界と人間界ではルーファ商会を通じて裏の世界を管理しているから一部の人から裏の管理人と呼ばれているのだ。魔界ではペルロストがトゥールのことを管理人と呼んでいることからその言葉の方で定着しているみたいだ。


「そうか、貴様らが管理人か。つまり例の作戦は」


「バレてるぞ。ちなみにパンドラワールドがダミーなのも確認済みだ」


「な゛っ」


作戦がバレたのも想定外なようだが、それよりもパンドラワールドがダミーだったとバレていたのが衝撃だったようだ。パンドラワールドにもうちょっと反対派の人数を集めるべきだったな。そうしたら少しはカモフラージュできただろうに。


「ルーファ、情報を全て引き出せ。手段は問わない」


「わかりました」


ルーファはアーバスから許可をもらうと返事と同時にドグニイル卿の頭を鷲掴みにして情報を抜き取る。パンドラワールドを使ってコレックを卑劣な方法で脅したり、もしもバレても良いように人質をダミーとして使ったのでレイラという慈悲はないからな。


「ルーファどうだ、パンドラワールド以外の異世界の場所はわかりそうか?」


「少々お待ちください。一部の記憶を消失封印しているみたいですので少々お時間をください」


消失封印とは記憶を封印する際に使われるものの一部で、正規の手順で封印を解除しないと記憶が消えて無くなるというものだ。

どうやら記憶を封印して大事な情報を話さないようにするつもりだったようだが、そんなのはルーファには一切通用しない。レイラでも解除することは可能だが、非常に時間がかかるのでその間に時間を稼がれてしまうのが難点だな。


「記憶の抜き取り終わりました」


「早いな。流石だ」


消失封印で少し時間が掛かったようだが、それでも10分かからずに記憶を全て抜き取れたらしい。これがレイラだと2時間は掛かっただろうから流石としか言いようがない。

その代わりにドグニイル卿は虚ろな目をして泡を吹いて倒れているがな。ルーファによって記憶と脳を破壊されただろうからもう記憶を抜き取るのも無理だけどな。


「アーバス様、重要なのはこちらへ纏めておきました」


「拝見するぞ」


アーバスはルーファから1冊のノートを受け取る。先程の情報を文字にしてくれたやつだな。

やはり別に異世界があったらしく、ドグニイル卿の部下を始めとした反ペルロスト派はそこに固まって逃げたようだった。ちなみに他の異世界はそこしかないらしい。その資料によると重要な情報を持ってそうな奴が2人捕虜で捕まってここにいるそうだ。そっちはレイラに任せるかな。


「ルーファ、その2人の場所はわかるか?連れて行くぞ」


「はい」


ルーファは返事をすると、捕虜の中からその2人を見つけると、転移を使ってその2人を連れてきたのである。アーバスはルーファに監視を頼むとその2人を連れてペルロストと一緒に尋問部屋へと戻る。尋問室に戻ると側近2人共待っていていたようで、変化とかも特段見られなかった。  


「レイラ、始めてくれ」


「了解であります」


レイラはそういうと順番に尋問を開始する。尋問の理由は主にドグニイル卿の情報とあっているかどうかだな。ドグニイル卿も結構な年なこともあるが、ドグニイル卿だけ騙されていることなんてのもあり得るから念には念をといった形だ。ちなみにもう一つの異世界は既に確認済みで、アーバスが現在住んでいる者達の情報を確認中だ。

ここも善良な一般市民や人質だったりしたら最悪だからな。ちなみにここの異世界も入る場所が1箇所しかないので入口さえ塞いだら後はやりたい放題だ。


「レイラ、消失封印はどうだ?」


「無いようであります。直ぐに情報を収集出来るかと思うであります」


「了解した。こっちももう少しで確認が済みそうだ」


異世界の方を確認しているが、ペルロストから聞いていた反ペルロスト派の幹部達が全員いるのでここが本命で間違いないだろう。一応人質が居ないか確認したが牢屋みたいのは特になく、ペルロストに友好的な人物は居ないとみていいだろう。


