エピック155【ミクスタッド国の状況】
王宮の客間で、旅の疲れを少し落ち着かせた一同。ジョンアイデルは窓の外に広がる王都の街並みを眺めながら、振り返ってフィリアにハキハキと問いかけた。
「そういえば、即位の儀式はいつ行うんだ? 準備があるなら、早めに内容を把握しておきたい」フィリアはティーカップを置き、穏やかながら確信に満ちた表情でハキハキと答える。
「儀式は2週間後に予定してあるわ。元老院や神官団、各国の使節団の手配も順調に進んでいるから、それまでに体調を整えておけば大丈夫」彼女は少し笑みを浮かべ、続けて言葉を重ねた。
「君なら、この儀式を立派に成功させられると私は思っている。なんせ、畜生界を統べ、魔獄界を制覇し、こうして世界中から期待を集めるだけの素質と力を備えているんだから。儀式の作法は形式的なものが多いけれど、君自身の在り方こそが何よりの証明になるわ」ジョンアイデルは頷き、手のひらに微かな虹色の魔力を浮かべてみせる。
「形式も重要だが、俺が民に示すべきなのは『これからの道』だ。2週間あれば、このミクスタッドの現状もじっくり見て回れるな」隣にいたクレティアも頷きながら加える。
「そうね。儀式の準備だけでなく、この国が今どんな状況にあるのか、直接知っておくことも大切だわ」フィリアは同意するように手を打った。
「それもそうね。この2週間、まずはアルたちから国の政治・経済・軍事の現状を説明してもらうことにしましょう。新皇帝として、最初に知るべき事実がたくさんあるわ」 ハキハキと、未来を見据えて準備を進めよ!即位まで2週間。この期間にジョンアイデルはミクスタッドの実情を知り、真の支配者としての足場を固めていくことになります。王宮の会議室で、ジョンアイデルはこの国の構造について整理しながら、ハキハキと問いかけた。
「このミクスタッド皇国は、居住区が地下1~3層、それに地上層、そして皇都の中枢が構えられる空中エリアに分かれていることは把握している。また、かつての敵であったクリミナルデビルたちの改心組が、復興事業に協力しているという話も聞いているが……詳しい現状はどうなっている?」側に控えていたメイドが一歩前に出て、礼儀正しくハキハキと報告する。
「はい、殿下。地下エリアの建築物や道路など、インフラの復旧作業自体はすでに完了しており、多くの民が安心して暮らせる状態になっています。ですが、解決すべき課題も残っております」彼女は少し言葉を区切り、続けた。
「特に空気浄化システムと浄水システムが、以前の戦乱の影響で完全には回復しておりません。時折、古い瘴気の残りや不純物が混ざることがあり、特に地下深くでは生活環境が万全とは言えない状況です」その報告を聞いたジョンアイデルは、すぐに対応策を決定し、力強くハキハキと指示を出した。
「なるほど。では早速、リヴァイアサンとテリオンに仕事をしてもらおう。彼らの力は自然の調和や浄化に長けている。浄化システムの強化を、当面の第一優先事項として取り組ませるように」傍らで話を聞いていたクレティアも頷き、補足する。
「なるほど。巨大な水の力と魔科学の力を持つリヴァイアサンと、大地と大気の理に通じるテリオンなら、人力だけでは何年もかかる作業を短期間で根本的に改善できるわね」
「ああ。建物が立っているだけでは意味がない。民が安心して呼吸し、安全な水を飲める環境こそ、国の基本だ」ジョンアイデルは静かに目を細めた。
「改心したクリミナルデビルたちには、今後の維持管理や拡張工事で力を貸してもらえばいい。力の使い道を正しく示すことも、俺の役目だからな」こうして即位前から、ジョンアイデルは具体的な政策を打ち出し、国の土台固めを着実に進め始めた。ハキハキと、民の暮らしを守る根本から整えよ!!復興の見えない部分にある課題にもいち早く目を向け、適材適所に力を配分するジョンアイデル。この2週間で、ミクスタッドは目に見えて住みやすい国へと変わり始めることでしょう。会議室で報告を聞きながら、ジョンアイデルは次の点を確認するように、ハキハキと問いかけた。
「そうか。では、地上層の復興状況はどうなっている?」
