エピック154【ミクスタッドへ】
祝儀も華やかに幕を閉じ、アルカシティの街路は夜の静寂に包まれていった。ジョンアイデル、クレティア、舞華、ゼレスの四人は、これまで共に暮らしてきた大豪邸の玄関先に立ち、建物全体を見上げて感慨深げな表情を浮かべていた。広大な庭園には月明かりが降り注ぎ、窓から漏れる灯りが長年の思い出を映し出すように柔らかく輝いている。舞華がため息交じりに口を開き、壁に手を添えながら言った。
「この大豪邸とも、間もなく別れかぁー……。学園生活の間、ずっとここが私たちの拠点だったのに」ジョンアイデルは隣に立つ仲間たちを見渡し、静かに頷いて応える。
「ああ、明日にはミクスタッド皇国へ出発する予定だ。移動には龍艦に乗って向かうことになっているよな」
ゼレスも頷きながら、遠くの空を眺めた。
「龍艦……祖龍の力を応用した最速最大級の飛行艦だと聞いています。これまでの旅とはまるで違う、晴れの門出になりそうですね」クレティアは少し寂しさを感じつつも、前を向いて笑顔を浮かべた。
「確かに名残惜しいけれど、ここで過ごした日々があったからこそ、私たちは次の場所へと進めるのよ。ミクスタッドは新しい生活の始まり――そう思えば、わくわくする気持ちの方が大きいわ」
「そうだな」ジョンアイデルは一歩前に踏み出し、背中に虹色の微かな気配を漂わせた。
「この家は懐かしい思い出として心に留めておこう。明日、龍艦の甲板に立ったとき、私たちの本当の戦いと統治が始まるんだ」四人は顔を見合わせ、互いの決意を確かめ合うように軽く頷き合った。明日の出発に備え、それぞれの部屋へと足を向ける。大豪邸は彼らの新たな旅立ちを、静かに見送っていた。ハキハキと、過去に別れを告げ未来へ飛び立て!!翌朝、青空を背景に滑走路に浮かんだ巨大な龍艦――船体には祖龍の紋章が刻まれ、虹色の魔力が静かに脈打っている。ジョンアイデルたちは順に乗り込み、甲板からアルカシティの街並みを見下ろした。やがてエンジンが低く唸り、船体がゆっくりと浮上。旋回することなく、東の空へとまっすぐ飛び去っていく。ジョンアイデルは航路を確認して首を傾げ、不思議そうに言った。
「あれ? ミクスタッド皇国は西側に位置しているから、本来なら西へ向かった方が近道のはずなんだけど……」隣に立っていたフィリアは、くすりと笑いながらハキハキと説明する。
「この龍艦はただの移動手段じゃないんだよ。皇帝や皇位継承者を乗せていることを示す、『象徴』としての船艦なの」彼女は遠く地平線を指し示し、続けた。
「最短距離で帰るだけじゃ意味がない。東の諸国、南の交易都市、北の同盟領――この航路で大陸の各地をゆっくりと巡りながら、『ミクスタッドに新たな皇帝が誕生する』ことを世に宣伝するの。君、ジョンアイデルの名と力を、この旅で大陸中に知らしめるための道のりなんだ」甲板にいたクレティアも納得したように頷く。
「なるほど。近道よりも、周囲に存在を示すことの方が重要なのね。即位前から国際的な立場を固める、というわけか」舞華は舷窓から流れゆく雲の景色を眺めながら、わくわくした声を上げる。
「それじゃあこの旅、各地の街や景色も見られるんだ! 楽しみになってきたわ!」ジョンアイデルも理解を示し、再び東の空へと視線を向けた。
「宣伝、か。確かに力だけでなく、周囲から認められることも統治の一歩だ。この航路で出会うすべての者に、俺が目指す世界の形を少しでも感じ取ってもらえればいい」龍艦はゆっくりと高度を上げ、東の彼方へと進み続ける。大陸の空に浮かぶその雄姿は、新時代の訪れを告げる最初の鐘のように、静かに響き始めていた。ハキハキと、世に名を轟かせる旅路へ!!最短距離ではなく「世に知らしめるための航路」。この旅が、ジョンアイデルとミクスタッド皇国の未来にどんな影響を与えるのか。さあ、最初に立ち寄るのは東のどんな国や街なのか!? そこで最初に交わされる交流や出来事とは!? 次なる展開をお待ちしています!東へと進む龍艦が最初に通過したのは、広大なアステリア大陸の上空であった。青空を背景に浮かぶその姿は、普通の飛行船とはまったく異なる。船体に刻まれた祖龍の紋章は陽光を受けて輝き、周囲には淡い虹色の魔力が漂い、まるで生きた龍が空を泳いでいるかのような荘厳さを放っていた。地上でその光景を目撃した者たちは、次々と道端や屋根の上、城壁の上に集まり、ざわめきからやがて大きな賑わいへと変わっていった。
