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規格外のストラテジー~異世界帰りの勇者、知り合いにばれてダンジョン攻略に駆り出される~  作者: まんじ(榊与一)


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第146話 使命

異世界ファーレス。

かつて魔王によって滅びかけたこの世界は、異世界から勇者を召喚しその封印に成功する。


それから400年。

ファーレスの人々は平和な時代を謳歌する。


だが、永遠の平和などありえない。

魔王の封印は歳月の経過と共に弱まっていき、その封印が解ける日が刻一刻と迫って来ていた。


魔王復活まで後100年に迫った日。

再び勇者召喚が行われる事に。


何故100年前なのか?

異世界からの召喚には、異なる世界の距離が近づいた時のみ可能という条件があったからだ。


魔王が復活すると思われるタイミング。

その前後100年は、残念ながら異世界召喚できないタイミングだった。

だから今、直近のこのタイミングで勇者となる者を呼び出したのである


今呼び出したとして、100年後に勇者は戦えるのか?


無理だろう。

召喚するのが人種である以上、天寿を全うしている可能性が高い。

仮に存命でも、高齢でとても戦える様な状況ではないはず。


では、召喚自体無意味ではないか?


実は召喚は、魔王と戦わすためではなかった。

その目的は――呼び出した勇者の遺伝子。


つまり、子どもや子孫だ。


かつて魔王を封印した勇者は、このファーレスで一生を終えたと言われている。

本人の卓越した戦闘能力は勿論の事。

その血を引いた者達は、ファーレスの住民にないパワーを備えていた。


だから期待しているのだ。

新たに召喚された勇者の残した子孫が、ファーレスにとっての起死回生になる事を。


そして召喚された勇者のために用意されたのが――


聖愛魔導学園ラブマジシャンズアカデミーよ!」


玲奈がデスクをドンと叩く。


「なるほど。召喚された勇者は、対魔王用の優秀な子孫を大量に残す必要がある訳か」


「ええそうよ。世界を守るためには、より多くの女性と結ばれる必要があるの。これは使命。一対一なんて温い事を言ってる場合じゃない!」


世界の命運がかかっているならしょうがない。

ハーレムするしかないな。


むしろ一対一の清い交際など論外だ。

お前は何しに来たんだよって話になる。


「けどまあ……タイトルにEランクでぼっちって入れてるって事は」


「ええ。召喚された勇者は期待外れのE判定のクソ雑魚ナメクジだった訳よ」


Eが一番低いのか?

こういうのはだいたいFが最低ランクなもんだが……

ああ、なるほど。

態々Eにしたのはそういう事か。


分かり易すぎ。


「期待外れもいい所。それでも、と、一縷の望みにをけて学園は存続される感じね。そんな針のむしろみたいな学園生活にもめげず、主人公は異世界の魔法や戦闘技術を学んでメキメキと成長していくの。そして評価を覆して、最後はもう『さすさす』状態よ」


ちょっと努力したぐらいで成長するのは、潜在能力が非常に優れていた証拠だ。

そう、異世界に召喚された俺みたいにな。

ちょっと親近感が……まあわかんか。

俺が呼ばれたのは、ハーレムどころか血みどろの戦場だったからな。


……そんな園学園に呼ばれていたらどれ程良かった事か。


ああもちろん、今の俺が呼ばれても全く嬉しくはないぞ。

あくまでも、15の俺だったら、の話である。

今の俺はリアルの女に微塵も興味ないが、あの頃はまだ普通に異性に興味があったからな。


「あ、召喚されるのは勇者だけじゃないんですよ。一緒に幼馴染の女の子も巻き込まれてやって来るって設定なんです」


聖奈が嬉しそうにそう言ってくる。


「なるほど。異世界に召喚されるってシチュエーションだと、幼馴染は出せないからな。一緒に連れて来た訳か」


巻き込まれた幼馴染からしたらいい迷惑だろうが、ギャルゲーだから致し方ない事だ。

恨むのなら、ギャルゲー主人公の幼馴染に生まれたその身の不運を呪うがいい。


「ま、幼馴染は外せないからね。因みに、同時攻略っていうよりかは、次々と攻略していくスタイルで考えてるわ」


「難易度は抑えめにする訳か」


同時攻略は、人数が増えれば増える程、フラグ管理が複雑になって難易度が上がるのが常だ。

それにたいして順次攻略だと、そういった煩わしい部分を気にせず一人に集中できるので、難易度は控えめとなる。


ま、単体攻略でも、高難易度のキャラも普通に居たりするけど。


隠しキャラとか。

メインヒロインとかが、よくそれに該当する感じだ。


「そこはちょっと迷ったのよねぇ。ハーレム学園。言ってしまえば、主人公以外の女生徒は丸々嫁候補な訳よ。そうなると当然、キャラ数は膨大になるわ。もちろん、ある程度候補は絞るわよ。それでも10や20じゃ利かない訳で。その状態で取りこぼしなく全員を攻略ってのは、さっすがに難易度上がり過ぎちゃうでしょ?もしくは……一人一人の難易度を劇的に下げるか、だし」


大量同時攻略なんて物は、一人一人の難易度が低くなければ成立しない。

そうなると、それぞれの攻略方法が簡素化されて味気ない物になってしまう事に。


「優秀なギャルゲーは、一人一人の魅力を引き出してなんぼだからな。攻略の簡素化はあまり褒められん」


即落ち三秒とかはエロゲーでどうぞ。


「設定上、キャラ数を大幅に絞るって訳にもいかないから。ま、苦肉の選択って奴ね」


「ふむ……」


「システム周りとか。キャラごとのボリュームとかは。まあ、本格的な立ち上げ後に考える予定よ。じゃ、次はあんたの番ね。ま、聞くまでもないでしょけど」


玲奈が勝ち誇った顔でこっちを見て来る。

どうやら、もう勝った気でいるようだな。


ふ、いいだろう。

いまからお前の――


「俺のテーマも、玲奈と同じくハーレム物だ。もっとも、世界の為にだなんて綺麗ごとによる展開じゃないがな。そう……俺は世界なんて物の為に仕方なく女性を口説くんじゃなく、真実の愛を追求するハーレム物だ!」


―—そのふざけた幻想をぶち砕いてやる!



拙作をお読みいただきありがとうございます。


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