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ASTRAEON VELORIA――銀河を旅する自由傭兵――  作者: Ren Hazumi


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第十四章 —— 星間市場

第十四章 —— 星間市場


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紬は爽やかな気分で目を覚ました。


ナノマシンが一晩中働き、エネルギーを完全に回復させていた。彼はベッドの端に座り、ゆっくりと回転するリラディス・プライムが見える窓を見つめた。


「セラフィエル。」


「おはようございます、紬。船長は4時間12分お休みになりました。睡眠の質:最適です。」


「まだ信じられないよ、4時間の睡眠だけで十分だなんて。」


「船長の身体はナノマシンに適応しました。今後数週間で、より短い睡眠パターンに慣れていきます。」


紬は頷き、立ち上がって準備を始めた。


今日は、ケイレンズ・リーチへの出発前に、ランと星間市場で補給品を購入する約束をしている。


---


紬とセラフィエルはASTRAEONを出た。


二人は賑わい始めたリラディス・セントラル・リングの広場を歩いていく——商人たちが店を開き、朝のシフトの労働者たちが活動を始め、様々な惑星からの旅行者たちが感嘆の表情で散策している。


噴水の前で、ランが既に待っていた。


彼女は今日はより実用的な服装をしている——クリーム色の長ズボン、軽量ジャケット、履き心地の良さそうなブーツ。淡いブロンドの髪は後ろでまとめられ、ステーションの灯りの下で輝くスペースエルフ特有の尖った耳が露わになっている。


「おはようございます、星崎船長」とランが温かい微笑みを浮かべて言った。


「おはよう、ラン。旅の準備は万端のようだな。」


「私はいつも旅の準備はできています。でもその前に、補給品を買う必要がありますね。」彼女は商業地区の方へ指を差した。「ここで良い市場を知っています。値段も手頃で、品質も良いです。」


「よし。行こう。」


---


三人は星間市場へと歩いていった——商業地区の広いエリアで、露店や店舗がひしめき合っている。


ここには様々な商品がある——様々な惑星からの食品、技術機器、原材料、衣料品、骨董品。紬は好奇心を持ってそれらを見て回った。


「セラフィエル、これは今まで見た中で一番大きな市場だ。」


「これはこの地域で最大級の市場の一つです、紬。様々な星系から何千人もの商人が商品を売りに来ています。」


ランが彼らの会話を聞いて微笑んだ。


「その通りです、セラフィエル。この市場はリラディス経済の心臓部です。この市場がなければ、この星系は今のような商業の中心地にはならなかったでしょう。」


三人は露店の間を歩いていった。


紬は見たことのない鮮やかな色の果物、奇妙な形の野菜、そして棚に吊るされた肉類を目にした。


「ラン、何を買うんだ?」


「乾燥食品、ボトル入りの水、予備の燃料、そしていくつかの緊急用装備です。それと、長旅用の基本的な医薬品もいくつか必要です。」


「医薬品?」


「ケイレンズ・リーチは食料危機ですが、そこでは食料だけでなく基本的な医薬品も不足し始めています。追加でいくつか持っていくつもりです——良い値段で売れるでしょう。」


紬は頷いた。


「君は本当に全部考えているんだな。」


「何年もこれをやってきましたから、船長。貿易では準備が全てだと学びました。」


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三人は乾燥食品を扱う露店の前で立ち止まった。


ここには、米、小麦、その他の様々な穀物が山積みになっている。店主——白い髭の年老いたドワーフ——はランを見て微笑んだ。


「ラン! 久しぶりだね! 何か手伝えることはあるかい?」


ランも微笑み返した。


「グリム、米と小麦が必要なんだ。たくさん。ケイレンズ・リーチへの旅のために。」


グリムは眉を上げた。


「ケイレンズ・リーチ? よくそんなところに行く気になるね。最近はあの航路に海賊が多いって聞いてるよ。」


「信頼できる護衛がいるんだ。」ランは紬を指した。「こちらが星崎船長だ。彼の船が貨物を守ってくれる。」


グリムは鋭い目で紬を見つめた。


「船長、だって? 船長にしては若いね。」


「始めたばかりです」と紬は落ち着いて答えた。「でも最初の契約は成功させました。」


グリムは頷いた。


「いいね。自信のある奴は好きだ。ラン、必要なだけ米と小麦を持っていきな。特別な値段にしてやるよ。」


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乾燥食品を買った後、三人は次の露店へ向かった——技術機器を扱う店だ。


