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島の娘  作者: M38
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第21話

「ハアハア……おお……なんてことなの……あなたはダ、ダ……ダニエルさま! ゴホッゴホッ……」


 目の前の光景が信じられない。

 なぜここにダニエル・リードがいるのだ!

 彼は相変わらず節操の無いようすで着乱れた服装をしていた。

 跳ねた金髪の隙間から、ふしだらな目つきでニヤニヤと笑っている。

 

「なんではないだろう? おれの子供に会いにきたんだ。その権利はあるはずだ!」

「ハアハア……権利ですって? たしかに、そうですが……。クロエの意向も聞いてみないと……」

「クロエだって? クロエなんて関係ないだろ? おれたち2人のことだよ、ハニー……」


 そう言ってダニエルがわたしの両手を握りしめた。

 突然なんで?

 すぐに振り払い、後ずさった。

 この男は危険すぎる!


「ハアハア……なんの……つもり……? ゴホ、ゴホッ……」

「エマ……お願いだから子供に会わせておくれ……」

「ダニエルさま……でも……ゴホッ……」


 4年前の宿屋が思い出される。

 あのときもこんな風にダニエルと対峙していた。

 ボバリー婦人に蹴り倒されたときの床の匂いが甦ってくる。

 あの出来事を境にわたしとオリバーの想いが大きく食い違っていった。

 もしやあのときの再現をするために、ダニエルは再びわたしの目の前に現れたのだろうか。

 恐ろしい場面の幕開けの予感がする。

 

「さあ……早くわたしに抱かせておくれ……愛するわが子を……!」

「ハアハア……ダニエルさま……でも……」


 ドアを開け放ったまま両手を大きくひろげ、ダニエルがだんだんとこちらに近づいてくる。

 ノアもナニーもキャロルも突然の大男の出現に口もきけないぐらい驚いている。

 わたしは息苦しさによろけながらも、ダニエルの目に入らないようにキャロルの前に立ちはだかった。

 クロエの子供だ。

 ダニエルに会わせるか会わせないかの判断はクロエがする。


――ツカツカツカツカッ!


 そのとき、誰かが階段を駆け上がってきた。

 その人物はなぜか、私たちのいる部屋の前までやってきて止まった。


「エマ! やはり、君は……!」

「オリバー……なんで……?」


 どうしてなの?

 どうしてネル・グウィンの館にいるはずのオリバーが目の前にいるの?

 わたしはまだ、夢のなかにいるのだろうか。

 4年前のあのひどい悪夢は、いまだに続いているのだろうか。

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