23 班長推薦と事件です!
お待たせしました。23話を更新しました。夏休みも終わり、前期も終盤です。もうすぐ期末試験が始まります。
夏休みが終わり今日から学校が始まります。恵美子ちゃんは今日から修学旅行です。三泊四日で広島、島根、鳥取へ行くそうです。お土産も買って来るからという事で、もみじ饅頭をお願いしました。そういえば私も行ったな! 匠君や玲奈、久美はどうしているかな。などと考えていたら学校に到着です。
「おはよう」
「おはよう、飛鳥」
早速、玲華と瑞稀に囲まれました。
「なに、どうかしたの?」
「あの後、恵美子ちゃんとどうしたの?」
玲華がまず訊いて来ます。
「あの後は城南駅まで戻って、カフェでお茶してから帰ったよ」
「あれからどこか行かなかったの?」
「行かないよ! 恵美子ちゃんはまだ中学生だよ早く帰さないと」
「そっか! そうだよね」
玲華も瑞稀もなにを期待していたのか!
「それより玲華はどうだったの?」
玲華は少し頬を赤く染めて「私は班長と一條駅で夕食を食べてからその後、家まで送ってもらったけど」と俯きながら話してくれました。甲斐先輩は玲華のお屋敷を見たんだ。
「瑞稀は?」
「私は常盤駅で関君と一緒に食事をしてから城南駅には七時くらいには帰って来たよ」
「なんだ、特別な進展はなかったのね」
玲華がそう言います。みんな充実した一日だったようね! でも花火の件は黙ってようかな……
「恵美子ちゃんはまだ夏休みなんでしょう?」
「うん、そうだけど」
「今日も逢うの?」
瑞稀は期待し過ぎだよ。
「残念ながら恵美子ちゃんは今日から修学旅行なの四日間は帰って来ないよ」
「なんだ! そうなの」
「それに、今日から部活もあるんだからね! 来年の文化祭に向けてバイオディーゼルを少しずつ作らないと……」
瑞稀も玲華もちょっと残念そうですが、偶にはあなた達と彼の状況も教えてもらいたいものだわ! とそう思っていると先生が来ました。急いで彼女達は自分の席に戻ります。そして、授業が始まりました。
放課後、今日から部活も再開です。その日私は甲斐先輩に呼ばれました。班長とは一度二人きりになった事を思い出して躊躇しましたが、そこには青山部長の姿もありました。
「あの、どうかしたんですか?」
「…… うん……」
なかなか甲斐班長が言えないでいるので青山部長から話がありました。
「今村さん、急で悪いんだけど後期からバイオディーゼル班の班長をして欲しいんだけど……」
私はちょっと驚きました。この話は来年くらいにあるだろうと思っていたからです。
「あの…… 甲斐先輩は?」
部長はひとつ溜息を吐いてから……
「私はね、掛け持ちでも良いからねって言ったのよ! 実際に私は部長とバブル班の班長を掛け持ちでしてたからね」
えっ! それじゃ次期部長ってことなのかなあ!?
「悪いけど…… そういうことだからお願い出来るかな……」
私は元々この話はあることだと思っていたので…… それを一方的に甲斐先輩にお願いしていた訳だから……
「解りました。本来なら私が始めた事なので最初からやるべき事だったと思いますので」
「良かった! ありがとう。それじゃ十月からよろしくな!」
甲斐先輩は少し楽になったのかちょっとだけ笑顔です。そういう事で、私はバイオディーゼル班の班長に就任する事になりました。
その後、私が教室に戻ると玲華が心配そうに私の側に来ました。
「班長、なんだって?」
「うん、後期から班長をして欲しいんだって」
「なにそれ! 甲斐君はどうなるの?」
甲斐君?
