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メイド、転生した理由を知る

突然の孫との再会に嬉しい反面なんでここに居るの!?とツッコミを入れたい所ですが、また会えた事は嬉しいことに変わりないのでぎゅっと力を込めてアマナを抱きしめた。

この子が生まれた頃は既に私もかなり歳で、起き上がるのが難しくてしっかりと抱き上げる事も出来なかったんです。奥さんがいい子だったからなおさらちゃんと抱き上げられなかったのが申し訳なかったのを覚えてる。

だからなんでしょうかね、感無量。


「そうかー生きてるよねそりゃ」


「エルフは長命種デス。200年なんて余裕ですヨ」


そう、エルフはこの世界の中でもかなり長生きする種族。しかも魔術を使いやすい体質に生まれやすく、魔術が苦手なエルフでも人間の平均的な魔術師と比べると3倍ぐらい強いと思う。ファンタジー系の物語によく出てくる金髪碧眼でお耳が長い方を想像してもらえるとわかりやすいですね。

それゆえにお堅い思考で、簡単に言うならば生粋の頑固者。育ちによっては柔らかい思考の人もいるんだけど、人間と比べると本当に固い。

その中で、森や遺跡を守る役目を果たしているのがダークエルフ。エルフの中で最も獣の使役が得意な人種で、森の守護者とも呼ばれている。

そんなダークエルフは基本森や遺跡の中から出てくることはありえなくて、出てくる時は何か問題があった時だけだ。

この子の母親が出てきた時は遺跡に現れた魔物の討伐を私に依頼しにきたからで、「こんな出来事がなければ世間が狭いままだった」と言ってたくらいには閉鎖的な生活を送ってるらしい。村に戻りたくないって駄々こねてたくらいだし。


「また遺跡の方で問題でもあったの」


「遺跡は何も問題無いですヨ。むしろおばあ様の使い魔が来てから暇デス」


「あの子とは死ぬ前に契約切ったはずなんだけど、まだ仕事してるの!?」


依頼をされた時、使い魔の中でも一番安心できる子を護衛にーって事で預けて遺跡の守護者の仕事のお手伝いを頼んでいたのだ。でも、私が寿命で死ぬ前に契約してる子たちは、一部を除いて使い魔の契約を切った。そして、その子は契約を切った使い魔の一匹だ。

ちなみに、アシェンは切りたくないと言ったから契約は続いたままで、セレナは家庭が出来たから契約を切っている状態である。

契約を切るかどうかは本人で決めさせたのだ。で、契約が切れたなら元主である私の命令は破棄されるはずなのに…まだ継続してるとはこれ如何に。

頭の中が疑問で埋め尽くされ、頭から煙が出そうなほどに考え込んでいるとアマナが突然膝を地面におろしぐりぐりと胸に頭をこすりつけてくる。若干鼻をすする音も聞こえてくる。


「アマナは、ここまで、頑張ってきましタ。かあ様の試練も、頑張りましタ。努力は惜しまなかったデス。おばあ様との約束、守ってますヨ」


最後の言葉は泣いてくしゃくしゃの笑顔で私に言ってきた。死ぬ前の老婆の頼みごとをちゃんと守ってくれていたのかと思うと、もらい泣きしてしまいそうになった。

良い孫に育ったなぁ…。おばあちゃん嬉しいです。

と、思い出を振り返るのはここまでにしておいて。


「なんで『私』だってわかったの?」


抱きしめてくる腕を強引に剥がしながら今生何度目かの問いかけをすると、彼は問題発言を繰り出してきた。




「リオン様が教えてくれました!一緒に来てますよ」


「やぁ」



軽快な挨拶と共にアマナの後ろに現れた、一人の男性。空と同じように青い短髪に、どこを見ているのかわからない金色の瞳で、村人のような質素な服を着た男がそこにいた。

服装だけ見るならば一般人と言えるけれど、素性を知っている人間にとって、ここにいるべきではないと断言できる人物がそこに立っていた。感動の瞬間を一瞬で奪っていきやがったこの人。