傍らで記録用の石板を持っていたメイドは、事前にまとめられた資料を確認し、ハキハキと答える。
「はい、殿下。地上の復興作業はすでに1年以上の年月をかけて完了しております」彼女は説明を続ける。
「戦乱で荒廃した土地の整地、防壁や道路の再建、森や畑の再生作業など、主要なインフラ整備はすべて終了しました。クリミナルデビルの改心組もこの期間に大きく貢献し、特に魔力を使った土地の浄化や建築補助で、予定よりも大幅に早く完成したと聞いております」ジョンアイデルは頷き、少し表情を緩める。
「なるほど。地下に比べれば地上は条件に恵まれている分、先に整ったわけか」
「はい」メイドはさらに付け加える。「現在では農地も豊かに実り始め、交易路も安全に通行できるようになり、各地に活気のある村や街が再び姿を見せています。ただし……」少し言葉を濁すメイドに、ジョンアイデルは目で続きを促す。
「ただし、何かまだ課題があるのか?」
「はい。建物や土地は復旧しましたが、長らく途絶えていた産業の再興や、周辺国との交易ルートの完全な安定化、治安維持体制の強化など、これから定着させていくべき部分も少なくありません」ジョンアイデルは静かに腕を組み、状況を整理する。
「つまり、形としての復興は終わったが、『安定して続けていける仕組み作り』はこれから、というわけだな。ならば、地上は当面の急務はないが、今後の発展を見据えて計画を立てていく必要がある」クレティアも隣で同意するように頷く。
「地下が生活の基盤、地上が食料と交易の拠点、そして空中エリアが政治の中心……それぞれ役割が分かれているのね。全体のバランスを整えていくことが大切になりそう」ジョンアイデルは再び決意を込めて言葉をまとめた。
「よし。優先順位は明らかだ。まず地下の浄化システムをリヴァイアサンたちに任せ、地上は様子を見ながら徐々に体制を固めていく。では、最後に皇都のある空中エリアの状況について、説明してもらおうか」ハキハキと、国全体の輪郭が次第に見えてくる!!地下、地上の状況が明らかになり、残すは中枢である空中エリアのみ。メイドは手元の報告書を確認し、引き続きハキハキと答えた。
「空中エリアについてご説明いたします。開発が本格的に始まったのは半年前のことで、最初に王宮機能の移転が完了しました」彼女は指で資料の地図部分を示しながら、順を追って説明する。
「続いて中枢となる皇都ジョーステッドの整備が進み、官庁街、交易市場、貴族居住区などの基本的な区画はすでに完成し、官吏や商人たちの移住も始まっています。大気が安定し魔力も濃いため、今後の中心拠点として最も期待されている地域です」
「そしてもう一つ、現在開発が進められているのがネームレス特区です」
ジョンアイデルは少し眉を上げ、問いを重ねる。
「ネームレス特区? それはどんな場所なんだ?」
「はい」メイドは言葉を続ける。「ここは主に、クリミナルデビルの改心組や、戦災で故郷を失った者、また新たにこの国に移り住みたいと希望する者たちのために設けられた特別区画です。身分や過去に関係なく、能力と誠意さえあれば誰でも受け入れられる『名前に縛られない場所』という意味で、こう名付けられました」 ジョンアイデルは頷き、静かに腕を組んだ。
「なるほど。過去の罪や生まれで差別せず、新しい人生を始められる場所……俺が目指す国の理想に、よく合っている」
「ただし」メイドは少し慎重な口調を加える。「まだ開発の途中段階です。住居やインフラの整備は進んでいますが、治安体制や教育施設、職業の斡旋など、これから定着させていくべき仕組みが多く残されています」傍らで聞いていたクレティアも感想を述べる。
「地下が生活の基盤、地上が食料と交易、そして空中エリアが政治と新しい可能性の中心……それぞれに役割がありつつ、まだ完全な形にはなっていないのね」
「ああ」ジョンアイデルは力強く言い切る。
「それでいい。最初から完璧な国など存在しない。俺たちがこれから少しずつ形を作り、育てていけばいい。まずは地下の浄化を急ぎつつ、特区の運営方針もじっくり考えていこう」ハキハキと、空中に新たな可能性が広がる!!最初のメイドの説明が一段落したところで、別のメイドが一歩前に進み、同じくハキハキと補足の報告を加えた。