「詳しくは解らないけど…… たぶん部長になるんじゃないかな? 青山部長も一緒だったし」
玲華は何となく機嫌が悪くなったみたいです。
「どうしてそういう大事な事を黙っているかな?」
玲華はそう言うと二年生の教室へ走って行ってしまいました。
「ちょっと玲華、もうすぐ部活だって!」
私は仕方がないので、一人で化学室へ行きました。そこには瑞稀が先に来ていました。
「あれ、玲華は?」
「わからない……」
「一緒じゃなかったの?」
「途中までね」
そして私達は、バイオディーゼルを作る準備をしていると玲華が遅れてやって来ました。
「玲華遅かったね、どうしたの?」
瑞稀が尋ねています。しかし玲華は返事もしません。やっぱり機嫌が悪そうです。甲斐先輩はまだ青山部長や長野副部長と化学準備室にいるみたいですけど……
「それじゃ、始めようか! メガネとマスクお願いね」
私達は久々にエステル交換反応をしてバイオディーゼルを作ります。ちょっと久々で不安だったけど身体が覚えているのか意外とスムーズに出来ました。
「あとは明日だね」
私がそう言うと……
「うん、だぶん成功してると思うけど、やっぱり緊張するわね」
玲華の機嫌は少しは良くなったみたい! でもちょっと不安そうです。
「あれだけ最初は失敗したもんね」
瑞稀も不安は隠せないようです。
その時、化学準備室から青山部長と長野副部長、甲斐先輩が出て来ました。玲華は一番に甲斐先輩の元へ行きました。
「どうして教えてくれなかったの?」
「ごめん、部活が終わってからで良いかな……」
「…… 分かった……」
そう一言だけ言って甲斐先輩は化学室を出て行きました。玲華はちょっと淋しそうだけど仕方ないよね、みんながいるところで色々話せないだろうし。
部活が終わり、私は瑞稀と帰る事にしました。
「あれ、関先輩は?」
瑞稀はちょっと不満そうに溜息を吐きます。
「今日は城北川の鉄橋に行ってるよ」
「何してるの?」
「部活! 鉄橋を渡る電車の写真を撮るんだって」
「ふーん、放課後に写真を撮りに行くんだね」
「そりゃそうよ、写真部だもん! それに一回撮りに行ったら、なかなか帰って来ないからね今日も九時か十時位にならないと家にいないと思う」
「そんなに遅くまで!」
私は驚いてしまいました。
「うん、そうなんだよね、あっ、そうだ! この間の遊園地の写真」
瑞稀から封筒を二通渡されました。
「二つ?」
「うん、ひとつは恵美子ちゃんの分」
私は自分の分の封を開け中身を見てみました。
「かなり撮ってたんだね! ジェットコースターの写真全然ブレてないね!」
「うん! 何だっけかな…… 被写界深度とかを調節するとシャッタースピードを速くしたり遅くしたり出来るらしいの」
「凄いね!」
「それにわざとボケを作ったりも出来るんだって!」
「瑞稀を作るの?」
瑞稀は怪訝そうに「私はボケていません!」と言うと二人で笑ってしまいました。
「あ、そういえば、匠君から文化祭のお誘いのメールが来てたよ」
「えっ! そうなの? あ、あった! 本当だ」
「この時期なら丁度秋休みだね! 恵美子ちゃんも誘うでしょう」
「うん、でも迷惑じゃないかな」
私は彼女の受験のことをやっぱり考えてしまいます。
「偶には息抜きも必要だって、それに私達より成績優秀なんでしょう」
「そうだけど…… 甘く見てると私達の所為で失敗したなんて事になると困るでしょうそれが怖いんだよ」
ただでさえ彼女は私の側に少しでも居たいみたいだから…… まあ、私もそうなんだけれど…… そう言って私は瑞稀と別れました。
私は期末試験が近いこともあって北条クリニックへ行きました。
「あっ! 飛鳥さんだよね」
えっ! 誰、看護師さんに声を掛けられました。
「私のこと忘れちゃったかな、前に点滴をしてあげた……」
「あっ! 確か華奈代さん」
「そう、久しぶりね! 綺麗になっちゃって」
「えっ! そ、そんなことないですよ」
取り敢えず謙遜しておきます。
「診察するの?」
「あ、いえ、勉強を教えてもらうために」
「そう、もう少し待っててね! 患者さんがひとり中に居るから」
私が待合室に居ると患者さんと美彩先生が出て来ました。
「良いい! 勉強も大事だけどもう少し身体を労らないと受験どころじゃないわよ」
「はい、すみません!」
何と無く、何処かで聞いたことのあるような声……
「あら、飛鳥さん期末試験だっけ!
「はい」
「あ、飛鳥さんだ!」
透かさず私は恵美子ちゃんに抱きつかれました。
「え! これってどういうこと?」
そりゃ、初めて見る人はびっくりするよね!
