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51 転移魔法陣の謎

 翌日、学校へ行くとオーギュスト校長から呼び出されました。

 案の定、用件はアンリエットのこと。


「どうしても嫌ならそう言ってもらって構わないんだが、もしそれほど嫌でなければアンリエットの研究にできるだけ協力してほしいんだ」


 意外とアンリエットはこういう根回しができる子のようです。

 先回りして根回しされてしまうと、もうそういうことになってしまいそうですね。


「それほど嫌ってわけでは……」

「それならば、ぜひとも!」


 って感じの流れで、アンリエットの要求通りに週3日研究室に通うことになってしまいました。


 それから何回かアンリエットの研究室で研究を手伝ったり、ルーン文字を教わったりしながら、少しずつアンリエットとも打ち解けてきました。

 すっごく自分勝手で思い立ったら一直線なところは最初に会ったときに感じたままですが、意外と繊細で感受性豊かな面もあるんだなって感じ。

 研究以外のことにも知識は豊富で、話題にも事欠きません。


 ちなみに、反重力魔法の魔道具については実用化するまでには、まだいろいろな課題があるようです。

 その課題をクリアしたとしても、1つ作成するのに相当時間がかかるようですので、そのときになっても週1個のペースにしたいとのこと。

 そうでもしないと、他の研究がまったくストップしてしまうようです。

 それほどお金には困っていないようですから、自分の研究を優先したいでしょうからね。


 アンリエットのおかげで魔法陣に書かれていたルーン文字の解読もすべて完了しました。

 今まで解読済みと思っていた部分もどうやら誤読していたようで、魔法陣なしでの転移のときに必要な魔力もずいぶん節約することができるように。

 そして、まったく意味がわからなかった部分は、想像通り転移先を指定するための情報みたいなんです。


 「情報みたい」としか言えないのは、書いてあるルーン文字を読んでもらっても、わたしの知識ではその意味を十分に理解できないんですよ。

 理解できない以上、それをイメージ化して無詠唱魔法に利用しようなんてところまでは、とてもとても。


 ちなみに書かれていた内容は、太陽と月と他のいくつかの星の位置を取得する方法。

 

 これらの情報を取得できれば、現在の日時と位置がわかるそうですが、それがどういうことなのかさっぱり理解できません。

 ということで、アンリエットに現在、天文学の初歩を教えてもらっています。


「わたしたちの住んでいる世界も1つの星で、太陽の周りを回っているのよ。太陽のような星を恒星、わたしたちの住んでいる星のような恒星の周りを回っている星を惑星って呼ぶの」


 とか言うまったく信じられないような話を教えられて短期間で理解しようとしても、わたしの常識はついていけません。

 どうして昼と夜があって、四季の変化があるのかなんて考えたこともなかったんだから。

 すべて神様の作り給いし世界ってのが、わたしの常識だったのがそこからあまりにも逸脱しすぎてて。


「ねぇ、アンリエット。

 そういうことから勉強していかないとムリな話なの?」


 さすがにちょっと頭が爆発しそうになって、弱音を吐きたくなってきましたよ。


「うーん、星の座標から現在位置と目標の位置を取得しようと思うと、こういった知識なしじゃ難しいかも……」

「そうか……

 でもさすがにちょっとくじけそうだから、時間をかけてゆっくり進めることにするわ。

 悪いけど、気長につきあって」

「うん、もともとお願いして手伝ってもらってるのは、こちらの方だから気にしないで」


 それにしても、いくら天才とはいえ、初等学校のアンリエットは一体どこでここまでに知識を得たんでしょう。

 それにこうした知識が体系だって魔法陣に応用されているってことは、魔法陣が作られた時代にはこうした知識が前提としてあったということなんでしょうか?


 少なくとも前世で知り得た限りの常識では、今のこの時代にこうした知識を持っている人とかいないのではないのかなって気がしてます。


 アンリエットにせよ、転移魔法陣にせよ、いろいろ謎めいてますね。

 でも、別にそれが悪いってことじゃない。

 大いなる秘密がありそうです。


 いつか話してくれるかな?

 とか言ってるわたし自身が大きな秘密持ちなわけだから、自分のことを棚に上げたまま、アンリエットの秘密に迫ろうなんて都合よすぎる話かも……

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