表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一話

妄想ワールドなので、すみません。

『この世には必然しかない』などと言う奴らは、この際だから居ないことにしよう。



彼と出会ったのは本当に偶然で、酷くその時の事を鮮明に覚えている。




あれは、学校をサボって町をぶらぶらと徘徊していた時の事だった。

不良の俺は、裏によく首を突っ込んでは、何かとかわいがってもらっていた。

そのおかげで遊び場には不自由してなかっが、その日はなんとなく、健全な学生らしいサボり方をしてみたかった。



酒の代わりに炭酸系を飲んで。

薬の代わりに万引きして。

女とヤル代わりにゲーセン行って。



自分でも笑えるぐらい、当たり前な事をした。


いい加減あてもなくぶらぶらしている事に飽きた俺は、夜になるまで暇を潰し、それからまた何時ものようにお子様厳禁の店に行く事にした。




「あら、(りょう)チャン!」

店内に入るなり、オカマでオーナーの(けん)サンがくっついてきた。


「ちっす」

「ぅふ。今日は梁チャンに紹介したいゲストが来てるのよ」


ぅふふ、と野太い声で甘え声をだすオーナーに腕を絡めとられ、そのまま半ば引きずられながら、いわゆるVIPルームへと連れて行かれた。

VIPルームは、ただの学生の俺にとっては凄く遠い存在でしかなく、多分大人になっても縁のない場所だと思っていた。

特別な客が来た時のみ使われる、ゴテゴテした装飾のなされた、馬鹿に金をかけてある、成金じみた部屋。

それがVIPルームだ。



「絹サン、紹介したい相手って誰?」

「それは内緒よ。梁チャンの話をしたら、突然会いたいなんて言い出すんだもの!私びっくりしちゃった」

「……相手が男か女かだけでも教えてよ」

「ぢゃぁ、梁チャンはどっちがいい♪」

「女」

「………即答ね」

「まぁね。でも絹サンは好きだから」

「あら!可愛い事言うぢゃないの!!」

感極まった声をあげて、絹サンは俺を力強く正面から抱きしめ、ディープなキスを求めてきた。

俺は抵抗せず、彼のそれを受け入れた。

それが当たり前だし、良くしてくれる相手への細やかな礼の気持でもあった。

それに、彼らにとってキスやセックス、それ以上も以下も単なるスキンシップやおふざけでしかなく、ここで本気になるのはご法度ものなのだ。



「ぁん、梁チャン腕上げたわね」

「オンナノコのお陰です」

「なんだか妬けちゃうわ」

オーナーはどこか色っぽく笑むと、俺らは地下へ続く階段のある奥へと、絹サンは俺のケツをなでなでしながらむかった。

店の半地下室は、それこそ特別な人しか入れない、究極のVIPルームである。

てっきり、奥の方に行くものとばかり思っていた俺は、誰だか分からない相手の凄さを痛感した。




元々は地下フェルターだったらしいそこへは、重厚な扉を開けなくてはならない。

ガードマンよろしく、筋肉粒々の長身の男二人が、扉を開けてくれた。

中では、大音響のなかで男と女が入り乱れながら、狂った機会のように踊り乱れていた。

酒と薬と香水と体臭と生臭いアレの匂いまでも、絡み乱れている。


「梁チャンこっちよ」

人とぶつかり合いながら、絹サンは俺をさらに奥へと連れて行く。


既に使い物にならなくなった耳と鼻の代わりに、いいようのない振動や痺れが俺を高ぶらせる。

不思議な高揚は俺を変に自信付けさせ、人波の中にダイウ゛したくてウズウズさせた。



まさサン!」

不意に絹サンが叫ぶと、絹サンの俺を引っ張っていく力が強くなった。



――まささん…?――



やっと人波を抜けたかと思うと、目の前には美人な女をはべらした、男が玉座に腰を下ろしていた。

中世ヨーロッパを彷彿させる、ゴテゴテとした悪趣味な玉座に、サングラスを掛けた、いかにも怪しい人です風の雰囲気を纏っているスーツ姿の男が座っている。男は絹サンが抱きつくと、濃厚なキスをし、何かしら妖しげな動きを見せた。


俺はとっさに顔を背けたが、そこでも男と女がいかがわしい動きを見せていた。


まだお子様なんだな、と俺は自分自身にしらけてしまった。




「梁チャン、こちらは雅サン。雅サン、この子があの梁チャンよ」

漸く俺は雅サンと呼ばれる相手と面談する事ができた。

男は長身で体格がよく、175近くある俺よりも更にデカイし、筋肉にもしまっているようだ。

また、髪は漆黒で、前髪が多少長い。

サングラスを掛けたままだったが、そのしたにある眼球の鋭さ、そして容姿の良さは簡単に分かった。

甘い魅力を持っているのだが、どこか恐怖や警戒心を持たずにはいられない相手でもあった。



「やぁ、梁。雅、だ。よろしく」

人なつっこい笑みを浮かべながら、雅サンは握手を求めて来た。

「梁です、雅サン。こちらこそよろしくお願いします」

差し出された手を握ると、雅サンは強く握り返してきた。



――大人ってかんぢ――






後々、俺は雅サンと出会った事を後悔いする羽目となった。

読んで下さってありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