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赤の騎士とスピリットドレイン  作者: 流 齡
第一章 塔の目覚めと騎士の誓い
4/10

4.荒野へ

 居酒屋を出た僕たちは西の荒野へ遠出するために旅支度を始めた。予め最低限の用意は騎士が用意していたので後は食料と水の確保をするのみとなる。

 僕たちは先ほど通った道を戻り商店街へ足を進めた。そこで長持ちする食料や香辛料を買って水を確保すれば準備は終わる。そして僕たちは今馬小屋にいます。


「遠出をすることになった。できるだけ気性の穏やかな馬はいないか。娘もいるのでな」

「おお、可愛らしい子ですなぁ」


 馬屋のおじさんは朗らかな笑顔でぼくを褒めてくれた。ちょっとこそばゆくて騎士の後ろに隠れてしまったがおじさんは気にした様子はなく馬を紹介してくれた。


「さて、お嬢さんでも安全な馬ならばこの子が一番おすすめです」


 おじさんの手綱の先には灰色の馬がいました。ふさふさな黒の鬣とまん丸とした目はとても愛嬌を感じさせます。騎士はゆっくりとした手つきで横から差し伸べ首を撫でると一度頷きました。


「良い馬だ。これにしよう」

「ありがとうございます。手入れを済ませますのであちらで待ちなされ」


 馬を連れ町を囲う柵を通り抜け外へと歩き出すこと早三日が経過した。僕たちは今野営の為に近くの岩場で火を囲んでいる。この荒野は緑が少なく岩が沢山積まれてます。ずっと前には林と呼べるほど木が生えていたらしいのですが、何やら大きな災害が起き燃えてしまったらしいのです。

 さて、今の時刻は夕日が沈んだぐらいで晩御飯の時間です。今日はちょっとしたパプニングがあって晩御飯が豪華なのです。それは騎士が手綱を引き僕は馬に揺られていた時でした。


 町からだいぶ離れ、緑の絨毯からゴツゴツとした地面になりました。草がポツポツとまばらに生えているぐらいで太陽が眩しいです。

 パカパカと馬に揺られているとなだらかな丘の中腹に草を食べる鹿の群れがいました。休憩しているようで短い草をむしゃむしゃと食べている様子が見られます。僕は馬から降り鹿に近寄りました。ある程度近づくと鹿は僕に気付きじっと見られます。僕は一歩近づくごとに鹿は一歩下がる。二歩進んで二歩下がると一進一退の攻防を見せてます。馬を引いている騎士からはおかしな光景に見えたでしょう。

 鹿と追いかけっこを繰り返していくと僕の横腹にツンと柔らかい物が当たりました。そちらを見ると普通の鹿よりもふた回りほど小さい小鹿がいました。グリグリと僕の横腹を押し付ける子鹿に僕は恐る恐る触ることができました。馬とは違いふわふわと柔らかい感触で僕はしばらくの間子鹿と戯れていました。


 ですが、鹿との触れ合いは雄々しい遠吠えが聞こえた時に終わってしまいました。鹿達は一斉に逃げ出し、そばにいた子鹿もいなくなってしまいました。そして岩場の影から大きな狼がこちらに向け迫ってきました。

 僕も急いで騎士の元へ戻ろうとしましたがその必要はなかったようです。既に騎士は僕の近くで狼へ向け弓を引いていました。放つ騎士の矢はものすごいスピードで狼へと向かいます。狼へ放った矢は頭に突き刺さり、勢いそのままに前へ倒れました。


 そんな事があって今日の晩御飯はお肉が出てきます。ここ三日間ちゃんとした料理を食べるのは二日振りです。手際よく騎士は狼を解体し、現在コトコトと煮える鍋の中には干し肉からお肉に変わり火の回りには串焼きにされたお肉が立てられて騎士の手によりクルクルと回っています。

 僕は騎士から差し出された串焼きへ齧り付くと肉汁がふわっと広がりました。ほどよく弾力があり、噛めば噛むほど旨みが出てたまにピリッとした辛みがちょうど良く、次々とお口の中に放り込みます。

 はむあむとお肉に齧り付いていると騎士はくるくるとお玉を回しつつ今後の事について話し始めました。


「もう少しで話にあった森へ着く、話が本当なら野盗がまだいるかもしれない。我のそばを離れるな」

「大丈夫、心配はいらないよ。それに僕が離れてもアルドは近くにいてくれる」

「あまり過信しすぎるな、我も絶対とは言えないのだ」


 注意はされたがそこまで気にしない。そこらに居る野盗なら相手にすらならないだろうからね。


「我々の目的は迷いし者だ。そのことは忘れぬようにな」

「わかってるよ。迷ってる子達を救うのが僕の存在理由」


 日が経つにつれ思い出してゆく、僕が作られた理由と力の使い方、僕は使命のためやらなくてはいけない。


「主・・・ほれ、スープができたぞ」


 騎士からお皿を受け取り、スープに息を吹きかけ冷ましてから食べるも熱々ではふはふと口の中で冷ます。野菜の渋みと甘さにお肉は柔らかくて美味しい。僕はスープをおかわりして満足。お腹いっぱいです。

次話は少し戻ってアルド視点でお送りします。この世界の設定が少しだけ見えるかもしれません。

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