13.奴隷は大広間にいる
ウェルズと2人で奴隷がいる部屋へと案内された。
案内された部屋は俺が予想していた部屋とはだいぶ違う構造をしていた。奴隷がいるところと言えば檻の中だろうと思っていたからだ。
実際商館に運ばれてきた時は檻に入れられていたしそのまま部屋で管理しているのだと思っていたのだ。
しかし、実際に部屋の中を見ると檻に入れられている奴隷はいない。足枷をつけられて行動の制限はある程度されているようだが他は普通に生活できるレベルの状態に見える。
「あ、キョウスケ様!」
タマキが駆け寄ってきた。どこに行ったのかと思っていたがここにいたのか。
「おう、ここにいたのか。いつの間にかいなくなってたからびっくりしたよ」
「キョウスケ様が難しい話してる間にここに戻されちゃったんです」
「マジか。全然気づかなかった」
ウェルズとの話に熱中しすぎていたようだ。…なんか嫌だな。
「思ってたよりだいぶマシな扱いなんだな」
「それはそうデスよ。ワタシは奴隷商人デスがそんな酷いコトはしない人間に見えるでショウ?」
「見えんわ」
それは手厳しいとニヤニヤと笑うウェルズ。
「みんな足枷してるけどタマキはいいのか?」
「ええ、それはもうアズマサマの持ち物デスし」
「その言い方は流すとして昨日もしてなかったぞ」
「おや?それはおかしいデスネ。つけ忘れたんデスかね。まぁそれはもういいでショウ」
いいのか。まぁ俺の管理下になったからどうでもいいってことなんだろうな。
「いいならいいけどさ。んで俺が選んだ奴隷もここにいるのか?」
「ここではないデスがいますヨ。今連れてきているところデスので少々お待ちください」
「なんでここにいないんだ?」
「いろいろと理由はありマスがここは仕入れてすぐの奴隷を入れる部屋ですので。振り分けが終わったらそれぞれの部屋に移していマス。その方が効率もいいので」
「なるほどな。けどマオは昨日来た奴隷なんだろ?」
「そうデス。それぞれの部屋の他にもう一つ部屋がありましてネ。そこは素行に問題があるような奴隷が入れられる部屋なんデス。そこはアズマサマが想像していた奴隷の扱いをされている部屋に近いと思いマス」
「つーことは檻に入れられてたりか」
「デスネ。そして選んだ奴隷も昨日から暴れるのでそちらに入れているということデス。奴隷は契約している主人に逆えず、逆らうとペナルティがあるんデスけど」
ペナルティをものともしないのか。精神力が強いんだろうな。
選んだの失敗したかなと思っていると奥へ続く扉が開き使用人と1人の鎖に繋がれた人間が入ってきた。1人で暴れる奴隷を連れてこれるほど手練なんだろうかあの使用人。どこぞの速そうで不幸なスーパー執事みたいな。
「あいつか?」
「そうデス」
ファーストコンタクトだ。気に入られる気はないが暴れられないように気をつけよう。
「…ここに戻してどうする気だ?解放してくれるのか?」
「そんなワケないじゃないデスか。アナタを買うのもタダではないんデスよ?損失をアナタが支払えるなら解放しマスが無理でショウ?」
「……チッ」
「おい、そんなに煽るな。お前がマオか?」
ウェルズに軽く注意してマオに声をかけた。
「なんだお前」
「奴隷の分際でそんな態度でいいと」
「いいからお前はちょっと黙ってろ。俺に任せるんだろ」
そう言ってウェルズを黙らせる。
「俺は吾妻恭介。お前の主人になるかもしれない男だよ」
「は?お前が主人?なんでだよ」
「なんでだろうな。俺にもわからん。けどそうゆう話がコイツとついててな」
本当になんでだろうな。
「とりあえずお前に求めることは1つだ。お前棒術スキル持ってるよな」
「持ってるけどそれがどうした」
「村で魔物とか動物相手に振り回してただけだ」
予想通りだったな。
「お前には前衛として戦えるようになってもらう。今までみたいな適当に棒切れを振り回すだけじゃなくちゃんとしたパーティで戦えるようにだ」
「は?」
「あとは俺のスキルの実験台だ。わからないことの方が多いから大いに役立ってくれ」
この手のタイプはナメられると厄介だ。上からの姿勢を崩さないようにしないといけない。
そうゆうの苦手なんだけどなぁ…
「…は?」
「とりあえずお前の棒術スキルを見せてもらおうと思う。ウェルズ、頼む。あと適当に開けた場所を貸してくれ」
実際にどんなもんか見ないとわからんしな。ウェルズに頼んで鎖を外させる。
「了解デス。場所に関しては修練場があるのでそこを使ってください」
なんでもあんのなココ。やたらでかいだけあるわ。
「ありがとな。タマキはどうする?ここで待ってるか?」
「私もついていきます!」
俺のそばで成り行きを見守っていたタマキもついてくるらしい。
「おいまて!俺はまだやるって言ってないぞ!」
「拒否権なんざねぇよ。いいから黙ってついてこい」
ウェルズを先頭に俺たちは修練場に向かった。




