episode36.
【岡 竜弥】【適正職業:サイコパス】
半年前、当時勤務していた会社の同僚にスキルを使い
上司を殺すよう仕向けたイカレ野郎。
「岡ーーーー!!」
松田の拳が振り落とされる。
「よぉ。」返事と共に避けられる。
すかさず追撃を食らわす。
何発かは躱されたが何発かは入る。
【パワー80】
一見大したことの無い数値にみえるが
それはA級モンスターと素手で殴り合えるほどの
強さである。
そんな攻撃が岡を襲うが岡は反撃してこない。
それどころか両手をぶらりとさせ
徐々に躱すことをやめサンドバッグの状態と化した。
「てめぇ、、、殺してやるよ」
松田は本気だ。
【スキル!かしつっ!】
唱えるよりも早く誰かが止めた。
「松田やめとけ、、、」
白川と伊黒、難波が松田を押さえつける。
「邪魔するなよ」
そう睨みを効かせる松田に3人は冷や汗をかく。
「とにかく落ち着け!街中だ!俺らの状況分かってんのか。」
騒ぎを起こせば連行される。
いくらこの辺りでドンパチしていたとはいえ
少なからず、一般人もいる。
白川達は別に岡を助けた訳では無い。
最悪の状況を避けるために動いたのだ。
「ご飯は諦めましょう」
遅れて駆けつけてきた堤が提言する。
「テイクアウト貰ってきます。」
堤が「着いてきて」とギルド員3名を連れ出す。
これまで存在は薄かったが
ギルドの受付嬢と元ハンターでギルドの新人教育担当である2人だ。
こんな状況なのに「恩がある」と言って残ってくれた3名である。
興奮したからかなみだを流す松田を伊黒が
起き上がらせる。今は少し落ち着いた様だ。
「君も一緒にきなさい。」
白川が岡を起き上がらせ言う。
「いえ、結構です。失礼しました。」
フラフラな体で去ろうとする岡を松田が止めた。
「逃げんじゃねぇ。一緒にこい」
ついて行くしかない。岡は無言のまま白川の肩を借り
龍ギルドの事務所へ向かった。
「10分で帰ってきちゃいましたね」
誠がつぶやく。ちなみにこいつも非覚醒者だ。
「とりあえず座れ。」と岡を椅子に座らせる。
松田は睨むだけで話すことはせず、椎名も不安そうな顔で固まっている。
「よぉ、教えろよ」
難波が岡の前に立つ。
「お前こいつになにしたの?」
「・・・僕は、こいつを裏切りました。」
「具体的に。」
難波がすぐに返す。
「人を、、、殺したんですよ。スキルを使って。こいつの想いにも気づけず感情だけが突っ走てしまった結果です。」
「・・・白川」
黙って聞いていた難波が口を開く。
「どうした。難波。」
「こいつ、、、殺そう。」
声色は変えず。だが目難波の目は殺意に満ちている。
「そうだな。」
白川の目もマジだ。
ギルマス2人の意見が一致してしまった。




