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憧れのスカート  作者: 赤坂秀一
第九章 高校生最後の年
45/52

45 最後の文化祭

お待たせしました45話を更新しました!

今回は最後の文化祭です。その前に恵美子ちゃんが……


 インターハイで匠君(たくみくん)久美(くみ)が個人ではありますが全国大会へ行く事になったとメールがありました。八月の下旬に大阪で行われるので、あの二人は引退が延長になったみたいです。メールでは『大阪に行ってくるね! なんだか修学旅行みたい』と久美は旅行気分です。でも、匠君は『受験勉強がまた遅れる』と受験を心配してるみたいだったので『参考書を持って行ったら』と返信しました。


飛鳥(あすか)、ISSの観測表はこっちに掲示して、瑞稀(みずき)、星座の観測表はその隣にね!」

 私達も文化祭の準備でバタバタです。本番はいよいよ明日です。

「あの、先輩方、それと一年生もちょっと良いですか?」

 悠香(ゆうか)ちゃんがそう呼び掛けます。何かあったのかな? すると恵美子(えみこ)ちゃんはなんだか困ったように「無理無理!」と言っています。どうしたんだろう?

「恵美子、いつまでそうしてるつもり」

 悠香ちゃんがそんな事を…… そこで恵美子ちゃんは少し俯きながら小さな声で……

「私、二年の終業式が終わったら転校します」

 うん、やっと話す気になったのね、私はそう思いました。私自身は最近ですけど知っていましたからね! しかし、周りは……

「いつ決まったの?」

「どこに転校するの?」

「卒業まではこっちにいる事は出来ないの?」

 玲華(れいか)や瑞稀、北野(きたの)さんからも質問攻めにあっています。

「飛鳥は知っていたの?」

 私にも玲華から訊かれてしまいました。

「私は…… 最近、恵美子ちゃんの様子が可笑しかったのと、大学病院に行くときにたまたま恵美子ちゃんに会って国際交流センターのバス停で降りた恵美子ちゃんに不審に思い、訊いたら転校するって聞いて……」

 玲華にそう説明したら……

「それでかなり落ち込んだんですよね!」

 恵美子ちゃんは照れ隠しなのか少しおちゃらけてそう言います。

「そりゃ落ち込むよ! 飛鳥はね、恵美子ちゃんの事が大好きなんだから」

 瑞稀がそんな事を……

「瑞稀、もう良いから」

「でも……」

「もう、良いよ……」

 話によると今年の一月冬休み明けには判っていたらしいです。今思えば、なんだか恵美子ちゃんの様子が時折可笑しい時があったんだけど。

「恵美子ちゃんは、半年くらい前からずっとひとりで悩んでいたんだよね! ごめんね、気付いてあげれなくて……」

 私がそう言うと恵美子ちゃんは瞳に涙をいっぱい浮かべて今にも溢れ落ちそうです。

「飛鳥さん、そんな事言わないで……」

 そう言って彼女は化学室を飛び出して行きました。

「飛鳥、早く追いかけないと」

 北野さんの言葉に私は……

「うん」

 そう返事をして急いで恵美子ちゃんを追い掛けました。彼女は新校舎へ行く中央廊下の外でしゃがみ込んで泣いていました。

「恵美子ちゃん!」

 私がそっと後ろから彼女を抱き寄せると彼女は一瞬ビクッとしていました。

「飛鳥さん……」

 彼女はヒック、ヒック言いながら泣いています。

「うん、みんなのところに戻ろう」

 彼女は私の方へ向き直り、またわたしの胸で泣いています。私は恵美子ちゃんの背中を撫りますけど、なかなか泣き止んでくれません。そこで彼女の顔をあげ、私は恵美子ちゃんの唇にそっと口づけました。すると、ちょっと驚いたような顔をしてますが、またそのまま抱きついて来ました。

「飛鳥さん……」

 恵美子ちゃんは少しですけど元気が出たのか瞳を濡らしたまま微笑んでくれました。

 その後、私はもう一度「戻ろう」と声を掛け彼女と二人で化学室へ戻りました。化学室へ戻ると涙に濡れた恵美子ちゃんを瑞稀が見て……

「いつでもスマイルしようね、とんでもないことが起きてもさぁ……」

 そう歌います。

「とんでもない事を言うのは恵美子だけどね!」

 そう言うのは悠香ちゃんです。

「もう、何よそれ!」

 恵美子ちゃんも反論していますが……

「可愛くスマイルしててね……」

 笑顔の私を見た恵美子ちゃんは……

「もう、飛鳥さんまで」

「ねえ、笑ってくれよ君は悪くないよ……」

 玲華や北野さんまでが歌っています。一年生はみんな笑顔で見ています。そして、恵美子ちゃんは少しだけ元気になった様です。


 翌日、予定通り文化祭が始まりました。私と恵美子ちゃんは最後の文化祭です。

 今年の化学部は例年通り手作り石鹸の販売です。宇宙観測班は、掲示物のみなので二人くらい交代でスタッフが必要ですが、手作り石鹸の販売員も交代で必要なので今回は全員で交代して販売します。私は恵美子ちゃんと二人で、まずは宇宙観測班のスタッフをします。手作り石鹸の販売は北野さんと黒鉄(くろがね)君と珠里(じゅり)ちゃんです。その後、交代で私と恵美子ちゃんは手作り石鹸の販売をします。とにかく一年生にもやってもらわないといけないですから…… まずは私達がお手本を……