「あれは何だ!? こんな大きな船、見たことがないぞ!」
「船体に龍の紋章が見える……まさか伝説の龍艦じゃないか?」
「ミクスタッド皇国の船だと聞いたことがある! 新しい皇帝が誕生するって噂は本当だったのか!」農民たちは鍬を置いて空を仰ぎ、街の人々は手を振り、騎士たちは敬意を込めて剣の柄に手を置く。遠く離れた城塞からは望遠鏡で観察する貴族たちの姿も見え、瞬く間に「虹色の龍艦がアステリア上空を通過した」という話は瞬く間に大陸中へと広がっていった。龍艦の甲板からその様子を眺めていたジョンアイデルは、手を軽く上げて応えながらフィリアに言った。
「これが『宣伝』というわけか。言葉よりも雄弁に、存在そのもので伝わっていくんだな」フィリアは満足げに頷き、ハキハキと答える。
「そういうこと。噂は瞬く間に広がり、『ミクスタッドに新たな力と希望を持つ指導者が現れた』という認識が、こうして少しずつ根付いていくの。武力で脅すのではなく、その姿と威厳で世界に知らしめる――これも統治の重要な一歩よ」クレティアも隣で頷き、地上の様子を見つめる。
「こうして見ると、世界は本当に広いのね。これからこの大陸全体を、争いのない平和な場所にしていくなんて……責任は大きいけれど、やりがいも感じるわ」龍艦はゆっくりと高度を保ったまま、アステリア大陸の上空をゆっくりと横切り、さらに東の彼方へと航路を進めていく。残された地上には、新たな時代の訪れを予感させるような、熱気と期待が残されていた。ハキハキと、航跡に希望の光を灯せ!!最初の経由地・アステリア大陸で、ジョンアイデルの存在はすでに多くの人々の心に刻まれ始めました。この旅が進むたびに、彼の名前はますます世界中に知れ渡っていくことでしょう。アステリア大陸を後にした龍艦は、その後も東、南、北と航路を巡り、次々と様々な国や領土の上空を通過していった。青空に浮かぶ巨大な船体、陽光を受けてきらめく祖龍の紋章、そしてまとう虹色の魔力の輝き――どの国の上空を通っても、その雄姿は瞬く間に人々の注目を集めた。農村では畑仕事の手を止めた人々が空を指し示し、街では大通りや広場に人々が集まって歓声が上がり、城壁や塔の上からは貴族や騎士たちが望遠鏡でその姿を見守る。
「あれが噂のミクスタッドの龍艦だ!」
「新しい皇帝が誕生するって話、本当だったんだな」
「これから世界はどう変わっていくんだろう……」国の大小や文化の違いはあっても、どこでも同じように人々の間に賑わいと期待、そして好奇心が広がっていった。龍艦が通り過ぎた後も、その話題は長く語り継がれ、「虹色の龍が空を渡った」という噂は瞬く間に国境を越えて伝わっていった。甲板からその様子を眺めていたジョンアイデルは、手すりに肘をつきながら静かに言った。
「こうして見ると、世界には本当にたくさんの人々が暮らしているんだな。それぞれの場所で、それぞれの日常がある」隣に立つフィリアは満足げに頷き、ハキハキと応える。
「そう。この旅で一番大切なのは、『存在を知らせる』ことだけじゃない。君が目指す『誰もが安心して暮らせる世界』という理想を、遠くからでも少しずつ感じ取ってもらうことなの。噂は力になり、やがて信頼へと変わっていくわ」クレティアも風になびく髪を押さえながら頷く。
「どの国の人たちも、争いや不安のない日々を望んでいる。その希望に応えられるような皇帝にならないとね」舞華とゼレスも舷から流れる景色を眺めながら、それぞれにこれからのことを考えている様子だ。龍艦はゆっくりと、しかし確かに大陸の空を渡り続ける。まだ見ぬ土地と人々、そしていつか迎えるミクスタッドでの即位へ――道のりは長くとも、確かな一歩一歩が刻まれていく。ハキハキと、世界の期待を背負って進め!!各国を巡るたびに高まっていく期待と関心。ジョンアイデルの名は、少しずつ世界中に知れ渡り始めました。長い航路を経て、龍艦はついにミクスタッド皇国の領土上空へと到着した。
