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夏祭り  作者: 髙橋あきら
9/24

夏祭り 9

 イズマと2人、沢山の"人だったもの"がごった返す通りを早くもなく遅くもない速度で手を繋いで歩く。

 恋人でもなければ、親子でも、きょうだいでもない。親子にしては外見年齢高すぎるし、きょうだいでもこのぐらいの年頃で異性だと特異な状況下じゃないかぎり手は繋がない。


 よくよく考えれば、今まで迷い込んだヒトを助けるために老若男女かまわず手を繋いできたってことだよね。

 やってきた老若男女とイズマは普通に繋ごうとするだろうけど、戸惑う人も多かったのではないだろうか。あと危ないところを救ってくれる綺麗な顔した男の子であるイズマを好きになっちゃった人もいたんじゃない?

 こんな状況でどうなんだって叩かれそうだけど、気になっちゃった。

 いやいや、違うのよ、恐怖心を忘れるためのいっときの逃避行みたいなもんよ。


「サヨ、何か考えごと?やっぱりこんなことなって不安でいっぱいだよね。」


 ……さっきのあたし、バカ。

 イズマったらすごく心配してくれてるじゃん。それなのに、そんなイズマで妄想ちゃって、とんでもない奴だよあたしは。


「そういうんじゃないよ、大丈夫。」


 右手でピースをすると、イズマはそれ以上深掘りしなかった。


 行き交うひとたちを見ていると、普通の夏祭り同様友だちといたり、親子でいたり、カップルで連れ添っていたりする。

 これだけ見てると、普通の夏祭りなんだよね。


「ねねね、例えばあっちにいる親子って親子でここに迷い込んだの?」


 あたしは1人で迷い込んだけど、複数で迷い込んだ現象もあったのではないだろうか。そうしてそのままここに留まることになったひとたちもいるんじゃないのか。

 そんなあたしの疑問に、イズマは小さく首を振った。


「ここは1人でしか来ることができない。だからここで見えるものは、本来の関係性ではないんだよ。」


 つまり、あの親子は本来は親子ではなく、別々にやってきた無関係のひとたちだと。


「ああしてるのは、夏祭りの雰囲気を作るためだよ。あとは徒党を組んだ方がやりやすいっていうこともある。」

「徒党を組むって、なんか悪党感凄いね。」

「実際、ヒトを狙ってるしね。ただし、ヒトの体1つにつきあれらも1つしか入れないから、最終的には争うよ。あの関係は打算的で暫定的なものだ。」


 見た目あんなに小さな女の子なのに、中身が中身だから悪巧みしてるのか。

 あの子に限らず、みんなにこにこしてるのに、腹の中では周りをいかに蹴落としてヒトを手に入れるかって考えてるのか。

 ほんと見た目だけじゃわかんない。まあそれは、人間も一緒だけども。


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