「飛鳥、恵美子ちゃんはもう大丈夫なの? この間と昨日の一件で私はあまり話せて無いんだけど……」

「瑞稀も? 私もなんだか避けられてるような感じがするけど」

 玲華も瑞稀も考え過ぎだと思うけど……

「前からすると元々の元気な恵美子ちゃんに戻ったと思うけど」

 私はそう言いましたが…… 玲華達はそう思えない様です。すると、その恵美子ちゃんが私達の側に来ました。

「飛鳥さん一緒にクレープを食べに行きませんか? 玲華先輩も瑞稀先輩も」

 恵美子ちゃんがそう声を掛けます。

「ほらね!」

 私がそう言うと瑞稀も玲華も首を傾げていますけど…… それを見て恵美子ちゃんも小首を傾げています。

「私のクラスがクレープを焼いているんですけど一緒に行きませんか」

 そういう事で交代の合間を見て四人で恵美子ちゃんのクラスへ行くと大盛況です。ほとんどは女子で男子はその付き添いなのか疎らに数人います。

「恵美子は、化学部の方はいいの?」

 クラスメートが恵美子ちゃんに訊いています。

「うん、今は空き時間だから、それにしても大盛況だね!」

「うん、おかげでね」

 私達はそろってチョコバナナクレープを食べていると……

「恵美子も来てたんだ」

 悠香ちゃんがいました。

「悠香、もうすぐ時間じゃないの?」

「うん、だから持ち帰りなの! それじゃね」

 悠香ちゃんはそう言うと、そそくさと行ってしまいました。どうしてもクレープを食べたかったんだろうね! 私達もその後、化学部へ戻ると美彩先生(みさせんせい)が来ていました。

「先生、来てくれてありがとうございます」

「うん、私も天体観測は好きだからね、でも綺麗にまとめたね」

 美彩先生は感心しながら微笑みます。

「はい、恵美子ちゃんが頑張ってくれましたから」

 私がそう言うとその横で恵美子ちゃんは勝ち誇った顔をしています。そんな恵美子ちゃんの頭を美彩先生が撫でています。恵美子ちゃんも頭を撫でられちょっとご満悦です。

「本当の事を言うと悠香ちゃんと一緒に描いたんです。ISSの方は飛鳥さんと一年生にお願いしました」

 恵美子ちゃんは笑顔でそう言っています。

「そうね、みんなでやらないとね」

 美彩先生も笑顔です。

「あっ、飛鳥さんそのまま……」

 美彩先生が私の口元を指で触ります。えっ! なに?

「あっ、生クリームか!」

 美彩先生はそれをペロッとなめます。それを見て私はちょっと恥ずかしくなりました。

「何を食べたのかな?」

 それとなく美彩先生が訊きます。

「クレープですよ! 私のクラスでクレープを焼いているんです」

 恵美子ちゃんがそう説明します。

「そう、それじゃあとで行ってみようかしら」

 美彩先生も好きだね!

「美彩先生、上杉先生(うえすぎせんせい)は来るんですか?」

「ええ、あとで来るって言ってたけどね、一度大学に行ってくるって言ってたけど」

 私の問いに美彩先生はそう答えてくれました。


 お昼を過ぎたくらいに私のクラスの喫茶で食事をしていると悠香ちゃんが来ました。

「飛鳥先輩、お客さんですよ」

 悠香ちゃんは呼びに来てくれたのです。

「ありがとう、すぐに戻るから」

 そう言って私もすぐに化学室へ戻ると上杉先生が待っていました。

「飛鳥君、食事中に、すまなかったね、僕は待つからあとででも良いと言ったんだけどね」

「あっ、いえ、丁度食べ終わったところでしたから」

「それじゃ、ちょっといいかな」

 上杉先生は私を連れて中庭の方へ……

「先生、どうかしたんですか?」

「美彩から聞いたんだけど恵美子ちゃん留学するんだって?」

「はい」

「飛鳥君は大丈夫かい?」

 私はちょっと微笑んで「はい」と返事をしました。どうやら私の事を心配してくださった様でした。

「それなら良いんだけど、君は受験生でもあるからね、何かあったらすぐに連絡してね! クリニックに来てくれても良いからね」

 そう言って私達は化学室へ戻りました。なんだか上杉先生は一年生から不審そうに見られています。変な勘違いをされていないといいですけどね。

「あっ、それとこれ、精神安定剤、ごく弱い物だけど一応お守り代わりにね」

 上杉先生は心配して準備してくれたみたいです。

「これって、プラセボですか?」

 上杉先生はちょっと微笑んでくれるだけでした。まあ、お守りですね!

「上杉先生、来てたんですね」

「ああ、玲華ちゃん、部長になったんだって」

「はい、もう秋には引退ですけど…… ところで何かありましたか?」

「どうしてだい?」

「一年生が男の人が飛鳥を中庭に連れて行ったって……」

 上杉先生は苦笑しながら……

「それは、たぶん僕のことだね、ちょっとここでは話しにくい事だったから」

「そうだったんですね」

 それにしても変に思われ玲華にまで話がいっていたとは一年生の連携が取れていると考えて良いのかな……

 その後、甲斐先輩(かいせんぱい)関先輩(せきせんぱい)も来てくれました。嬉しそうに玲華と瑞稀は先輩達と話をしています。

「流石に、シャボン玉はしてないよね」

 甲斐先輩はちょっと淋しそうでしたが、あれは甲斐先輩のオリジナルでしたからね!

 こうして最後の文化祭は楽しく終わりました。

恵美子ちゃんの転校の話をきちんと話す事が出来ました。あとは今年の一年が思い出に残る一年になれば良いですけど…… 飛鳥達は受験生ですからね!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 早くももう最後の文化祭ですね。 二人は良い想い出を残せたでしょうか…。 離れても心の支えになるような事が残っていれば、と思いますね。 今後もどうなっていくか、楽しみのような怖いようなです。…
2021/02/14 11:15 退会済み
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