ここには様々な機器がある——通信機、スキャナー、携帯型エネルギー発電機、その他多数。


ランはいくつかの緊急用装備を選んだ——予備の通信機、環境スキャナー、小型発電機だ。


「これらは旅先で問題が起きた時に役立つでしょう」と彼女は言った。


紬は見て回った。


「セラフィエル、こういう装備はもう船にあるのか?」


「ASTRAEONには必要な装備は全て揃っています、紬。しかし予備があっても損はありません。」


紬は頷いた。


「ラン、俺もいくつか装備を買っておく。念のために。」


ランは微笑んだ。


「賢明な船長ですね。予期せぬ事態に備えるのはいつも良いことです。」


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三人は医薬品を扱う市場エリアへ歩いていった。


ここには様々な惑星からの様々な薬草、錠剤、軟膏が並んでいる。ランは基本的な医薬品をいくつか選んだ——抗生物質、鎮痛剤、一般的な病気の薬だ。


「ケイレンズ・リーチではこれらが不足しています」と彼女は言った。「通常価格の三倍で売れますよ。」


紬は薬棚を見つめた。


「これらは全部合法なのか?」


「ほとんどはそうです。いくつかは特別な許可が必要ですが、私はこれらの医薬品を運ぶ許可を持っています。」


紬は頷いた。


「君は本当に自分のやっていることをよくわかっているんだな。」


「何年もやってきましたから、船長。経験から学びました。」


---


三人は燃料と部品を扱う市場エリアへ歩いていった。


そこには液体や固体の燃料が入った大型タンクや、様々なエンジン部品や装備が並んでいる。


ランは予備の燃料タンクを何本か注文した。


「帰りのためにです」と彼女は言った。「ケイレンズ・リーチにどれだけ滞在するかわかりませんから。」


紬はそれらのタンクを見つめた。


「俺たちの船はこの燃料が必要なのか?」


「ASTRAEONはゼロポイントエネルギーリアクターを使用しています、紬。従来の燃料は必要ありません。しかしランの貨物船は必要かもしれません。」


紬は頷いた。


「ラン、君の貨物船はこのタイプの燃料を使うのか?」


「ええ。私の貨物船はプラズマ燃料を使用する標準的なモデルです。燃料がなければ動けません。」


「ならば、十分に持っていくようにしよう。」


ランは微笑んだ。


「もちろんです、船長。私はいつも往復に十分な量以上を持ち歩いています。」


---


三人は市場エリアを出て、市場の端にある小さなカフェに座った。


紬はお茶を注文した——昨日飲んだのと同じ緑茶だ。ランは見たことのない青色の飲み物を注文した。


しばらくの間、三人は黙って座り、休息を楽しんだ。


そして紬は尋ねたいと思っていたことを思い出した。


「ラン、一つ聞きたいことがある。」


「どうぞ、船長。」


「今回の輸送の時、君は俺の船に乗るのか、それとも自分の貨物船に乗るのか?」


ランはその質問に少し驚いた表情で彼を見つめた。


「私は……普段は自分の貨物船に乗っています。旅の間、そこで仕事をし、寝ています。」


「わかった。でも……」紬は一瞬言葉を選んで止まった。「……もし君が俺の船に乗ってくれれば、もっと連携が取りやすいと思うんだ。もし攻撃があったら、君を船から船へ移動させずに直接守れる。」


