鳶に油揚げを攫われる③
「あれ、今は難しかったかな? ……というか、彼らは何をしているの?」
「えっと……城下に出ること自体は大丈夫なのですが、お兄様方も誘いに来てくださいまして。でもお二人とも三人で出かけるのは嫌だと言って私の取り合いをしているのですよ」
「なるほど……ちなみいつから?」
恐らく、読書をしたり護衛とお話ししている間に結構時間が経っていますよね。いつからでしょうか……?
「一時間ほどはあの状態だと思います。お兄様方は伯父様の存在にすら気付いておられないようですし、お時間があるのでしたら一緒に城下に出ませんか?」
「良いの? 嬉しいね、実の兄二人より優先してもらえるなんて」
「私の存在も忘れておられるようですからね」
「そっか。………リカルド、リオン」
リカルドお兄様とリオンお兄様の方を見てから伝えると、伯父様も私の視線を追って何かを考える素振りをした後、お兄様方に声をかけられました。
「え……あ、ご機嫌麗しゅう、伯父上」
「見苦しい姿をお見せして申し訳ありません。いつの間に来られたので……?」
「今さっき来たばかりだよ。二人には横取りの報告をしておこうと思ってね」
「………?」
「カティアは私と城下に出てくれるんだって。リカルドとリオンはカティアの存在を忘れていたみたいだし、別に構わないよね? 譲ってくれてありがとう」
特大の煽り文句ですね。伯父様の言葉を聞いて一瞬沈黙し、その後すぐに文句を言いだしたお兄様方ですが、『愛しのカティアの前で喧嘩なんてしているからだよ』と一蹴されました。
お土産は買ってきてあげる、と笑顔で告げる伯父様にお二人は項垂れ、お互いと伯父様を睨みながら去って行きました。
「ではカティア、行こうか」
「ええ」
一番最後に来たのに見事私とのお出かけ権を勝ち取り、嬉しそうに微笑む伯父様は手を差し出してくださいました。エスコートしてくださるその手を取り、城下に出た私たちはお忍びでのお出かけを楽しんだのでした。
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