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憧れのスカート  作者: 赤坂秀一
第三章 女子高生です
11/52

11 クラブ活動

化学部に入部した飛鳥と瑞稀ですが、そこには如月玲華の姿もありました。


 結局、私と瑞稀(みずき)は化学部に入部しました。しかし、そこには如月玲華(きさらぎれいか)の姿もありました。

「あなた達も化学部にしたの?」

「うん」

「あなた達は、てっきり自転車部に入部したと思ったのに……」

 自転車部に見学に行ったことなんで知ってるんだろう?

「見学には行ったけど毎日三十キロ走るなんて到底無理だから」

 そう言ったとき、部長の青山香代(あおやまかよ)から召集が掛かった。

「はい、新入部員は集まって!」

 私達を含めた新入部員六人が集まりました。

「それじゃ三人ずつに分かれて」

 私は瑞稀と如月の三人になりました。

「あなた達にはこの物質が何か調べて欲しいの。使う物はビーカー、棒温度計、スプーン、スポイドと少量の水だけね」

 この物質を見て、私は見た目で石灰じゃないかと思いました。

「部長、これって石灰ですよね」

 青山部長は想定内の質問が来たとニヤッと微笑んだ。

「その根拠は?」

 そう訊かれて私はハッとしました。

「証明します」

 そう言って私はまず棒温度計で水の温度を見ました。十五度くらいです。そして、石灰と思われる物質をビーカーに入れ、そこに水を注ぎます。するとブクブクと気泡が出てきました。温度を測ると四十度を超え更に上昇しています。

「部長、これが根拠です。石灰に水を入れると化学変化が起きて熱が発生します」

「正解です。どうやら化学部の部員として期待出来そうね」

「飛鳥凄い、流石理科が得意なだけあるね」

 瑞稀はそう言ってくれたけど……

「そんなの誰だって知ってるわ」

 相変わらず如月は手厳しい。

「如月さん、知ってるだけじゃ駄目なのよ。ちゃんと証明出来ないと、それが化学なの」

 そして、クラブ活動は終わりました。

「結構楽しかったね」

「うん、でも週一しか活動しないなんてね……」

「でも、何か研究をすれば毎日活動出来るんじゃない。文化祭では研究発表もするって言ってたし」

「そうだっけ」

 如月は顔をしかめながら「今村さん、何も聞いてなかったの?」と指摘を受けた。

「う、うん……」

「今村さんは毎日クラブ活動をしたいの?」

 如月はもう一度私に訊きました。

「だって楽しいじゃない。私、理科は大好きだから」

「本当、飛鳥は実験とか生物観察とか好きだもんね」

 瑞稀が頷きながら言った。

「あれ! 如月さん私のこと名前で呼んでくれた」

「え! それがどうかしたの?」

 如月は、ちょっと恥ずかしそうにしています。

「そう言えばいつも、あなた達は…… とか言ってたもんね」

「如月さん、私のことは飛鳥でいいよ。みんなそう呼んでるから」

「じゃあ私は、瑞稀だね」

 完全に調子が狂った如月は少し顔を赤らめて「分かった分かった、私のことは玲華でいいわ」そう言うと半分呆れたように手を振って帰ってしまった。

「ねえ、それにしても何の研究をする?」

「そこなんだよね……」

 研究をしようと言ったものの何をして良いのか分かりませんでした。私が言い出した事なのに……


 家に帰ると姉がいた。

「お姉ちゃん大学は?」

「今日の講義は二時間だけだったから」

「それじゃ、十一時くらいには終わったの?」

「え! なんでそうなるのよ」

「だって、九時くらいに始まって二時間の授業なんでしょ……」

 姉はニコニコ笑いながら「あっ、そうか! 大学の講義は高校と違って一時限が九十分あるの、だから二時限だとお昼頃に終わるのよ、ちなみに四時限だと終わるのは四時半くらいになるの」