ランはしばらく黙って、その提案を考えた。


「それは……賢明な考慮ですね、船長。私はそこまで考えていませんでした。」


「俺の船には空いている部屋もある。客室、作業スペース、その他の設備もある。快適に過ごせると思う。」


ランは微笑んだ——少し驚いたが、誠実な微笑みだ。


「船長は本当に私の快適さを考えてくれているのですか?」


「君の安全を考えているんだ。もし君が俺の船にいればより安全なら、それは貨物もより安全だということだ。」


ランは小さく笑った。


「実用的な方ですね、船長。それが気に入りました。」


「それで?」


ランはしばらく考えた。


「わかりました。あなたの船に乗ります。でも、貨物船の乗組員が私なしで船を運用できることを確認しなければなりません。」


「彼らはできるのか?」


「ええ。彼らは何年も私と一緒に働いています。信頼できます。」


「ならば、取引成立だ。」


ランは手を差し伸べた。


「取引成立です、船長。」


紬はその手を握った。


「よし。君のためのキャビンを準備しておく。」


ランは微笑んだ——先ほどより少し温かい微笑みだ。


「ありがとうございます、船長。その気遣いに感謝します。」


---


お茶を飲んだ後、三人は再び市場を歩いた。


ランは最後の品々をいくつか買った——予備の衣類、軽食、そして旅の時間を潰すための本を何冊か。


「君は読書が好きなのか?」と紬は尋ねた。


「読書は好きです。特に他の惑星の歴史や文化についての本が。毎回の旅に何冊か持っていくんです。」


「俺も読書が好きだ。地球から何冊か本を持ってきている。」


ランは好奇心を持って彼を見つめた。


「地球の本? 興味がありますね。地球にはどんな物語があるんですか?」


「様々だよ。小説、詩、歴史、科学。漫画もある——俺たちはマンガと呼んでいる。」


「マンガ? それは聞いたことがない。」


「良かったら、何冊か貸してあげられるよ。」


ランは微笑んだ。


「ぜひ見せてください、船長。」


---


買い物が終わった。


全ての品物は購入され、それぞれの船へと送られた——食料、装備、医薬品、燃料。


紬とランは、ASTRAEONとランの貨物船があるC-07バースへと歩いて戻った。


「ラン、出発は明日の朝だな?」


「はい。6時、合意通りです。」


「よし。準備はできている。」


ランは自分の貨物船の前で立ち止まった——濃い青色の船体に、側面に商標が描かれた中型の船だ。


「船長、今日はありがとうございました。楽しい時間を過ごせました。」


「俺もだ、ラン。また明日。」


ランは微笑んだ。


「また明日、星崎船長。」


二人は別れた。


紬とセラフィエルはASTRAEONへと歩いていった。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「ランとの契約は良いものになりそうだ。」


「私もそう思います、紬。ランは良い取引相手です。」


「そして彼女が船に乗ってくれるのは嬉しい。連携が取りやすくなる。」


「賢明な判断です、紬。」


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紬はASTRAEONに戻った。


船長専用居住区で、彼はランが使うキャビンを確認した——ベッド、机、そして宇宙空間を望む窓のある快適な部屋だ。


「セラフィエル、このキャビンはランにとって十分快適か?」


「はい、紬。このキャビンには必要な設備が全て揃っています——ベッド、専用バスルーム、通信ネットワークへのアクセスも可能です。」


「よし。彼女に快適に過ごしてもらいたい。」


「船長がランの快適さを気にかける特別な理由はありますか?」


紬は考えた。


「ランは俺たちの取引相手だ。彼女が快適なら、仕事に集中できる。それはこの旅がよりスムーズに進むことを意味する。」


セラフィエルは微笑んだ。


「実用的な説明ですね、紬。」


「何か問題でも?」


「いいえ。ただ、船長がランに対して取引相手以上の関心を持ち始めていることに気づいただけです。」


紬は眉をひそめた。


「どういう意味だ?」


「特に意味はありません、紬。ただ観察しているだけです。」


紬は困惑した表情でセラフィエルを見つめたが、それ以上尋ねることはしなかった。


---


紬はリビングルームに座り、本屋で買った本を読んでいた。


窓の外では、リラディス・プライムが回転を続けている。


「セラフィエル、明日は新しい旅が始まる。」


「はい、紬。ケイレンズ・リーチへの旅です。」


「楽しみだ。」


「船長は本当に動くことがお好きなのですね。」


「一箇所に長く留まりすぎた。今はできるだけ多くのものを見たいんだ。」


「船長はこの銀河で多くのものを見ることになるでしょう。私がお約束します。」


紬は微笑んだ。


「ありがとう、セラフィエル。」


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紬は静かに夕食をとった。


セラフィエルが作ったシンプルな料理——野菜スープと温かいパンだ。


「セラフィエル、君は本当に料理が上手いな。」


「ありがとうございます、紬。毎日練習しています。」


「飽きないのか?」


「いいえ、紬。新しいことを学ぶのが楽しいんです。特に、それが船長を喜ばせることができるなら。」


紬は奇妙な表情で彼女を見つめた。


「君は……本当に俺のことを気にかけてくれているんだな?」


セラフィエルは静かなサファイアの瞳で彼を見つめた。


「もちろんです、紬。船長は私が持っている唯一の人のようなものです。私は船長を喜ばせるために何でもします。」


紬は何と答えたらいいのかわからなかった。


彼はただ頷いて、食べ続けた。


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紬はベッドに横たわり、天井を見つめた。


窓の外では、リラディス・プライムがゆっくりと回転している。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「明日、新しい旅が始まる。」


「はい、紬。ケイレンズ・リーチへの旅です。」


「ランが一緒に来てくれるのが嬉しい。」


「船長は彼女の到着の準備はもう整いましたか?」


「ああ。キャビンは準備できた。食事も準備できた。全て準備はできている。」


「結構です。船長は良いホストです。」


紬は微笑んだ。


「ただ全てが順調に進んでほしいだけだ。」


「全て順調に進みますよ、紬。私がお約束します。」


---


紬は灯りを消した。


暗闇の中で、セラフィエルの柔らかな声が聞こえる:


「おやすみなさい、紬。」


「おやすみ、セラフィエル。」


彼は目を閉じた。


明日、彼はランと共に新たな冒険を始める。


明日、彼は遠くの星系へ貨物を護衛する。


そして初めて、彼はこの銀河に自分の目的があると感じていた。


---


【次回予告 第十五章 —— 「ヴィレリアへ」】


翌朝、紬とランは旅を開始する。しかしケイレンズ・リーチへ向かう前に、彼らは主要な貨物を受け取るためにヴィレリアに立ち寄らなければならない。旅の途中で、紬とランは互いをより深く知るようになる。


【第十五章へ続く…】

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