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魔法使いの住むお城  作者: 風花
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第一章 魔法使いの住むお城  第三話 入城 「1」 

 永遠に続くかと思われた入学式も遂に終わりを迎え、凪たち新入生はそれぞれ寮へと向かった。

 聖ルチア城学園は、全寮制である。お金持ちの生徒達が、毎朝リムジンで通学するであろうことを慮ったのか、土地の交通の都合なのかは分からないが、とにかく全ての生徒が例外なく寮で学校生活を送る。

 寮は主に二つ。男子寮と女子寮である。時として例外的に、療養や別荘のようにして使われる建物もあるらしいと聞いたが、今の凪には不必要な知識なので、右から左へと聞き流した。今はそれよりもずっと心を占める件があった。

 ちらりと、入学式の時に渡されてからずっと左手に握っていた紙を見返す。


〔 草刈 凪  306号室 〕


 下には細々と、寮生活に関する諸注意が書かれている。周りを見るのが恥ずかしかった凪は、それを読むふりをしながら悶々と考えた。

(同室の人、どんな人なんだろう。もし筋金入りのお嬢様とかだったら、仲良くやっていける自信ないなぁ・・・。いや、でも私みたいな平民派のほうが珍しいというか、むしろそういう人は私くらいしかいないってことは結局同室はお嬢様・・・?!うわーっ、どうしよう!!)


 寮生活初日から、破綻の予感。


(行きたくない・・・知りたくない・・・)


 自然と足が遅くなり、周りに追い抜かされていく。横をすり抜けていく人たちをちらちらと見るだけでも、歩き方からして凪とは全然違う、と実感する。髪型だってどこかお嬢様風だし。あんな結い方、凪は知らない。まぁ、凪は元々肩につくかつかないか位の短髪なので、結びようもないのだが。

 自然と溜息が出て、肩を落とす。目に入った足元の緑を見ると、だがしかし、先ほどの記憶が鮮やかに蘇る。


 隠された碑文の前。

 陽光に髪を輝かせながら、それ以上の輝きをもって微笑んで見せた生徒会長。


 叶えてほしい、願いがある。


 それを思えば勇気が出る。


(とりあえず、部屋に行くだけ行ってみよう。それで、ちゃんと同室の人とも会って、上手くやれそうになかったら・・・その時はその時で考えよう)


 会う前から、止めるわけにはいかない。せっかく掴んだ機会なのだ。三年間の、短い奇跡。

 きゅっと拳を握り締めると、凪は力強く歩を進めた。

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