「それともう一つ、殿下。畜生界の各勢力の幹部たちが、このミクスタッドにそれぞれの支部を設立しています」ジョンアイデルは少し目を見開き、問い返す。
「畜生界の勢力がこちらに拠点を? どういうことだ?」
「はい」メイドは資料をめくりながら説明を続ける。
「悠貴様を筆頭とする欲動同盟、咲鬼様率いる剛力組、袿佳様の人神兵団、真知江様の鬼頭組、そして慚夢様の人鬼勢力――いずれも殿下が畜生界を統べた後、正式に盟約を結び、ミクスタッドとの交流窓口として、それぞれ小規模ながら支部を開設されました」
「なるほど」ジョンアイデルは納得したように頷く。
「力で屈服させたわけではなく、互いの理を認め合った結果だ。ただの支配ではなく、連携と共存の形を作るということか」
「その通りです」メイドは続ける。「現在は主に地上エリアの外れや、空中エリアのネームレス特区の一画などに拠点を構えており、交易の仲介、技術交流、魔術研究の協力などを少しずつ始めています。ただしまだ体制が整ったばかりのため、正式な連携ルールや安全保障の取り決めはこれから定めていく段階にあります」クレティアも興味深げに耳を傾け、口を開く。
「畜生界との架け橋ができつつあるのね。それはミクスタッドにとっても大きな財産になる。彼らが持つ独特の技術や魔力、知識は、復興と発展に大いに役立つはずだわ」
「ああ」ジョンアイデルは前を向き、決意を込めて言った。
「これも俺が目指す『多様な力が共存する世界』の第一歩だ。支部の運営には自由度を持たせつつ、基本的な秩序と相互の信頼関係をしっかりと築いていく。彼らが安心してこの地で活動できるようにすることも、俺の責任だ」ハキハキと、国境を越えた新たな連携が始まる!!国の現状と課題を整理したそれから1週間。ジョンアイデルの指示のもと、ミクスタッドでは着々と改善の動きが進んでいった。
まず最優先とされた地下エリアでは、リヴァイアサンとテリオンの力が早速発揮された。大地と大気、水の流れを根本から整える彼らの働きにより、古くから残っていた瘴気は数日で完全に浄化され、空気浄化システムと浄水システムは従来の数倍の効率と安定性を備えたものへと生まれ変わった。地下に暮らす人々からは、「長年の悩みが解消された」と喜びの声が続々と届いた。地上エリアでは、復興完了後の産業活性化に向けて体制が整えられた。クリミナルデビルの改心組たちもそれぞれの得意分野で力を発揮し、魔力を活かした農地の肥沃化や交易路の警備強化などに貢献。周辺国との交易ルートも順次安全が確認され、物資の流通も活気づき始めた。
空中エリアでは、皇都ジョーステッドの官庁機能がさらに充実し、ネームレス特区には新たな住人たちが続々と移り住み始めた。身分や過去に関係なく受け入れられるこの場所は、「新しい人生を始められる街」として少しずつ名前が知られるようになった。また畜生界の各勢力の支部も正式に登録され、交易や技術交流のための初めての会合も開かれ、互いの理解を深める第一歩が踏み出された。1週間後、再び会議室に集まった一同の前で、報告係がまとめてハキハキと告げた。
「陛下、各所からの報告がまとまりました。この1週間で指摘されていた主要な問題点はすべて改善され、国全体がより安定した状態になりました」ジョンアイデルは報告書に目を通し、静かに頷いた。
「そうか。急激に完璧にする必要はないが、こうして着実に前に進むのは良いことだ。こ
れで即位の儀式にも、より強固な足場で臨める」隣にいたクレティアも柔らかく笑みを浮かべる。
「地下、地上、空中、それぞれに役割があって、それぞれが良い方向に向かっているわ。君が目指す『誰もが安心して暮らせる国』の形が、少しずつ見えてきた気がする」フィリアも満足げに頷き、言葉を添えた。「儀式まであと1週間。この調子で準備を整えれば、ミクスタッドに新たな歴史が刻まれる日が、素晴らしいものになるでしょう」ハキハキと、国全体が新たな時代へと整い始める!!




