21話 彼女は探索に出発する。
早朝の探索についていくために私は夕食を終えてすぐにお風呂に入り、20時前には布団に入った。
しかし、朝起きるとすでに時刻は6時50分で私は慌てて着替えて食堂に向かった。そこではすでにみんなそろっていて、私を見て寝癖ついてる。って笑っていた。私は恥ずかしかったけど、言い返せなかったよ。
そして、現在探索に出るべくお弁当箱と500mlの水筒を入れたリュックを背負って宿も前に立っている。
私は宿を出る前にちゃんと2Lの水筒を持っていたのに私の背負っているリュックを見て赤松先輩がすべて出すように言われてしまった。結局、私がみんなの前で荷物をひっくり返すとすぐにお弁当箱と500mlの水筒、タオル1枚を除いて他は他の人のカバンに入れることになった。私はできる限り身軽でとりあえずついてくることが絶対条件みたいだった。
私も中学の時はテニスしてたから体力はあるよ。って言ったのにみんな笑っていたよ。
「それじゃあ、今日はスキーの上級コースを上がっていって、林間コースをまわってそのまま、滝を目指すコースで行こうか。」
赤松先輩の言葉に全員が頷いた。
そして、歩き始めて数分で私は男子4人の無尽蔵の体力に驚きを隠せなかった。
だって、何をどうしたら急な斜面をとんでいる蝶を捕まえるためにダッシュで登ったり、膝丈まで歩き草をかき分けながら大きな虫網を並んで振って何かを採集できるのかな?しかも捕まえた生き物について名前がぱっと出てきているし。もう、何が何だか分からなかったよ。
「先輩。三角紙ありますか?」
植松君が赤松先輩に話しかけていた。
私は三角紙が何か気になり、近づいて見ると、赤松先輩はリュックについているポーチから三角形の紙を取り出していた。
「はい。」
「ありがとうございます。」
植松君はその紙を受け取るとそのまま網に入った蝶を手に取って、胸のあたりを掴んでから挟んでいた。
「ねえ、何をしているの?」
私が聞くと植松君は何を言っているんだろうと言う顔をした。
「見たことないか。
蝶のはねを傷つけないで持ち帰るために、蝶を殺して三角紙ではさんでいるんだよ。
虫かごに入れるとどうしてもはねが痛むからね。」
赤松先輩の言葉に私は何も言えなかった。
「殺すことが不思議?」
赤松先輩は私が固まっているのを見てそう言った。
「はい。」
私が頷くと赤松先輩は口を開いた。
「種を同定したり、記録するための標本にするには生き物をできるだけ壊さずに生きていた状態で保管したい。そのためには、できる限り素早く適切に処理する必要があるよ。例えば、これ。」
そう言いながら赤松先輩は脱脂綿の入った小さな試験管のような形をしたケースを見せてくれた。
「毒瓶っていうんだけど、中の脱脂綿に薬品を染み込ませておいて、昆虫をいれると、揮発した薬品によって殺すもの。」
私が固まっていると赤松先輩は網を振って近くにいた虫を捕まえた。
「ツヤアオカメムシだね。」
赤松先輩はそう言うとそのまま毒瓶に入れた。
最初は動いていたけど、しばらくすると動かなくなった。
「これを持ち帰ってから、足を本来の形に整えて乾燥させたら乾燥標本になるよ。
まあ、もう少しやることはあるんだけどね。」
赤松先輩の言葉に私は時々男子がとまっては持っているボトルに生き物を入れているのを見て何をしているのだろうと思っていたけど、やってることを知り、驚いた。




