エピック160【力の証明】
神殿の外、闇の気配が漂う空間の奥――ディザステトが残る幹部たちの前に姿を現し、低くはっきりとした声で告げた。
「儀式の流れははっきりしている。これまでの段階は力の証明、教養と叡智の証明、そして最後に皇帝神域踏破が待っている」彼は傍らに立つ赤黒い鎧の男、ベロルムへと視線を向け、続ける。
「力と闘争の面は、お前に任せる。ベロルムよ、お前の荒ぶる魔力と破壊の力で、力の証明の場を乱し、ジョンアイデルに真の実力を見せつけてやれ」次に視線を移したのは、白いローブに黒い亀裂の紋様をまとうカースだ。
「そして、知識と道理、歴史の裏側を問う段階は、カース、お前の出番だ。古の記録や隠された真実を用いて、彼の心と思考の隙間を突き、揺さぶってみせろ」ベロルムは拳を固め、鎧の隙間から赤い炎のような魔力を立ち上らせ、不敵に笑う。
「ああ、任せておけ! 俺の力の前では、どんな結界も知恵も意味をなさない! 真の力とは何か、骨の髄まで教えてやる!」一方、カースは冷静に指先で魔力の糸を操り、薄く笑みを浮かべる。
「教養や道理とは、解釈次第でいくらでも形を変えるもの。彼が正しいと信じている歴史や理想に、少しずつ亀裂を入れて差し上げましょう」ディザステトは二人の言葉に頷き、マゼンタ色の瞳に冷たい光を宿らせた。
「そうだ。儀式の三段階をそれぞれ歪め、彼の資格そのものを根底から覆す。もしそれでも立ち上がってくるようなら――最後は私自身が神域の前で待ち受ける」闇の側の作戦は明確に定められ、次なる干渉の準備が整えられた。神殿では儀式の次の段階が始まろうとしていた。ハキハキと、闇側の次なる作戦が明らかになる!!神殿の祭壇前に立ち、浮かび上がった古文書の文字を指でなぞりながら、ジョンアイデルは頷いて独り言ちた。
「力の証明は、要するに精霊の召喚や使役、己の魔力の総量、剣や魔法での戦闘力を測る儀式のようだな」彼は肩をすくめ、少し呆れたような表情を浮かべる。
「今更な気がするけどね。ここまで四天王二人と渡り合ってきた身に、今さら基礎的な力量審査とは――」言い終わらぬうちに、祭壇の紋章が真っ白く輝き、神殿中央の床が光の線で区切られ、広い試練の舞台が出現する。空気がざわめき、周囲の木々や風の精気がゆっくりとこの場に集まり始めた。クレティアが後ろから声をかける。
「歴代の皇帝候補にとっては最初の大きな壁なのでしょう。力だけでなく、周囲の自然や精霊と調和できるかも見られているのだと思います」
「調和、か」ジョンアイデルは手のひらに緑色の魔力を灯し、軽く握り締める。その瞬間、舞台の奥の空間がねじれ、赤黒い瘴気が裂け目から溢れ出し、重く低い笑い声が響き渡った。
「フン! 儀式の審査など生ぬるい! 俺がお前の“力”の本当の重さを教えてやる!」裂け目から現れたのは、全身を荒々しい赤黒の鎧で覆った巨体――四天王の一人、ベロルムであった。ハキハキと、儀式の場にベロルムが乱入!!赤黒い瘴気が渦巻き、ベロルムの重圧が場を支配しようとした瞬間――
神殿の奥の光壁が柔らかく開き、銀糸のような長い髪を垂らした女性がゆっくりと歩み出た。
「待ちなさい」澄み渡りながらも場の空気を制する力強い声が響く。現れたのは、女皇・フィリアだ。彼女は祭壇の紋章に手をかざし、浮かび上がった魔術陣の光を一段と強める。
「マリスソムニアの干渉、乱入までは――想定の範囲内だったわ」薄く笑みを浮かべ、ベロルムの荒々しい気迫を真正面から受け止める。
「だったら逆に利用するまでのこと。ベロルム、君はマリスソムニアでも随一の力を持つ戦士と聞く」
彼女の瞳が光を帯び、儀式の舞台の結界が固く張り直される。
「ならばちょうどいい。形式的な審査より、はるかに実戦的な“力の証明”になる。儀式の場で、君の真の実力を存分に見せてもらいましょう」魔術陣の輪郭が鋭く輝き、舞台全体が「審査空間」へと変質する。ベロルムは鎧の肩を鳴らし、血走った瞳でフィリアを睨み、次いでジョンアイデルへと視線を移して低く笑った。
