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最強の側近ができるまで。  作者: 甘味
幼少期編
3/3

友達からでお願いします

(幼少期は全5話以内の予定)


着飾った息子ぼくを見て大いに満足した母上は、侍女の1人を連れて自分の部屋へ戻った。残された僕ともう1人の侍女とで兄上達がいる僕の部屋へと帰る。


自分の部屋なのにノックをするのはなんだか変な感じだ。けれど、自分より身分の高い人がいるから、と意を決したように扉を叩く。侍女は「リヒト様。何かあればお呼びくださいね」と言うと、一礼して一歩下がった。僕が部屋へと入れば、彼女は自分の仕事に戻るのだろう。僕にはまだ従者がいないから色んな人が代わり代わりに付いている。いつも通り「うん、ありがとう」と返しておいた。


「ただ今戻りました。失礼します」


足を進める度にふわりと()()()が靡く。今は慣れない足の感覚が何だか懐かしい。


「おかえり…リヒト?」

「よ...妖精...」


見惚れたらしい二人。いち早く正気に戻ったのは兄だった。


「リヒト!!!よく似合ってる!」


「ありがとう兄上…」


凄い勢いで頬擦りをするクロイツ兄上に引いていると、王子からくぐもった声が聞こえた。


「ああっあのえっと!!俺は、ヴァブルガ王国第3王子ジェード・ラ・モルド・ヴァブルガだ。お前は、リヒト嬢…であっているか?」


真っ赤な顔をしたらジェード王子。


あ、これは駄目だ。ほっといたらあかんやつ。本能的に僕は悟る。早急に誤解とかないと大変なことになる。


僕はひっつく兄上を引き剥がし、王子に向かった。


「このような格好ですみません、ジェード王子。僕はリヒト・フュルスト・フォン・ヴェステンと申します。…ヴェステン家、次男です」


「…じ、なん?」と声を漏らしたジェード王子の背後に稲妻が見えた気がする。いや、申し訳ない。その様子を見ていた兄上は「ああ、成程」と一言。何やら合点がいったような表情をしていた。


「嘘だ!!!」


半泣きのジェード王子に罪悪感がわく。

これ、友達になれるのか?


ともかく、王子の初恋頂きました。


「何でドレスを着てるんだっ?!」


「最近まで病を患っていまして、願掛けのためです」


苦笑いで答えると彼はわなわなと震えた。


「…そんなこと俺は信じないからな!!」


ええええええぇぇぇぇ(遠い目)。


僕が呆然としていると兄上が真顔でジェード王子に近付いて行った。一体何をするつもりだろうか。疑問に思うも見守ることにした。と、いうよりも兄上に任せることにした。


「例え君が信じなくても、君とリヒトが結ばれることはない」


それもそうだ。同性婚はこのヴァブルガ王国で認められていない。心の中で頷いた。


「っ何故だ!」


頑なに認めようとしない王子に「いや、ですから僕は…」と言いかけていると兄上はそれを制した。


「君の実の兄が第1王子だからさ!!」


「えっ」


第1王子関係なくない?!


何も知らない僕の頭は混乱した。しかしジェード王子の方を見てみると、何やら知っている様子だ。動揺している。


「君が今すべきことは1つ。リヒトに求婚することではない。第1王子にストーカーを止めさせることだ!!」


ストーカー…?

ちょ、第1王子何してんのーーーーーー??!!


事態が読めない僕の頭は更に混乱した。


「話はそれからだな」と締めくくった兄上は、悔しそうなジェード王子を鼻で笑う。


待って。ねぇ待ってよ。僕の家族、王族に対してとんでもないことばっかやってない?大丈夫なのこれは。


この後すぐに王家の迎えに連れられて帰ったジェード王子だったが、何やら決意新たな目をしていた。非常に面倒な予感がする。


兄上といえば、スッキリとした表情で見送っていたが。


「何だかなぁ」


後日、ジェード王子から手紙が届くようになり、こうして僕らの文通は始まったのである。



おまけ

☆兄の心中

クロイツ(リヒトのことを女の子だと思ってたのか。あの時、彼女、なんて言うから気づかなかった。それにしても、あの様子…初恋か?あの第1王子の実弟だから執拗いだろうな。大丈夫だろうけど、念の為リヒトに意識がいかないように根回しを…。それから…)


☆続・ストーカー疑惑

リヒト「兄上。第1王子がストーカーというのは…?」

クロイツ「…いいか、リヒト。世の中には知らない方が幸せなことがあるんだ」

リヒト「?」(あの兄上が遠い目をしている、だと?!)

クロイツ「そのうち嫌でもわかる…」

リヒト「兄上…」(あの兄上が精神的ダメージを受けている、だと?!)

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