「天上に帰れ」


「最初の発言がそれ!?これでも一番偉い神様に対してその態度酷くない?!」


「神様がこんな軽々しく地上に降りてくるわけないじゃないですか」


「今回事情があったから降りてきただけ!!」


「そう言って実家の屋敷に結構な回数降りてきてますよね」


「それを言うなバカぁああああ!!」


えー一言で説明するならば、この男、世界の一番トップの神様です。職業、神。

正直、こんなしゃべり方ですが真面目に偉い方です。私を瞬殺するぐらいの実力はあります。

本体は天界にありますが、時々こうやって分身を作って降りてきたりしてます。この分身でも私と同じぐらいの力はあるんじゃないんですかね~。

一緒に来たと言ったアマナが、私に対する神様の態度にビックリしているけれど、これには深い事情があるんです。


「アマナは知らなかっただろうけど、アマナが生まれる前に私は死んでるはずだったの」


「えっ」


「それを無理やり引き延ばしたのがアポルリオン様で、この世界に転生させたのがこの人の部下」


そう、私は孫が生まれる前に死ぬはずだったのだ。それを無理やりに引き伸ばしたのが目の前にいるアポルリオンと呼ばれているこの世界の創造神で、本来は元の世界に生まれ変わるはずだった私をこの世界に転生させたのが神様直属の部下というわけだ。

理由があってそうしたらしいのだけど、アバウトな説明も生まれ変わってから(部下が勝手な事をしたのを知った神様が土下座しながら)説明されたものだし、私から言えば記憶はなくても元の世界に戻りたかったっていうのが本音だ。


「申し訳ないとは思ってるんだ。でも、適切な人物が君ぐらいしかいなくてね…」


「転生させる前に事情説明してくれたならまだ納得しましたよ」


「説明もしない部下が失礼な態度をとってごめん。本当にごめん」


そう言って頭を下げる神様に、私は「もういいです」と言って首を横に振った。


「会えるとは思ってなかったジルと孫に会えたから、もういいです」


「おばあ様…」


「もう私は貴方のおばあ様じゃないけれどね」


口に苦笑いを浮かべながら自分より身長の高いアマナの頭を撫でると、ぶんぶんと髪を乱しながらアマナは否定した。


「アマナのおばあ様はおばあ様だけデス。姿が変わってもおばあ様に変わりないデス」


孫が私を殺しにかかってます神様。なんなのこの子とてもいい子過ぎてむしろ私が申し訳ない気持ちになっちゃう。

思わず体を悶えさせつつ必死で顔に笑みを浮かべて「ありがとね」と返事を返すと、これまた嬉しそうに笑うんですよこの子。天使なんですかねこの子。小さく聞こえた「お嫁さんに欲しいデス」って言葉は聞かなかったことにしておくね。


「萌えてるのはいいんだけどちょっと真面目な話をしてもいいかい?」


「話題修正ありがとうございます」


「修正しないと戻ってこないでしょ君。……そろそろ君を転生させた理由を話そうと思うんだ」


その言葉に私の顔から笑顔が消えた。転生した理由は簡単には説明されてはいたけど、詳しいことを聞き出そうとしたら華麗にスルーされてきたというのに、今話すということはたぶんこれから起きる出来事に関係しているからなんだろう。


「君を転生させた理由の前に、未来予知が出来るってのは知ってるよね」


「創造神だから、この世界限定ではあるけれど未来予知が出来る、でしたっけ」


「その通り。そして前世での君が本来亡くなる筈だった夏頃、妙な宗教が流行っていたのを覚えてないかい?」


思い出してみれば、確かに夏頃変な宗教団体に部屋に押しかけられた記憶がある。その時は使い魔たちが追い出してくれたけれど、私あの頃死ぬ筈だったのか。「私は仏教だ!」とか言いながら宗教の人たちぶん投げてた覚えがあるんですが。

結構な人数で来てたけど、まぁ瞬殺ですよね。確か白い服に妙な紋章を象っていた気がする。蛇が枝に付いた一枚の葉っぱに噛み付いてる絵柄で、その紋章が肩に刻まれていた。


「覚えてますけど…それが?」


「その宗教は今でも続いていて、後数年もしたら人間や魔族…いや、種族なんて関係ない、全ての生き物の敵を生み出す。最終的にはその宗教が生み出したそれが神すら殺すものになってしまうんだ」


