第109話:牙城への進軍
国会からの凄惨な生中継が途絶えた室内で、重苦しい沈黙を破ったのはミカムラだった。
「で? そこに寝ている……アリシアちゃんはどんな様子?」
「吹き飛ばされて以降、ずっと目を覚ましそうにありません……」
壊れた黒鉄の義手を痛々しく抱えたカシウスが、ベッドの上のアリシアを見つめて絞り出すように答える。
だが、エリカは腕を組み、怪訝そうに眉をひそめた。
「……不可解ですわね。ただの衝撃波で吹き飛ばされたくらいで、彼女がここまで気絶し続けるなんて。なにせ……あの『ネオ東京ギャラクシーツリー』から飛び降りても、軽い捻挫だけで済んだような怪力バカですのよ?」
「それ……また言ってるけど、本当かい……?」
駆けつけたアリスが思わず引きつった笑いを漏らす。
そんな仲間たちのやり取りを背に、レインは窓の外――雲を突き抜けて天へと聳え立つギャラクシーツリーを静かに見つめていた。
「……正直なところ、ライラの言っている『日本人の復権』という主張には、一定の正論を感じてしまいますわ」
「レイン……?」
「ですが……私たちが本当に戦うべき対象は、ライラその人ではありません。元凶である理事長……ミオンの討伐ですわ。あいつが仕組んだ、あの惨惨たる『魔の7日間』のケリをつけるために」
「同感ですわ。これ以上、あの女の思い通りにさせてたまるものですか!」
エリカが扇子を力強く打ち鳴らす。
覚悟を決めた少女たちは、決戦の地――634キロメートルの高さを誇る巨大な天の塔、ネオ東京ギャラクシーツリーへと向かって歩み始めた。
すべての真相を暴き、狂った運命をその手で裁くために。