「面白い! 望むところだ! この場で、皇帝になどなれる器かどうか、骨の髄まで確かめさせてもらう!」ジョンアイデルは剣の柄に手を置き、前に一歩踏み出す。
「なら遠慮なく相手になる。力で問うというなら、俺も全力で応えるまでだ」儀式は審査から本格的な実戦試練へと様相を変え、緊張感が高まっていく――ベロルムの全身から、どす黒い闇のオーラが噴き上がる。
瘴気が鎧の表面を這うように流れると、鈍い赤黒の金属部分が次々と形を変え、鋭い棘や刃状の装飾が肩、胸、膝へと次々に生まれ、禍々しい輝きを帯びていく。特に頭部――額から側頭部にかけて、まるでアイスラッガーのような湾曲した刃状の角が左右にせり出し、闇の魔力で冷たくきらめいている。投げれば空間すら切り裂き、頭突き一つで岩を砕く凶器へと変貌していた。
「これが俺の真の武装!」低く唸る声と共に、彼は右腕を前に構える。分厚いアームシールドが魔力で強化され、盾としても打撃武器としても使える重厚な形に変わり、反対の手には、瘴気をまとった大剣がしっかりと握られる。
「行くぞ!」踏み込むたびに床の石畳がひび割れ、闇の重圧が舞台一面に押し寄せる。フィリアは結界の強度を確かめながら、ジョンアイデルに短く告げる。
「頭の刃は遠近両用、盾は打ち合いに強い。力押しだけでは受けきれない」
「ああ、見ればわかる」ジョンアイデルは腰の剣を抜き、左手に風の精霊の光をまとわせる。魔力を走らせると、周囲の空気が軽く渦を巻き、彼の周りに守りの膜が生まれた。
「だが――力の証明なら、正面から受けて立つのが礼儀だろう?」緊張が頂点に達した瞬間、ベロルムの巨体が地を蹴り、最初の一撃が放たれる――迫り来るベロルムの闘気を受け止めながら、ジョンアイデルは静かに自身と契約を結ぶ存在たちの名を口にする。
「俺が契約した精霊たちはこうだ――美と調和を司るアルセンス、元素の頂点に立つ元素王ミラ、魔術の根源たる魔のマデウス、冥府の理を握るプルート、聖なる光のホーリィー、時空を操るクラノス、あらゆる事象を読み解く特異のラプラス、それから風のシルフであるウォムとチリー……か」彼が名前を並べ終えたその瞬間、舞台の空気が柔らかく波打ち、澄んだ少女のような声が風に乗って響き渡った。
「アイデル様」見えない風の精霊――シルフ・エアイレの声が、まるで耳元で囁くように、しかしはっきりと場に届く。
「あなたは私たちすべてと心を通わせ、力を引き出す資格を持っています。個々の力だけでなく、それぞれの性質を組み合わせ、高め合うこともできるのです。遠慮なく、私たちの力も使ってください」声が消えると同時に、ジョンアイデルの周囲に淡い光の輪が次々と浮かび上がった。それぞれの輪には異なる色と性質――水色、緑、紫、漆黒、白、黄金、透明なきらめき――が宿り、彼の意思一つで自在に流れ変わる様子が見て取れた。ジョンアイデルは手のひらを開き、複数の光を少しずつ融合させながら、前に立つベロルムを真っ直ぐに見据えた。
「なるほど……力の証明とは、己の魔力の強さだけでなく、共に歩む存在たちと調和し、力を引き出すことも含まれる、というわけか」彼の瞳に決意の光が宿る。風が、火が、水が、地が、光と闇が、時の流れすらも、彼の周囲で静かに意思を持って待機している。
「よし……ならば遠慮なく、全力で応えさせてもらおう」
ベロルムはその光景を見て、不敵な笑みを浮かべながら大剣を地面に打ちつける。
「契約精霊の数が多いだけで何ができる! 力は一点に集中してこそ真価を発揮する! それを見せてやる!」
再び重い踏み込み音が響き、闘いはいよいよ本格的な段階へと突入する――ハキハキと、契約する精霊たちの全貌と共鳴が明らかになる!重く低い声が舞台に響き渡る。ベロルムは全身の闇の魔力を剣に集中させ、大きく振りかぶると――