笑顔でそんな事をいうリオン様ですが、それ下手したら世界滅亡ですよね。

この世界に神様は一人しかいない。いや、神様自体は他の世界と同じように色々いるけれどその神様を束ねる神様は一人、創造神であり最高神、主神アポルリオンしかこの世界にはいない。

そしてこの人が「神」と呼ぶのは自分の事を指している。他の神の事は全部「子供たち」って呼ぶからだ。

その人が自分を殺す存在が現れると言ったという事は、未来予知では殺されているんだろう。この人=この世界だ。殺されれば当然この世界も死ぬ。


「君がもう少し生きれば未来は変わるだろうと思って寿命を延ばしたけれど、生み出される事は変わらなかった。なら、生み出されたとしても滅亡は阻止しようって事でそれが出来る人物を探したら、君しかいなかったんだよ。歴代の勇者でもなく、偉大な賢者でもなく、君だったんだ」


「……なんでですか」


一番の疑問点はそこだ。今でこそ神に近い能力があると思っているけれど、それでも私を転生させるよりか勇者を転生させた方が色々と便利である。

その能力を勇者という立場で隠せるのもあるし、大々的に味方を作ることが出来る。それに世界を救う行為は勇者が行うべき行為でしょうよ。


「種族全てを味方につけた人間だからだよ。魔族も天族も人族も関係なく、態度も考え方も変えなかったのは君ぐらいじゃないかな」


「でも私、魔族は特に何も考えないまま敵って思ってましたけど?」


「それは勇者一行として活動してた時だけだろう?知ってるよ、魔王を倒した後残った部下の魔族を安全な場所へ逃がしてあげてたのも。魔族を無下に扱おうとした神殿の本部の人間を裏で叩き伏せてたのも」


「バレてたー!いやバレててもおかしくないですけど叩き伏せてはないです。お説教はしましたけど叩き伏せてはないです。それだけは否定する!」


「本部半壊させた人間が何を言ってんのかなー。流石に驚いたよー?大神官たちを裸にひん剥いて」


「あーあー聞こえないー!!」


隣にいる孫が驚きすぎてオーバーヒートしてるけど知ったことではない!そもそもあの時は仕方がなかったんです。勇者一行として役目を終えて、報酬はいるか?と聞いてきたのは向こうだ。


あの頃は王家より神殿の方が権力強かったんですよ。今じゃ王家が上ですが。

王家からの報酬とは別で報酬はいるか?と言われて、「じゃあ異世界召喚やめてください」って言ったら断固拒否され、「じゃあ人間に味方してる魔族の人権を保護してください」って言ったら魔族は人間の奴隷に相応しいみたいな言葉を言い放ってきやがって思わずカチーンときたんだもの。私の使い魔たちはほとんど魔族だったし、その言葉を付いて来てたセレナを見ながら言ってたからな。


そりゃあ仲間を侮辱してきたらブチギレますよー。


その場に居た大神官たち全員裸にして教会の天井に宙吊りにして、使い魔たちの遊び道具にさせました。

他のメンバーとか使い魔の何匹かに怒られたけど後悔してない。


「神として言わせてもらえば、潰してくれて助かったとしかいえないのだけれどさ。今まで子供達同士の喧嘩に異世界人を巻き込ませるのは忍びないと思っていたから……」


「喧嘩っていう言葉で済むのがまた、神様だなーって思いますです」


「うん神様だからね?」


神様だと思えない行動ばっかりしてるから疑うんですよ神様。

ともかく、私を転生させた理由は、名前が無いとわかりづらいので「神殺し」とでもつけときますか。

その神殺しが世界を滅亡させる可能性がある。そして、それを阻止するのに適した人間に選ばれたのが私。


「それでリオン様。私何をすればいいんですか」


そう言うと、神様は少し考えるポーズをした後に何かを思いついたように軽く手を叩いた。






「とりあえず、人間と魔族に和平を結ばせてみるとかどうかな!」






「私はメイドですのでメイドで出来る範囲でお願いします」





思わず真顔になったのは仕方ないと思うんです、うん。


今年の更新はこれで終わりだと思います。

今まで読んでくださった方、ブックマークしてくださった方、評価を付けてくださった方、ありがとうございました。

よろしければ来年もまた、よろしくお願いいたします。

来年、皆様が良い年を過ごせることを画面越しですがお祈りしております。

それでは、良いお年を!

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