「終わったであります。やはり先程の聞いた異世界が避難用の異世界で間違い無いようであります。この方たちはセキュリティスペースと呼んでいるそうでありますね」


「こっちも確認した。重要人物は全員そのセキュリティスペースにいるようだ」


セキュリティスペースか。恐らく消失封印で隠して完璧に場所がバレないと思ってそう名付けたそうだ。ドグニイル卿が捕まるのは想定内だっただろうが、消失封印が掛かっていない人物が捕まるのと消失封印が突破されるのは想定していないと捉えていいだろう。現にセキュリティスペースでは何の動きもないしな。


「ペルロスト。捕虜のいるところにはルーファだけだな」


「はい。その通りです」


「ルーファ」


「はい。なんでしょう」


「もうそいつらは用済みだから全員好きにしてくれ」


「わかりました」


ペルロストに人払いが済んでいることを確認するとアーバスはルーファに実行の通信を行う。ルーファは事務的な返事であったが、嬉しいのか声が少し高くなっているような気がした。


「ペルロスト。ルーファが帰って来るまではこの部屋から出ないように。そこの2人もだぞ」


「は、はい」


牢屋からここまで精神汚染の対策や瘴気などの対策をされていたが、ルーファだとそれすら貫通してしまうからな。この部屋は1番牢屋に近いこともあってアーバスが障壁を展開しておかないとこの部屋にもルーファの瘴気と精神汚染が蔓延してペルロストとその配下が消えてしまいかねないからな。

幸いにもこの牢屋の近辺にある階層にはペルロストが立ち入り禁止令を出したことにより誰もいないのでペルロスト派の人間が巻き込まれるということはなさそうだった。

 

「それで、アーバス様。状況はどのようで?」


「ルーファのことか?それとも反対勢力のことか?」


「反対勢力のことでございます」


ペルロストはそこまでわかっていなかったようなのでアーバスが説明をする。レイラは優秀だが、言葉で説明するのは少し苦手だからな。


「2箇所の異世界ですか?それはどう対処するおつもりで?」


「1つはペルロストに任せる。恐らく人質達しかいないから問題ないだろう」


パンドラワールドの方はペルロスト達に対処することをお願いする。まだ転移陣の移動先を操作していないが、この場所とパンドラワールドを繋げて帰還を促すつもりだ。


「もう1つはやはりルーファ様ですか?」


「あぁ。喧嘩を買うのがトゥールの鉄則なんでな」


商売にしろ戦争にしても売られた喧嘩は買うし、相手を潰すまでやるようにしているからな。今回は相手が魔界とはいえそれも関係ないしな。  


「何故、そこまで徹底的にやられるのですか?主犯格され消せればそれでいいのでは?」


「甘いなペルロスト。やる時は徹底的にやれ。じゃないと足元を掬われるぞ」


確かに主犯格だけ倒せば目的はほぼ達成したといっていいだろう。ただ、それだけで反対勢力を完全に消すことは無理なのだ。その時はそれで良いのだが、いずれはまた勢力を整えて反抗してくるのだ。

それならいっそ徹底的に潰してしまえば反抗するのにも時間がかかるし、反対勢力自体が一旦は完全に消滅するらかな。本当には反対勢力になった時点で潰しておきたかったが、ペルロストの力量てまはどうすることも出来なかったのだろう。


「アーバス様、お待たせしました」


「おかえりルーファ。後はメインディッシュだけだ」


反抗勢力はセキュリティスペースだけだ。既に細工もしているし残りはルーファを投入するだけで作戦は終了だ。


「わかりました。今から行ってもいいですか?」


「あぁ、座標を送るからそこてで存分に暴れてくれ」


「ありがとうございます。それでは行ってきます」


と、ルーファはセキュリティスペースへと転移していくのだった。

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