死闘の果てに
リーダーは瞬時に転がるように回避を試みた。リーダーの側へ矢が一本落ちる。巧く回避出来たリーダーは素早く体勢を立て直す。
「これが……禁呪の力……」
エルは破けた服の上から直撃を受けたはずの身体を擦り、自分が死んだ瞬間に蘇生された事を知る。
「何が起きた?何故奴等は無傷なのだ!?」
オークスは理解が追い付かず闇雲に刀を振り回し始めた!
「おっと危ねぇ!」
ロードは思わず後ろへと退いた。
「リース無事か!?」
「……………………」
エルの呼びかけに反応は無いが、リースは立って前を向いていた。
カリンの矢がオークスへ向かい、咄嗟にオークスは刀でガードをした。その顔にはもう余裕が消えつつある。その刹那、光がオークスの前を通り過ぎた。
――ツツ……
オークスの腕に紅い輪が出来上がる。
……ゴトッ
静かにその腕が落ちると、オークスの顔が絶望に歪み始める。
「くそがぁぁぁぁ!!!!」
3つの凶刃が同時に襲い掛かり、肩腰首を同時に振り抜く……。オークスは地面へ倒れ、二度と起き上がる事は無かった。
「……はは、やったぞ!」
エルの顔に達成感が浮かぶ。
「流石に今回はダメかと思ったぜ」
リーダーは地面に腰を下ろすと胸をなで下ろした。
「リース!グレイは帰ってからか?」
「……………………」
しかしその呼び声に答える者は居ない。
「リース?」
「……………………」
エルが近寄り肩を揺らすと、リースの身体はバタリと倒れ動かなかった……。
「!!」
「リース!」
「おい!どうした!!」
一同がリースの元へ集まる。リースは虚ろな眼をしたまま固まっていた……。
「はぁ……はぁ……」
「クリスタちゃん……」
クリスタは急いで地上へと戻ると、寺院へと掛け出す。
祭壇の前に着くと、蘇生台に手をついた。
自分は何をしに行ったのだろうか?全てが半端で足手纏いのお荷物だ……。
平穏な生活を望んでいた筈なのに、それを手に入れるにはLvが足りない。一度深淵を覗いてしまったばかりに、もう戻ることは出来なくなっていた……。
クリスタは祭壇の横に着いてある小さな扉に手を掛けた。これは今まで開けたことの無い祭壇の中へ繋がる扉だ。これを開けることは神への冒涜とされていた。それ故にクリスタは一度たりとも手を掛けたことは無い。
しかしクリスタは確信する。この世に神など居ないことを……。
いたずらに開けた扉の中に書かれた詠唱呪文の数々。それは詠み手の信仰心に反応、増幅し高位蘇生呪文となる。今まで『神』が蘇らせてきた冒険者達、その実は仕掛けのあるカラクリで蘇っていた事を知ったクリスタは…………笑うしか無かった。
彼女の中の『神』が音を立てて崩れ去る。今まで人の掌の上で踊らされていたと思うだけで全てが虚しくなる。
まだ昼間の筈だが、寺院の中が異様に暗くなる……。
「太陽が……消えていく」
カズハは太陽が欠けていくのを外で見ていた。
『月食』と呼ばれるその現象は決して珍しい物では無い。しかし、今回に限り月の周りに微かに見える太陽の光は……黒々と燃え上がっていた。
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*次話より最終章です*