「飛鳥さん、知ってる娘なの?」
「はい、後輩です」
「彼女でーす」
え、恵美子ちゃんそれはちょっと…… 美彩先生も苦笑しています。
「それじゃ、飛鳥さんは取り敢えずリビングへ、恵美子ちゃんはお家に帰りなさい」
「でも、勉強なら私も一緒が良いです」
美彩先生は困った表情です。
「風邪気味なんでしょう? それに明日から修学旅行よね!」
「大丈夫です」
「美彩先生、すみませんが彼女も一緒に良いですか?」
美彩先生はひとつ溜息を吐いてから「しょうがないわね! 無理しちゃ駄目よ」と仕方なく許可されました。
「やった!」
「恵美子ちゃん風邪なの?」
「ちょっと鼻水が出てたから病院に」
「だけじゃないでしょう! 喉に炎症だってあるんだから」
美彩先生は呆れたように言いました。
「恵美子ちゃん今日から修学旅行じゃなかったの?」
「いえ、違いますよ! 明日からですよ」
私は勘違いしてたようです。
「先生、久美も来ますか?」
「さあ、彼女最近部活で忙しそうだし、中間試験も十月だしね」
「そうですか……」
私の残念そうな仕草を見て「どうかしたの?」と美彩先生から訊かれました。しかし、風邪気味の恵美子ちゃんがいるから文化祭の事は伏せといた方が良いですね。言えば絶対に行くって言いそうだから…… まだ先の話ではあるんだけれど……
「いえ、何でもないです」
そう答えていた方が良いかな!
そして、美彩先生の期末試験模試が配られます。
「先生の予想って大体あたりますよね!」
「当然でしょう! 私は先生よ」
「いや、病院の先生であって、学校の先生じゃないから……」
「似たようなものよ」
美彩先生は相変わらず天然です。
「ただいま!」
「お帰りなさい、秀一さん」
上杉先生です。先生は私の方を見て「飛鳥君いらっしゃい! あれ、その娘は……」
「飛鳥さんの後輩ですって」
「彼女でーす」
私は溜息を吐きました。
「あ! そうか文化祭で一緒だったよね」
「はい」
私はちょっと、冷や冷やものです。
「飛鳥君、その後問題無いかな? 何かあるなら後で聞くからね」
「はい、有難うございます」
そう言って模試に取り込む私です。
「先生、この問題簡単じゃないですか?」
「そうかな? 中三の二学期の問題をピックアップしたんだけど?」
そして、恵美子ちゃんは自分のノートを先生に見せています。
「これって結構難しい問題をしてるのね!」
「これくらいやらないと学年トップは狙えませんから」
恵美子ちゃん、それは嫌味にしか聞こえないから…… 私はそう思いながら模試の問題に苦戦しています。
模試も終わり上杉先生のところへ。
「上杉先生!」
「うん、どうかな恐怖症は?」
「最近、そういう状況になることがないので…… でも今日、部活で先輩から呼び出しがあった時は緊張しました」
「それで?」
「一緒に部長さんもいらしたので……」
「そうか! 彼女とはどうかな?」
「一緒にいると心地良いです」
「彼女の方は男子には興味ないの?」
「何故か男子にはときめかないそうです」
「そうか、彼女はLGBTなのかなあ? また何かあったら相談に乗るからね」
「はい、有難うございます」
そう言って恵美子ちゃんの側へ行き瑞稀から預かった封筒を渡します。
「なんですか?」
「この間の写真だって」
恵美子ちゃんは封を開けて中身を取り出します。
「ああ、凄いジェットコースターの写真全然ブレてない」
「ねえ、凄いよね! 写真を撮るテクニックがあるんだって」
「これアルバムに入れないと無くしそうですね」
「うん、でもカメラ店に行けば写真をデータ化出来るみたいだよ」
私はそんなことを話しながら勉強を終えクリニックを恵美子ちゃんと一緒に出ました。
「一人で帰れる、大丈夫?」
「はい」
「じゃあね!」
「飛鳥さん!」
彼女はそう言ってまた私に抱きついて来ます。
「恵美子ちゃん?」
彼女は潤んだ瞳で私のことを見つめ顔を近づけたかと思うと一瞬だったけど私は彼女に唇を奪われてしまいました。
「ちょっと恵美子ちゃん! なにやってるの?」
私はびっくりしながら顔を真っ赤に染め一応怒った振りをしますが彼女は笑顔で手を振りながら家に帰って行きました。恵美子ちゃんの柔らかい艶やかな唇が軽く私の唇に触れたその瞬間、私の頭は真っ白になりましたが、とてもときめいてしまいました。
恵美子ちゃんはやってくれますね! ただ、ちょっとやり過ぎなところもあるけれど、飛鳥はそこにときときめいてしまう様子。まあ、好きな娘がここまで積極的だと嬉しいけどちょっと心配です。