「行くぞ!喰らいやがれ!!」一閃、赤黒い斬撃が真空を引き裂くように飛来し、ジョンアイデルめがけて一直線に迫る。だがその瞬間、彼の周囲に浮かんでいた複数の光の輪が一斉に輝きを増し、一つに溶け合うように集まった。美感のアルセンス、元素王のミラ、魔のマデウス、冥府のプルート、聖のホーリィー、時空のクラノス、特異のラプラス、シルフたち――契約する全ての精霊たちが、同時に力を注ぎ込んでいく。七色の輝きが渦巻き、ジョンアイデルの体を包み込む。光が収まったとき、そこには見た目にも荘厳な姿が現れていた。虹色にきらめく金属の鎧が体を守り、同じ輝きを帯びた戦闘服がその下に、背中には風をはらむようなマントが翻っている。全ての属性の特徴を併せ持ちながら、一つの調和した形にまとめ上げられていた。ベロルムは迫った自分の斬撃が虹色の膜に触れた瞬間、たやすくかき消されるのを見て、目を見開いて叫んだ。
「これは……まさか! 全属霊依だと!?」それは単体の精霊と同調するのではなく、契約する全ての精霊の力を同時に統合し、己の身にまとうという、伝説的とされる力の行使形態。個々の力を超え、互いの長所を引き立て、弱点を補い合うことで、あらゆる性質の攻撃に対応できると言われている。ジョンアイデルは虹色の輝きをまとったまま、ゆっくりと剣を構え直し、静かに告げた。
「全ての力を一つにまとめ、共に戦う。これが俺の力の証明だ」場の空気が一段と高まり、力と力の真っ向勝負がいよいよ本格化する―― ハキハキと、伝説の力「全属霊依」が発動!「なんだと!?戦禍の震撃をくらえ!」ベロルムは怒気を込めて叫び、右手の大剣が瞬く間に巨大な闇色の戦鎚へと形状を変える。全身の魔力を一点に集中し、重々しく地面へと叩きつけた。
ドゴオオオン!!
衝撃波が地割れと共に四方へ炸裂し、土煙と岩片が嵐のように吹き上がる。だが――
「無駄だ!」虹色の鎧をまとったジョンアイデルは、爆発の瞬間を見極めるように高く跳躍。二振りの龍刀が七色の光を帯び、宙で閃いた。
一閃――風の刃。
二閃――炎の斬撃。
三閃――雷の切っ先。
四閃――水の衝波。属性の異なる四つの斬撃が重なり合い、渦巻きながら一直線にベロルムへと襲いかかる。霊依の調和により、どれ一つとして欠けることなく、互いの力を高め合いながら迫る。
「な、なんだこれは……!」四連撃は闇の防御を次々と打ち砕き、ベロルムの前に炸裂した。土煙の中からは虹色の輝きがますます強まり、全属霊依の力がまだまだ底を見せていないことを告げていた。
「くらえ!乱撃飛闘美弾!」ベロルムの背中に展開した多連装ランチャーが唸りを上げ、闇色のミサイルが次々と火を噴く。一直線に迫る爆撃の嵐――だが、虹色の鎧をまとったジョンアイデルの周囲で、微かな風の精霊たちが一斉に動き出した。
「シルフよ、流れを作れ!」瞬間、見えない風の壁が渦を巻き、ミサイルの進路を次々と捻じ曲げる。右に逸れ、左にそらされ、時には互いの軌道が衝突して空中で爆発するだけ。精密な風の制御により、一発たりとも本体に届くことはない。
「なんだ? 魔力で防いだわけでもないのか!」
「風はあらゆる軌道を読み、あらゆる直進を曲げる。これがシルフの導きだ!」煙が晴れると、ジョンアイデルは既に龍刀を構え、次の一手を窺うように静かに立っていた。全属霊依による精霊たちの連携は、まだまだその真価を見せたばかりだ。
「舐めた真似を……!」ベロルムは額から左右にせり出した鋭い刃を外し、勢いよく投げつける。回転しながら虹色の鎧目がけて飛来するそれは、まるで回転する鎌のように鋭い殺気を纏っていた。だが――ジョンアイデルは微動だにしない。
「甘い!」低く叫ぶと同時に、彼は腕を鋭く振り下ろす。鍛え抜かれた手刀が、飛来する刃の中心部を正確に打ち据える。
カキーン!!
