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70杯目 共闘

 領主とその私兵は部屋の隅で領主を守るように布陣している。

 守り手は3名の元冒険者が相手している。

 俺はすぐに指示を飛ばす。


「コーラット、3人を回復、サルーンは全力でコーラットを守れ!

 俺達は領主様を守り、それから3人を援護する!」


 いろいろと思うところは有るだろうが、俺の指示で全員がすぐに動いてくれる。

 

「ケイト領主様は?」


「大丈夫、でも、重症。兄上も」


「お嬢様!! 申し訳ございません……」


「謝るな、あの3人が居てこの状況ってことは必死に守ったんだろ!

 ありがとう、悪いけど、もう少し頑張ってくれ、たぶん、アイツはなんか呼ぶんだろ? ベルン、ポーラ皆にポーションや食事を、たぶん、また呼ぶぞ」


「聡イ者が居るノカ?」


 ぱんっ、と6対の腕が合わさり、その音に反応して地面から敵が湧いてくる。


「マスター達、こっちは任せて下さい!!

 行くぞケイト、ヒロル、コイツラは、俺等しか無理だ!!」


 湧いた敵は煉獄の騎士。

 単純な物理攻撃が通用しない強力な敵だ。

 大昔に荷物持ちで参加したダンジョンで中ボスとして出てきた魔物で、魔装具か魔法でしか倒すことは出来ない。


「ミツナギ、敵が精神操作魔法をしてくる、コーラットと一緒に領主様たちを守ってくれそれと、ギルマスたちが戦うと、俺達も巻き込まれるからそれも防いでくれ」


 無茶な要求だろうが、やってくれなければここから生きては帰れない。


「時間がない、行くぞっ!」


 俺は騎士たちに挑発をぶつける。

 ギロリと騎士たちがこちらを向く。その底の見えない赤い光、鈍い目の輝きが心臓を握りつぶしてくる。

 

「坊主ども、任せたぞっ!!」


「やれやれ、こんな若造達の世話になるとはな」


「時代は巡るものだよフェイナ。若人たちのために、この場を切り抜くよっ!」


「ふははははっ!! 滾るのぉ!! 

 フェイナ、フォルス!! 久方ぶりに全力で行くぞぉ!!

 唸れ豪龍! 天烈剣っ!!」


「腰痛めるんじゃないよ!! 半月、鳴きなさい……月影の舞」


「巻き込まれないようになっ!! 星降の瀑流!!」


 魔人とギルマス達の戦闘は、化け物同士のぶつかり合いだ。

 巻き込まれたら粉々になりそうだが、ミツナギとコーラットが防壁を作って皆を守ってくれている。

 地面が揺れて壁が震えて空気がビリビリと音を立てている。

 

「こっわっ!! おんなじ人間なのかよっ!」


「サルーンも、アレを目指さないとな!!」


 煉獄の騎士たちの斬撃は四方へと飛散していく、サルーン達も領主を守るために必死になっているが、俺達も必死だ。

 ケイトと俺で3体の騎士を抑えて、ヒロルが強力な魔法で攻撃している。

 魔法抵抗力が強いので、簡単に倒せはしないけど、それでも一番のダメージを稼いでくれている。ヒロルは普通の魔法使いと異なり、非常に機動性が高い。

 無茶苦茶な鍛錬によってうまれたヒロルの特殊技能だ。

 今はそれにものすごく耐えられている。

 正直騎士たちの攻撃を定点で守りながら戦うのは不可能だ!

 領主の私兵の方々も一生懸命補助魔法で俺達を助けてくれている。

 

「フハハハ、やるデハないか!!」


 背後の怪獣大戦争はもう何が起きているのかわからない。

 あんな戦いには関与できるはずもないんだから、俺等は眼の前の3体の騎士に集中する。


「ダーククラッシュ」


「危なっ!!」


 闇の牙が俺の脚を喰らいに来た。一瞬も気を抜けない。


「火炎の蛇!」


 ヒロルの作り出した燃え盛る蛇が騎士の身体に絡みつき動きを止める。


「ナイス!! 足砕きぃ!」


 振り下ろしで脚部に大きなダメージを与える。


「今だケイト!!」


「任せろ、疾風迅雷!!」


 激しい刺突の嵐と電撃が騎士を貫くっ!!

 ブスブスと黒煙をあげ、騎士は鎧を残してガラガラと崩れ落ちている。


「次ぃ!!」


 二重にも三重にも支援を受けて、3人で畳み掛けることでようやく一体を始末した。


「ケイトっ! 右っ!!」


「わかっている」


 俺は牽制の挑発で攻撃を邪魔する。

 すこし鬱陶しそうな素振りを見せたその隙でケイトは攻撃を掻い潜り反撃を加える。

 態勢を崩した騎士にヒロルの魔法が炸裂する。頭上に飛び、空中から魔法を放つ。


「ダブルっアイスブレッドっ!!」


 凄まじい量の氷弾が降り注ぐ、連続魔法によって通常の倍量の弾幕が容赦なく騎士の身体を削り取って行く。

 さすが姉妹、息はぴったりだ。


「負けてられんっ、相棒、突進!!」


 ちょうどいい感じで距離が空いた、俺は猪突を構え加速する。

 

「うおおおおおっ!! 突進の力を猪突に預けてぇ~!!」


 負担はでかいが、思いっきり身体をねじって回転エネルギーへと変換するっ!!


「旋風撃っいいぃぃ!!」


 俺の一撃を受けようとした剣ごと騎士の胴体をひしゃげ斬るっ!!

 腹部を大きくえぐられ、騎士はぐらりと地面へと倒れていく……


「マスターたちはっ!?」


 振り返るとの竜虎相搏の戦いも決着の刻を迎えようとしていた。


「合わせぃ!! フェイナ!! フォルス!!」


「任せたよっ、咲き誇れっ月下美人!」


「顕現せよ、《《虚空から現れ拘束する鎖》》」


 ギルドマスターの武器が閃光を放つ、フェイナさんの武器が幾万の刃となり敵を斬り縛る、フォルスさんが呼び出した漆黒の皮の紐には恐ろしい量の魔力が練られており、魔人の巨体を完全にその場に留め付けた。


「豪龍その刃で全てを斬る……次元断」


 溜めの状態から振り下ろしまでの所作が見えなかった。

 貯めていたと思ったら、すでに斬り終えていた……

 これが、ゴールド、トップ層の力……


 魔人の身体は完全に2つに分かれ、崩れ落ちていった。


「ば……か、な……」


 しかし、技を放った3人が、同時に崩れ落ちるのであった。



 

 

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