~浦山太郎、亀を助ける~
バズっ太郎に続いて2作品目の投稿です。今回は浦島太郎をベースに色々書いていきます。
どうぞよろしくお願いします。
昔か今か、はたまた未来かはどうでもよくて、あるところに浦山太郎という男がいました。
浦山太郎は釣りがうまく、釣った魚をお店に売ったり、捌いて刺身を売ったり、刺身以外の料理にして売り出したり、はたまた釣り動画を投稿したり、配信したりと、釣りにまつわる様々な事をしてお金を稼いでいました。
しかし、自然が相手なこと、浦山太郎が貯金が得意ではないこと、お上からの税金の取り立てが年々と厳しくなってくることから、なかなか安定した暮らしはできてませんでした。
いつも何かを我慢したり、少しだけお腹をすかせたり、乾いたりしながら、死にはしないけれど、ずっとどこか窮屈で息苦しい生活をしていました。
だけど世の中には自分よりも年下で凄く稼いでる人や、生まれながらに家が金持ちなやつがいる、そんな情報を見かける度に思わずため息が出て羨んでしまう暮らしをしていました。
それでも、海も、釣りも太郎は好きだったし、難しい計算や世間の仕組みはわからないけど、こうやって食べていけてる。
お上が出せや払えやとうるさくいってくる色んな税金の取り立てや書類も、とりあえず真面目に出してる。
とはいえ、世の中には自分よりも金持ちなのに、コネを使ったり、裏技的なうまいことやって、そんな書類を出さず、お金を払わなくていい人たちもいるらしい。やっぱり不公平でうらやましい限りである。
今日の食いぶちを稼ぐため、太郎が海に言ってみると、浜辺からは普段は聞くことのない喧騒が聞こえてきました。
子供A「喰らえ!この!出てこい!」
子供B「お前なんか!お前なんか!」
子供C「逃げられると思うなよ!」
亀「ひぃぃ…!」
見ると、子供たちが3人がかりで1匹のウミガメをいじめていました。
亀は甲羅に閉じ籠っていますが、子供達は棒で叩いたり石を投げたり、どんどんヒートアップしています。
釣り人の太郎にとってウミガメはクラゲを食べる益獣です。
浦山太郎「こらこら、子供達。亀をいじめてはいけないよ。」
子供A「うるさい!邪魔するな!」
子供B「関係ないだろ!」
子供C「こっちのことに口出すなよ!」
子供達はかなり頭に血が昇ってるのか、太郎に噛みつきそうな勢いで、詰め寄ろうとしてきました。
まずいと思った太郎はさっと手持ちのスマホを構えて
太郎「やめなさい。今から起こることは録画も録音もする。君たちが落ち着いて、亀をいじめるのをやめないなら、僕もこれを証拠にして、大人として然るべき対処をせざるをえない。」
配信活動をしていたら、嫌でも学ぶ処世術です。
危ないと感じたら、すぐに記録を録っておく。盗撮だという難癖につけこまれないように、記録を録る時は可能なら相手に告知する。
子供達「ちっ!ふざけやがって…」
撮影されてることに分の悪さを感じたのか、子供は舌打ちして帰っていきました。
浦山太郎「亀や。子供達はもういった、大丈夫だよ。怪我はないかい?」
甲羅に閉じ籠っている亀に、太郎は声をかけました。
亀「ありがとうございます。はい、なんとか大丈夫です。おかげさまで、本当に助かりました。」
浦山太郎「うん、じゃあね。俺は釣りをして今日の魚と動画のネタを釣り上げなきゃならんので。」
亀「動画?あ!あなたはもしかして、浦釣りチャンネルのMr.ウラヤマですか!?」
それは太郎が動画で名乗ってる名前とチャンネル名でした。どうやらウミガメは太郎のチャンネルの視聴者だったようです。
浦山太郎「お、おう、よく知ってたな。」
亀「はい。私もあなたのチャンネルは好きでよく見てますので。」
浦山太郎「そうなの?魚とかタコとか、海の生き物を捌いて食べたりしてるのに?」
亀「海にも食物連鎖はありますから。むしろ、ただ遊びで釣って、魚を針傷つけておきながらリリースして偽善ぶる奴らよりも、私はきちんと最後まで食べる浦山太郎さんの動画の方が好きです。」
そういうものかと、太郎は納得しました。
浦山太郎「では、今後も釣った魚はきちんと美味しく、責任もって扱うよ。これからも応援よろしく、ではな。」
亀「あぁ!お待ちください!」
亀が太郎を呼び止めます。
亀「このまま返しては、あまりにも申し訳ない。よろしければ、ぜひ貴方を私たちの城へ招待させてください。」
浦山太郎「えぇ!」
こうして太郎は助けた亀につれられて、海の底のお城のような建物へ招かれたのでした。
『毘為勘屋 竜宮城』建物の看板にはそう書かれてました。竜宮城は太郎でも読めましたが、毘為勘屋の方は読み方がわかりませんでした。
それよりも、太郎は竜宮城の美しさに呆気にとられてしまいます。
竜宮城は、深い海の中にありながら、そこだけは太陽に照らされているかのようなやわらかな輝きに溢れており、歴史あるかのような威厳を建物全体に感じる作りであるにも関わらず、柱や壁は、出来上がって間もないような新築のような美しさでした。
浦山太郎「本当に御伽噺のような場所にきたみたいだ。」
思わず太郎が口にすると
落姫「お褒めにあずかり光栄です。」
城の入り口から、とても美しい女の人が現れました。
亀「落姫ってうちの会社では呼んでます。税金対策が上手で出ていくお金の額を落としてくれるからね!経費はなかなか落としてくれんのにのぅ!」
ワハハと亀が笑う。自分の城に帰ってきたことで、だいぶリラックスしてるらしい。そんなことより
浦山太郎「会社?ここは何かの会社なのか」
落姫「はい。そして、浦山様におかれましては、この度は当社の社長の亀を助けていただき、社員一同、心よりお礼申し上げます。」
そういって、落姫は深々と頭を下げた。
驚いたことに、本当に、この竜宮城は『亀の城』だったらしい。
裏金太郎の第1話、ご覧いただきありがとうございます。小説サイトの1話あたりの文字数は2000~4000文字がいいらしいと聞いたので、それくらいのボリュームでまとめてみましたが、いかがでしょうか。今回は2000文字ちょっとです。
読み足りない、ちょうどいい、など感想、ご意見いただけると嬉しいです。