金属同士が激突する鋭い音が響き、刃は勢いを失って地面に落ち、転がっていく。一切の無駄も、一切の隙もない一撃だった。
「飛ぶ道具が増えたところで、当たらなければただの鉄くずだ」ジョンアイデルは冷ややかに言い放ち、まだ構えを解かない。ベロルムの猛攻が続くことを、彼は既に予測しているようだった。
「憤災拳!」怒りを爆発させたベロルムが、左腕のアームシールドごと拳を振りかざし、渾身の力を込めてジョンアイデルの胴体目がけて殴りつけた。闇の瘴気を纏った一撃は、まるで岩山が崩れ落ちるような重圧を伴い、衝突音が轟音となって神殿内に響き渡る。
だが――拳が虹色の鎧に触れた瞬間、ベロルムの目が信じられないものを見たように見開かれた。衝撃はあったはずなのに、ジョンアイデルの姿は微動だにせず、鎧にひび一つ、傷一つついていない。彼の周囲を流れる虹色の光が、ベロルムの力を柔らかく受け止め、分散し、完全に無効化していたのだ。
「な……何だこれは!? 俺の全力の拳が、まるで効いていないだと!?」
ベロルムが驚愕して声を上げる中、ジョンアイデルは冷徹な瞳で相手を見下ろし、はっきりと告げた。
「無駄だ。この全属霊依は、あらゆる力の性質に対応し、受け流し、中和する。お前の破壊の力も、俺の前ではただの力の波動に過ぎない。……ダメージは一切、通じていない」鎧の虹色の輝きがさらに強まり、まるで逆にベロルムを威圧するかのようだ。力の差は歴然となり、ベロルムの額には初めて冷や汗が浮かぶ。
「これほどまでに……だが、まだ終わってはいない! 俺の力の底はこんなものではないぞ!」ベロルムは奥歯を噛みしめ、さらに力を絞り出そうとするが、既に体の動きには明らかな硬直と焦りが生まれていた。ハキハキと、全属霊依の防御力が圧倒的な力を見せつける!!
「もういい、お前の力はどれほどか分かった!確かに純粋な身体の力や魔力って点では強者、だが、それだけ!」ジョンアイデルの声は、空気を震わすほどにはっきりと響いた。虹色の全属霊依が眩しく輝き、彼の全身からは圧倒的なまでの余裕と、力の本質を見抜いた者の誇りが溢れ出す。
「力の使い方、見極め方、戦いの本質――何もかもが浅い。ただ力任せに暴れるだけでは、俺には届かない!」言葉と共に、彼は鋭く手刀を振り下ろす。まるで空気すらも切り裂くかのような一閃。虹色の光の刃が走り、ベロルムの左腕へと一直線に迫る。
「な、何だ――!?」ベロルムが事態を把握する間もなく、金属とも生身ともつかないその腕は、まるで紙のように断ち切られた。
スパッ!
