098
~~レストラン『フリッタータ』~~
大事な人を失っているから、あたしは心が腐っていた。
それはほかの人も同じ、同じだとわかっていたはずなのに心が痛い。
自分で切りつけた体の痛みが、あたしの心も蝕む。
向かっていたのは、学校の近くにあるゲームセンターSOGO。
三階建ての大きなゲームセンター。
その三階にあるエリアに、『タマゴアイドル』があった。
あたしは学校に行くと、流れてよく来ていた。緑子とも来たことがある。
いつもどおりの、『ポリスレディ』コーデ。
レア度Rのこのコーデを、ずっとあたしは着ていた。
決して気に入っていたわけではない、むしろ戒めに近いかも知れない。
このコーデは、あたしが緑子と別れた時からずっと着たままだ。
あたしの足元には、すかさずイースターが来ていた。
「さて、今日は何用かな?」
だけど、それを無視してガチャの前に来ていた。
「相変わらず、それか」
「『エンジェルガール』が欲しいの。絶対に当てるわ」
『グミキャンディ』のガチャの前に来た、あたしはガチャを回し始めた。
持っている硬貨は、三百円。リアルのお金だ。
「『エンジェルガール』をなぜ欲しがる?」
「欲しいものは欲しい、これがあればミーコの所に行ける。そんな気がするの?」
「相手は緑魔女だぞ」
「関係ないわ」
あたしは、イースターを睨んでいた。
「無茶だ、ゲームの仕組みを変えることはできない」
「それでも……」ガチャのレバーを回して、あたしは目を大きく開いた。
あたしの口元が、不敵に緩んだ。
筐体画面には、映し出された一つのアイテム『エンジェルガール』。
銀色に輝くミニスカートを見て、あたしは高笑いをしていた。
「『エンジェルブラウス』、これでそろったわ。最強のコーデ」
「新しいコーデが、選択できるようになったのぅ」
「うん」そう言いながら、新しいブラウスのカードを見ていた。
真っ白なブラウスを見て、あたしは閃いた。
「この絵は?」
あたしのいるレストランには、一枚の絵が見えた。
その絵には、天使とその救いを求めるたくさんのタマゴが見えた。
絵の上には、無数の鳥らしきものが見えた。
「これは、かの有名な『天使の絵』だ」
「天使の絵?」
「そう、これはタマゴ王国ができた証でもある。
中央にいる天使の女性。あれが、ハコベ様だ」
「そう、ハコベ様ねぇ。なら、あたしもやってみようかしら」
あたしはちらりと、白いブラウスを見ていた。
「何を考えておる?」
「別に、あたし壊れちゃったかも」
そして、あたしは不敵な笑みを浮かべていた。
そこにいるハコベ様はとても嬉しそうな顔で、両手を広げていた。




