表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇系退魔師の受難  作者: 名無しの劣等者
職と敵と世界と
9/43

知を識る

 あの死を覚悟する試合を行ってから、随分と早いもので数週間程の日々が過ぎ去った。

 私はあの後、教官に対して「()()()()()()」と虚偽の報告をした。


 その言葉を聞いた彼女の驚いた顔は今思い返しても、フフッと小さな笑みが溢れる。


 まぁ、驚くのも無理はなかっただろう。

 何せ事前に話をしてもいなかったからだ。

 教官に気付かれない角度で、彼女に対し暗に「頼む」とその場でジェスチャーをし、お願いしたところ、渋々と言った感じで受け入れてくれた。

 相当不服そうではあったが。


 教官も特に追求してくる事もなく、しかし相手が相手なだけに善戦した事を評価され、特別に好きな場所に所属することを許してくれた。


 私は二もなく即答で、書類整理や事務処理を行う部署に所属することを願った。

 それからはトントン拍子だ。

 例として挙げるような不自由は無く、今日まで黙々と作業をこなしてきた。

 事務処理のやり方や書類の製作など、慣れてしまえば簡単なものだった。


 余談ではあるが、私の対戦相手だった彼女__華懍は戦闘が多い前線の部隊へと所属した様だ。

 現時点でもかなり活躍してるらしく、二級間近の三級だと噂されている。


 要領さえ抑えてしまえば楽なものなので、ちゃっちゃと手早く仕事を終えた私が今居る場所は、自身に充てがわれた仕事机のある仕事場…ではなく、図書室だった。

 ぺらりと次の頁を指で捲る。

 読んでいる本は退魔師に関するものだ。


 退魔師にも警察や、軍隊と同じように階級というものは存在する。

 分けられ方として三級、二級、一級、特級とシンプルな四つの区分だ。


 三級は新米、所謂(いわゆる)見習いだ。悪魔を討伐する仕事を受ける際は、三級以上の者を同伴としなければならない制約がある。

 これは必ず一人で行かせず、複数人向かわせることによって生存確率を高める目的があってのことだ。当然といえば当然のものだろう。


 因みに私の階級もここだ。


 二級になって退魔師は(ようや)く一人前と呼ばれる。三級の登竜門でもあるだろう。

 ここに至るのが大抵の退魔師の、"最低"目標と言える。

 四つに区分される中で、最も層が厚く、人が多い階級でもある。並大抵の悪魔なら相手取れるくらいの実力者が多い。


 同期の中でまずここに近いのは華懍だろう。次点では……まぁ、誰かだ。

 あまり他を覚えてないのが実際だが…。


 一級は確かな実力を持つ退魔界の中心的存在だと言われる。

 強さは特級悪魔を単独撃破できるかできないかくらい。簡単に言えばかなり強い。

 一級まで登り詰めれば「達人」と言われており、多くの退魔師、特に二級の者が一級退魔師を目指して日々努力している。


 後に出る特級は斜め上に外れた位置付けである為、一級は実質退魔界のトップとして扱われるのが現状だ。

「規格外の特級に代わり、他の退魔師と退魔界を牽引していく存在」とされている為、昇級条件もかなり厳しいものとなっている。


 昇級に興味のない私には縁もゆかりもないものである。


 最後に特級だが…退魔界の最高位の階級であり、退魔界の伝説的存在とされている。生きる伝説みたいなものだ。

 日本に現在六人しかおらず、日本退魔連盟においても重宝される存在だとか。


 実力に関しては言うに及ばず。特級悪魔を楽々と狩り、天降りとも同等という並外れた強さを持っている。

 だが、性格は一癖も二癖もあるものばかりだと聞いている。実際に会ったことは無いので何とも言えぬのが現状だ。


 連盟関係者いわく「今の特級退魔師はだいぶマシな方」であり、深川神宮の頭目、副頭目三名を全て特級が占めるのはおよそ60年ぶりとのこと。

 規格外の強さを持つため、退魔師の格付けの中では斜め上に外れた位置付け。枠に収まらぬ、枠外の化け物というべきものだ。


 …語っておきながらだが、特級に位置する者は本当に同じ人間なのか疑うべきだろう。

かなり長くなりそうなので分割します

ここからは題の通り、知を識る…つまり知識を深めるための話になっていきます。これで少しでもこの世界観を知って頂ければ…!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