81話 危機一髪
凄く汗かいたし、お風呂入るか!」
そう言って、お風呂へ向かう。
暖簾を潜って、中に入ると誰も居らず。
―――やっぱりこの時間は誰もいないか。
と全部を脱ぎ終えたヒョウガは、其の儘タオル片手に入って行く。
入ったら、先ずシャワーで体を濡らし、ボディーソープをタオルに付て洗い、お湯で流す。
それから髪をお湯で濡らし、シャンプーでしっかりと髪を擦ってから洗い流す。そして次にリンス―で髪を洗い流すと、温泉に浸かる。
「はあ、気持ち良いぞ!」
湯船に浸かった彼は、気持ちよさそうにしている矢先。
ガラガラっとドアが開いた。
そこに居たのは、そこに居る筈の無い幼女―――リーフが布製のタオル一枚で入って来ているではないか。
―――肝心なのはそこではない。何故男湯に入ってきているかと言うことではないだろうか。
「ヒョウガ。部屋に居なかったから心配したのじゃ。だから来ちゃったのじゃじゃ」
「来ちゃったじゃ無いぞ! 駄目だろう、入って来ちゃ。俺だったからまだしも、誰かほかの奴がいたらどうするつもりだったんだ? 大変なことになっていたぞ!」
リーフの言い分を聞き、ヒョウガは叱咤した。
ーーーすると。
「グスグス、だって…・・・だって心配だったのじゃ。昨日起こった事件があったから、ヒョウガに何かあったんじゃないかとと思ってたのじゃじゃ」
それを聞くや否、入り口に佇む幼女へと駆け寄り―――。
「何だ、そうだったのか。心配かけて悪かったな。一言声を掛けとくべきだった。でも大丈夫だぞ。大切なもの、守りたいものがあるから、死んでも死にきれないぞ! だから、安心しろ!」
「グスグス、分かったなのじゃ」
「んじゃあ、体と髪の毛を確りと洗うんだぞ!」
とヒョウガが指示を仰ぐと、直ぐにリーフは洗い場で体を洗いに行き―――その間にヒョウガは湯船に入り直す。
何分かして、幼女も隣りに入ってきてから。
「はあ、気持ち良いのじゃ」
「だな。温泉て良いよな」
「妾もそう思うのじゃ」
首まで浸かり、ふにゃけた様子のまま二人は言葉を交わす。
―――それから少しして、露天風呂に入りるために、外に出た。
足で温度の確認した彼に続いて、リーフも入って行き―――タオルを濡らさないように、湯船に浸かる。
「ふぅ~、ここからの景色は最高だぞ!」
「おお、ホントなのじゃ!」
暗闇から射す光に照らしだされたそれは、文字通り―――幻想的な景色と言って問題は無いだろう。
「海底楽園都市の技術は凄いよな。こんな露天風呂なんか作るんだから!」
「妾もそう思うのじゃ。妾たちの所はこんなの無いじゃから、新鮮? な感じがするのじゃ」
露天風呂の創設者の凄さに、驚きを超えて呆れすら感じ始め…
そんな事を考えながら暢気に話をしていると。
ガラガラっと―――ドアが開け放たれ、お風呂場の中へと他の学園の男子生徒が続々と入って行く。
「ん・・・・・・!? これは不味いぞ!」
「どうするのじゃ? このままじゃ危ないのじゃ。何とかしないと・・・・・・」
「あそこにある茂みに隠れておいてくれ!」
と言うヒョウガの指示に従い、リーフはそっと誰も見られぬよう立ち上がった。
ぽたぽたと垂れた水滴をお構いなしと言う風に、茂みの中へと身を潜め、やり過ごすことに。
―――寒いのじゃ。
と幼女は彼に視線を送り合図を送ると、それを察したのか―――熱風をリーフの方へ起こし、これで寒さの方も大丈夫の様だ。
その直後ーーー露天風呂の方へと何処かの生徒がやって来た。
「今日は空いてるな」
「良かった良かった。昨日みたいな窮屈じゃなくて。あれ? そこに居るのは、北の学園代表チームにいた確か、アリマ・ヒョウガさんではないか?」
「ん・・・・・・!? それは間違いなく俺だ」
「やっぱりそうだ。あの決勝戦の映像見たけど、途中で駆けつけた子が一番カッコ良かったけど、それに負けないくらいカッコよかったな。普通あれで逆転はあり得ない」
「そう言われると照れるな」
「これだと噂も本当かな?」
「噂?」
肯定した彼を見た一人の男は、優勝する切っ掛けの試合を見た感想を言う。
それを聞いたヒョウガは照れ臭そうな素振りをさせると、男の隣にいた金髪の男が意味深そうにそう尋ねて来たから。
意味が分からず彼はつい、鸚鵡返しをしてしまう。
「メイドから聞いたんだけど、何でも幼女を全裸にして、酷い事をするようなロリコンで最低やろうっていう噂さ」
「色々と誤解されかねない…否、もうそうなってるか」
―――さてはエーゼルだな。確かに普通の人だとそう思いかねないが、はあ、俺がそんな最低クズ野郎に思われるとか勘弁してくれよ。 誰か誤解だと解いて欲しいぞ!
この場に居ない誰かへと、届くはずもない言葉を喚く。
―――そろそろ熱風の効果が切れそうなのじゃ。そしたら限界が直ぐに来ちゃうのじゃじゃ。
そのリーフの思いが伝わったのか、ヒョウガは一緒にいた人たちと共に、中のお風呂へと消えて行く。
誰も入ってこない事の確認が済むと、そっと温泉に浸かり直してから。
数分間浸かると、中の様子を窺い、ヒョウガだけなのを確認すると、中へ戻る。
―――中に入ると、靄がかかってるももの、辛うじて肉眼でどこに何があるのか判別できるほどで。
「妾ももう一度入るのじゃ」
そう言うと、彼の隣に浸かり―――、
「何とかなったのじゃ」
「はあ、まだこれからだぞ!」
「それは危ないのじゃ」
「んじゃあ、もう少ししてから髪と体洗って出るぞ!」
一安心したリーフへと、現実を伝えるヒョウガ。
本当に思いもしなかったのか、幼女は慌ただしくしているので、彼はそう言うと。
少しの間使って、そして髪と体を洗い、脱衣所に出る。
そして体を綺麗に拭き終え、浴衣に着替えた後、リーフの髪をドライヤーとブラシを使って乾かす。
その後、誰もいないここを念入りに確認し、そして部屋へと戻った。