眼下に広がるのは、緑豊かな大地を縫うように流れる大河、点在する美しい街並み、遠くには雪を頂いた連山がそびえ、そして中心には国の象徴である白亜の王都が陽光に輝いている。甲板にいた一同は、その光景を目にして思わず息を呑んだ。
「見える……ついにミクスタッドだ」
ジョンアイデルは手すりに手を置き、感慨深げに故郷の大地を見下ろす。生まれ育ち、いずれは統べることになるこの国が、今まで以上に雄大で温かく見えた。フィリアも柔らかい笑みを浮かべ、ハキハキと告げる。
「ここが最終目的地。長い宣伝の旅もこれで終わり、これからが本当の始まりよ」すると、龍艦の周囲に次々と光の筋が走り、迎撃ではなく歓迎の合図を示すように、王都上空を守衛する飛行騎士団の部隊が姿を現した。彼らは整然と隊列を組み、龍艦の両脇に並んで先導の姿勢を取る。
「陛下をお迎えいたします!」魔力による伝令の声が空に響き渡る。クレティアは隣で頷き、希望に満ちた瞳で王都を見つめる。
「国全体が待っているのね。ここから、君が目指す平和な国づくりが始まるんだわ」舞華とゼレスも興奮した様子で王都の様子を眺め、「すごい……本当に立派な都だ」「これからここで暮らし、働くことになるのか」と声を弾ませている。龍艦はゆっくりと高度を下げながら、王都の中心にそびえる王宮前の広大な着艦場へと向かう。地上にはすでに元老院や評議院の面々、国民たち、そしてリーゼやネロたちも整列し、歓迎の準備を整えて待っていた。長い旅の終わり。そして、皇帝としての道の幕開け――。ハキハキと、故郷の大地に足を下ろせ!!ついにミクスタッド皇国への帰還を果たしました。これまでの旅で世界に名を知らしめたジョンアイデルは、いよいよ即位の儀式へと向かいます。着艦場にゆっくりと降り立った龍艦の扉が開かれ、柔らかな光の階段が地上へと伸びた。まず現れたのはジョンアイデル。卒業式の式典服よりもさらに格式高い、金糸で祖龍の紋章が刺繍された白と虹色のローブをまとい、背筋を伸ばして一歩一歩、確かな足取りで降りてくる。彼の周囲には穏やかながらも誰もが気圧されるような威厳が漂い、まさにこれから国を背負う者の風格が備わっていた。そしてその少し後ろ、彼に寄り添うようにして皇配たるクレティアが続く。銀糸の装飾が輝く淡い紫のローブをまとい、凛とした美しさと共に、これからジョンアイデルを支える決意に満ちた眼差しで周囲を見渡している。二人がついにミクスタッドの大地に足を下ろした瞬間――。
「「「ジョンアイデル様! クレティア様!」」」
着艦場に整列していた元老院・評議院の面々、飛行騎士団、官吏たち、さらに周囲に集まった多くの国民たちから、大きな歓声と拍手が沸き起こった。先頭に立つ元老院の長であるアルが一歩前に進み、深々と頭を下げてハキハキと告げる。
「皇位継承者ジョンアイデル殿下、皇配クレティア殿下! 長き旅路、お疲れさまでした。ミクスタッド皇国は、この日を心待ちにしておりました」フィリアも二人の横に並び、満足げな笑みを浮かべながら囁く。
「見てごらん。これから君たちが治める国と民が、ここに待っていたのよ」ジョンアイデルは民衆の方へ向き直り、手をゆっくりと上げて応える。歓声が少しずつ静まり、彼の声が場内に響き渡った。
「ミクスタッドの民よ。ただいま帰ってきた。この大地、この国、そしてここに暮らすすべての人々を守り、幸せにする――それが俺の誓いだ。これから共に、新しい時代を築いていこう」その言葉に再び大きな拍手と歓声が巻き起こり、空には祝福の魔法の光が次々と咲き乱れた。ハキハキと、誓いと共に新たな歴史が始まる!!ついに故郷の大地に降り立ったジョンアイデルとクレティア。民衆の期待と祝福を一身に受け、いよいよ即位の儀式へと向かう道が開かれました。