「そうなんだ」

 大学は高校と違って勉強もだけれどいろいろ楽しいこともあるんだと思いました。

「ところで、学校は楽しい?」

「うん、楽しいよ」

「GIDは隠してるの?」

「ううん、先生達はみんな知ってる」

「生徒は?」

「うちのクラスはみんな知ってるはずだけど」

 でも、玲華は知らなかったようだけど……

「いじめられたりしてない?」

「してないよ。どうしたの?」

「うん、ちょっと気になったから」

 姉は陰ながら私のことを心配してくれてるようだ。

「でも、普通科なのに教科が増えて国語と数学と英語が二教科ずつになった」

「それは仕方がないよ進学校だし二年になったら理系と文系のどちらかを選択しなきゃいけないんじゃない」

「そうなんだ、私は勿論理系だけど」

 姉はそんな私の顔を見て「飛鳥は将来何になりたいの?」と訊いてきた。

「私、医師になりたいの!」

 姉はビックリしていました。

「北山の医学部に行くの?」

「うん、そのつもりだけど…… ひょっとしたら私立になるかも知れないけど」

「医学部って学費とか凄いんじゃない?」

「あ、それは大丈夫。地域医療枠の推薦で行くから」

「それって奨学金制度だよね」

「うん」

「どれくらい出してもらえるの?」

「全部だよ」

「全部!?」

 姉はさらにビックリしていた。

「医学部の学費六年間分全部負担してもらえるの」

 私は自慢気に話した。

「返さなくていいの?」

「うん、その代わり自治体が指定する病院で九年間医療に従事しなければいけないんだけどね」

 姉は厳しい表情で「もしかして僻地医療?」と訊いた。

「そういうところもあるみたいだけどいきなりは無理だよ。研修だってあるんだから」

 私がそう言うと話はそこで終わった。


 その日の夕方、珍しく祖父が来ました。私は部屋にいたので何が話されてるの分からなかったけどなんと無く下の部屋が騒がしかったので一階のリビングへ降りて行きました。

飛鳥(あすか)、医師を目指すって本当か?」

 どうも姉が話したみたいでした。

「うん」

「飛鳥、でも僻地に行かなくてもいいんじゃないか?」

 姉がどう言うことを話したか知らないけどまた適当なことを言ったみたいです。

「最初から僻地なんてそんなの無理だよ。研修だってあるし、ただ市街地の大きな病院じゃなくて郊外の病院とか交通の便が悪い田舎の病院とかになるとは思うけど」

「でも、地域医療枠とか使わなくても大学へ行く学費くらいは蓄えているわよ」

 母は心配そうに言いました。

「足りない分はお爺ちゃんがなんとかするぞ」

 そうは言っても北山大学に行けるかどうか分からないし、ひょっとしたら私立になるかもしれないのだ。そうなると費用はまた大きくなるのだ。

「ありがとう。でも私の医療費もあるし……」

「それは大丈夫だって、お爺ちゃんが出してやるから」

 家族はみんな私のことを心配し応援してくれる。だから……

「ありがとう。でも、学費はいいから成人式の振袖は買ってね!」

 そう言うとお爺ちゃんは綺麗な振袖を買ってやると言い、母と姉はちょっと呆れていた。

「ところでお爺ちゃんどうしたの?」

「えっ! なにが?」

「何か用事があったんでしょう?」

「ああ、発電機用の燃料を買いに来たらバイオ燃料というのがあって何だろうと思ってな」

「それって天ぷら油とかを混ぜたやつじゃない」

唯香(ゆいか)知ってるのか?」

「詳しくは知らないけどリサイクル活動でやってるんじゃなかったっけ」

 姉は相変わらず適当だ。

「お爺ちゃん、それって天ぷら油を精製して作った燃料だよ」

「じゃあやっぱり混ぜ物か?」

「そうじゃなくて天ぷら油を化学反応させて精製した燃料だから」

「飛鳥知ってるの?」

「うん、中学生の時社会科見学で見たことがある」

 私はこの時、これを化学部の研究にしようと思いました。


 数日後、そのことを瑞稀と玲華に話しました。

「それいいね、私達で作ってみようか」

「瑞稀は相変わらず単純ね。それ作り方とか知ってるの?」

 玲華からの指摘は的確だった。

「それは今から調べないといけないけどさ、そんなに難しく無かったと思う…… あと顧問の先生や部長に訊かないとだし……」

「分かったわ、顧問と部長にはあとで私が聞いとくからあなた達はそのことを調べといて」

「え! 私達だけで調べるの?」

「勿論、私もやるわよ」

 玲華はそう言うと何処かへ行ってしまった。


 放課後、私と瑞稀はネットでいろいろ調べました。

「確か、エステル交換反応だと思うけど……」

「エクセル?」

「エステル! エクセルは表計算でしょう」

「あ、そうか!」

 瑞稀ってこんなに天然だったっけ。

「この研究にはメタノールと水酸化ナトリウムが必要なんだけど……」

 まあ、高校の化学でも使う薬品だからあるとは思うけど……

「なにか分かった?」

 玲華が化学室に入って来ました。

「うん、エステル交換反応して天ぷら油を混ぜればバイオディーゼルは出来るみたい」

「それならメタノールと苛性ソーダがいるわね」

「うん、たぶんここにもあるとは思うけど、ドラックストアーにもあるよね」

「そうね、要はアルコールと苛性ソーダだから安く手に入ると思うけど」

 私と玲華がそう話していると青山部長と古澤先生が入って来ました。

「如月、今村必要な薬品は学校のを使っていいからな、ただし研究は私か長野副部長の立会でやってくれ。あと保護メガネとマスクも忘れるなよ」

「はい」

「それにしてもバイオディーゼルなんて変わったものをやることにしたのね」

「はい、うちの祖父が発電機の燃料を買いに行った時にそれがあったので」

「今村さんは何か自分なりの研究材料を見つけると思っていたけど流石ね」

 私はちょっと恥ずかしくなりました。

「如月、最初は少ない量で試してみようか」

 先生に訊かれた玲華は「飛鳥どうする?」と訊いて来たので「そうだね、最初だからね」と答えました。

「瑞稀!」

「えっ! なに?」

「どうしたの? 黙り込んで」

「あ! ごめん、なんて言っていいのか……」

 どうやら瑞稀はあまり理解していないみたいでした。

「それじゃどうする?」

 先生から尋ねられ玲華は黙って私の顔を見ています。

「さっき調べたら天ぷら油4リットルに対してメタノール0.8リットル苛性ソーダ28グラムとありましたので全てを四分の一の量でやってみたいと思います」

 私がそう答えると古澤先生は準備を始めました。

「よし、それじゃ水酸化ナトリウムは……」

 古澤先生が薬品庫を探していますが……

「今村、すまない。メタノールはあるんだけど水酸化ナトリウムがないので研究は明日からでもいいかな? 明日までには準備しとくから」

「あ! はい、それじゃ私も家から使用済みの天ぷら油を持って来ますね」

 そういうことで私達のバイオディーゼルの研究は明日からということになりました。


バイオディーゼルは市販されているものもあるみたいです。ただ、粗悪なものはエンジン故障の原因になるようです。

しかし、バイオディーゼルを使うとエンジン内を使いながら洗浄できるそうですので最初はエンジンオイルやフィルターをこまめに交換する必要があるそうです。


次回から研究が始まります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] だんだんと地の文が増えて、文章も読みやすくなってきたように思います。などと申しますと偉そうで申し訳ありませんが…。 高校時代、私も化学部でしたので懐かしいですね。色々実験したことを思い出し…
2020/06/28 11:03 退会済み
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