80話 特訓
午前はあちこち回り、今から特訓をしようと特訓場へ向かった。
―――さてと、今日はどれぐらいの人が特訓してるんだって・・・・・・て言わなくても分かるか。
と、辿り着いて直ぐ中を覗き込んで、ヒョウガはそう心の中で思う。
入り口を潜り抜け、中へ入り込むと、早速特訓の準備に入る。
「んじゃあ、始めるぞ!」
と準備が完了した彼女たちに合図を送ると。
「では、行きます」
「ああ、何時でも良いぞ!」
―――これからやる特訓は一対一らしく。
ミューフィが挨拶をすると、ヒョウガはそう返す。
「催鳥魔術<炎隼>!!」
ミューフィは魔笛を吹いた。
炎を纏う隼を上空に呼び出した。
ヒョウガへと襲い掛からせてーー。
しかし、
「そんな攻撃じゃ駄目だ」
と言うと。
「 能力<旋風>!!」
透かさずヒョウガは、その技に向け、渦のように巻き上がる風で吹き飛ばす。
「流石です。ヒョウガ先輩!」
「ん・・・・・・!? まあな」
少女に褒められて、彼は当然のように言う。
次はアミリの番のようで、ミューフィと入れ替わりに、ヒョウガの方へと向かい。
「い、行くわよ!」
「ああ、何時でも良いぞ!」
アミリのセリフを聞き、ヒョウガはそう返すと。
ヒョウガに銃口を向け、引き金を引く。
ーーーバンバン、
「武装魔銃術<究極の虹色弾>!」
「その技はまだ食らったこと無いな。女神力――風の女神!」
アミリは全ての魔力を使って虹色の弾を作り出して、一ミリたりともズレることなくヒョウガの元へと飛んで行くも―――。
ヒョウガの呼び声で、風の女神が上空に出現した。
直後彼の中へと消えて行く。
ヒョウガの体中を、風の覇気が包み込む。
飛んで来た弾を風で薙ぎってしまう。
「な、何て技よ!? 強過ぎるわよ!」
「ん……! まあ、そうなんだろうな」
ヒョウガは其の儘の状態で、次にアーティナの番となって。
「行くですの!」
「ああ、分かったぞ!」
と言うや否、ヒョウガの後ろに瞬間移動したアーティナは、光魔剣を構えーー
「武装魔術<光耀一剣
>!」
アーティナの光魔剣が更に輝き始めて、ヒョウガに斬りかかるのだが。
「能力<旋風>」
ヒョウガが渦のように巻き上がる風で、アーティナごと吹き飛ばす。
「風の女神の力って凄いですの!」
「そうだろ!」
感心したように呟くアーティナに、ヒョウガはそう偉そうに返す。
それから風の女神の力を解除してから。
次はカナミの番になり―――。
「それじゃあ、行くね!」
「ああ、勿論、何時でも良いぞ!」
とヒョウガが言うと、少し時間をを経てから。
「武装想像<猛獣麒麟>!」
「行くぞ! シナモン、天使の力借りるぞ!」
「うん」
とシナモンの了承を得た直後、 カナミが準備を完了させると、誰もが知るであろう空想上の生き物とされている#麒麟__キリン__#を出現させる。
それに合わせてヒョウガも、天使を出現させ、それを輝く天使の光に変え、襲い掛かって来た麒麟を吹き飛ばす。
そして、消してしまう。
「あの昨日見た天使って本当に凄いんだね!」
「そのルビ振りのせいで、怒ってるみたいだ。シナモン! まあ、そうだぞ」
カナミが昨夕に見た天使の強さを知らしめられる。
ぷいっ、と剣ながらされてしまう。
ーーー可愛い。
次はサラの番となって、
「何時でも良いよー」
「んじゃあ、行くぞ!」
とヒョウガが言うと。
「天使光輝奥義<天界の四重羽落とし>」
シナモンが天界へと飛んで行くと、巨大な羽をサラへと落とす。
「妖精、何とかしてー」
―――はい、マスター、分かりました。
と言った次の瞬間。アキラの目の前に真っ白な妖精が出現して。
「あれを何とかしてー」
「出来るかどうか分かりませんが、了解です」
マスターの指示に渋りつつ承諾すると。
「 <ソルーム・ミータ・シテ―ト>!」
妖精が呪文を唱えると、未知数の鍵が突如出現して、技に鍵をかけて封じ込めようとしたが、どうも駄目で、身動きも封じ込めれず、其の儘爆ぜる事も出来ず、攻撃を食らってしまう。
勿論のこと妖精は消えてしまい。
「ぐおおおぁ~」
攻撃を喰らい。
「流石ヒョウガ先輩だよー」
「そうだろ」
攻撃を喰らったアキラは、自らの意思で姿を現した妖精が、治療を行い、特訓を再開する。
それから一、二時間ほど特訓は続き―――。
特訓が終わる頃には、全員がへとへとに疲れ切った様子で、集まってきて。
「ハアハア、今日の特訓はこれで終わりだ!」
「ハアハア、そうだね!」
「ハアハア、そ、そうね!」
「ハアハア、疲れたですの! もうこれ以上は戦えないですの」
「ワタシも同じです」
「ウチも同じだよー」
それぞれが、苦しさのあまり肩で息をする。
「んじゃあ、ホテルに戻るぞ!」
「賛成ですの!」
「私も同じ」
ヒョウガの一言に、反対の意見も出ず、ホテルへと戻って行く。
ーーーホテルに戻ると、すぐさま部屋へ戻った。