鮮やかな切断音が響き、左腕が地面に落ち、どうと重たい音を立てる。断面からは闇色の流体が溢れ出し、ベロルムは激痛と驚きに絶叫する。
「あああああっ!俺の腕が……俺の腕がぁぁっ!」今までどれほどの攻撃も通用しなかったのに、たった一振りの手刀で、自慢の腕が無造作に斬り落とされた。力の差が絶望的なほど明らかになり、ベロルムはただただ後ずさることしかできない。ジョンアイデルは冷徹な瞳でその姿を見下ろし、静かに告げた。
「これが、力に『技』と『理』が加わった者の到達点だ。お前の力は、ただの暴力に過ぎない」虹色の鎧の輝きはさらに強まり、ベロルムを逃れられない絶望へと導く。
「コイツ!許さん!許さん!許さん!許さん!許さんぞぉぉぉぉぉぉぉ」絶叫と共に、ベロルムの断たれた左腕の断面から闇の瘴気が渦巻き、膨れ上がり、瞬く間に無数の腕が生まれ出た。右肩からも、背中からも、腰回りからも——体中から黒く太い腕が次々と出現し、やがて全身を覆い尽くすほどの千の腕が形成される。まるで生ける闇の大樹のような姿へと変貌を遂げ、その数は百、二百、三百……際限なく増え続け、空間さえも埋め尽くさんばかりだ。
「これが俺の真の力……! 腕が千本あれば、一撃が通らなくても、十撃が効かなくても、千撃叩き込めば必ず砕ける! 貴様の鎧も、体も、骨も、残らず粉々にしてやる!」千本の拳が一斉に闇のオーラを纏い、空気を引き裂くような轟音を立てながら一斉にジョンアイデルへと襲いかかる。まさに絶望の鉄槌——全方位から逃れる隙もなく、無数の破壊の拳が雨のように降り注ぐ。だが——ジョンアイデルの瞳には、依然として焦りの色など一片も浮かんでいなかった。虹色の全属霊依が激しく輝き、彼の周囲には見えない強固な結界が生まれる。
「数を増やしただけか……」低く呟くと、彼は無防備に見えるほど自然な構えのまま、迫り来る千の拳の中心へと歩みを進めた。虹色の光が一閃する度に、闇の腕が一本、また一本と切断され、宙を舞う。
「数が千になろうが、万になろうが……技も理もない力の奔流など、ただの波に過ぎない!」ジョンアイデルの手刀が円を描き、旋風のように回転する。切断された腕の破片が辺りに飛び散る中、彼はただ一歩ずつ、確実にベロルムへと近づいていく。千手の猛攻は、まったく彼に届いていないかのようだった。無数の腕が断ち切られ、闇の瘴気がただちに霧散していく中、ジョンアイデルは一切の速度を緩めることなく、ベロルムの眼前へと到達した。千の腕による最後の抵抗も、虹色の光の前では無力に打ち砕かれ、肥大化した闇の体は原形を失い、もはやただの不安定な塊へと成り果てていた。ジョンアイデルは冷徹に、だが静かな声で告げる。
「これで終わりだ」彼は虹色に輝く右手の指を一本まっすぐに伸ばし、ベロルムの胸元――心臓にあたる闇の力の核が脈打つ、まさにその中心へと突きつけた。
ピィィーン……
指先から放たれた全属性の力が一点に収束し、触れた瞬間、ベロルムの体にはまったく抵抗する間もなく、綺麗な貫通穴が開く。
「あ……ああああ……!?」それは物理的な攻撃ではなく、彼の存在そのもの、闇としての根源を直接穿つ一撃だった。驚愕と絶望の声を上げる間もなく、ベロルムの巨体は内側から光に満たされるように崩れ始める。禍々しかった鎧も、千の腕も、闇のオーラも、すべてが光によって浄化され、細かな灰となって宙に舞い、やがて風に溶けるように完全に消滅していった。最後には何も残らない。ただ、力の証明の舞台だった結界内に、静かな静寂だけが戻ってきた。ジョンアイデルは指先をゆっくりと閉じ、全身を覆っていた虹色の鎧と光の衣を解く。全ての精霊たちの力は彼の内へと還り、普段の姿へと戻った彼は、何事もなかったかのように平然と立っていた。フィリアが結界を解きながら、厳かな表情で頷く。
「見事な勝利……ただ力で打ち砕くのではなく、力の本質を示し、あらゆる攻撃を受け入れた上で制する。これで力の証明は完全に合格です」ジョンアイデルは周囲を見渡し、まだ緊張が解けきらない神殿内へ向けて、はっきりと宣言した。
「純粋な力のぶつかり合いなら、俺はどんな相手にも負けるつもりはない。だがこれはまだ序章に過ぎない。次の段階、教養の証明――そして最後の皇帝神域踏破へと進もう」ハキハキと、四天王ベロルムを撃破!力の証明が完了する!!




