表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/29

1.プロローグ

身体の芯を貫くような、重く鋭い衝撃。

それが何度も繰り返されるたび、僕の意識はパチパチと弾ける火花のように遠のいていった。


目の前には、怒りで形相を変えた両親。

部屋の隅には、僕を縛り付けていた数々の「教育」という名の鎖。

この狭い、光の届かない部屋が、僕の世界のすべてだった。


「……あぁ、そっか」


口の中に広がる鉄の味を感じながら、僕はどこか他人事のように思った。

僕の人生、ここで終わるんだ。


人には決して言えないような仕打ちを受けて、息を吸うことさえ制限されて。

結局、最後までこの家から一歩も出られないまま死んでいく。


けれど、不思議と絶望はなかった。

元々、「なんとかなるでしょ」と笑っていられる質だったからだろうか。

それとも、ようやくこの地獄から解放されることが、ただ嬉しかったからだろうか。


薄れゆく視界の端で、窓の外に広がる夜空が見えた。

あそこには、制限も、暴力も、自分を縛り付ける親もいない。


(……次は。もし次があるなら、もっと自由に生きていきたいな)


誰にも邪魔されず、自分の足でどこまでも歩いて、自分の好きなものを選んで。

そんな、当たり前で、最高に贅沢な自由を。


最期の吐息とともに、僕は願った。

僕の名前――×××という存在が、この世から消えてなくなるその瞬間に。


「…………っ」


次にまぶたを叩いたのは、暴力の痛みではなく、突き抜けるような青空の眩しさだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