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『6月18日』
土曜日、あたしは久しぶりに学校に行く。
学校を見るのは、五月の中間試験以来だろうか。
この機会が与えられなければ、ずっとひきこもりだったのは間違いない。
時間通りに行く学校で、途中恵に見られた。最悪だ。
担任もグルだったのか、普通に授業を受けさせられていた。
もちろんクラスに入ると、興味本位で見られた。
幸いに今日は午前終わりだから、クラス委員があたしのそばにいた。
あたしを逃がさないようにと、男子のクラス委員が連行していた。
そしてあたしは、進路指導室に通されていた。
教室より狭くて、真ん中に机が集まった。
だけど、そこにいるのはあたしと大人が三人。
一人目は、担任の男教師。
若い男子教師で、爽やか風の教師。体育教師なので赤いジャージだ。
二人目は、綴 緑子の母親。
やはり、若い奥さんといったところ。こちらもカーキ色のスーツを来ていた
三人目は、見慣れない男。年齢も一番年老いて見えた。
猫背で、顔にもシワがある茶色の背広の男。
これが探偵なのだろうか。と思ったらすぐに探偵だと、あたしに明かした。
「さてみなさん忙しい中、緑子さんの捜索のために事情聴取をさせていただきますよ」
教師がどうやら、司会進行役らしい。
そして、問答無用の事情聴取が行われた。
当然のようにあたしに対しての、口撃だ。
まあ、初めからどういう内容になるか想像はついていた。
事情聴取が始まって十分経過。
「どうして、奥津はわからないことを言うのだ」
その言葉を、教師に何度浴びせられたのだろうか。
「それが真実です」
「池袋でゲームに取り込まれただの、闇の街を疾走しただの。
コウモリに捕まって閉じ込められただの、話がつくり話にしてもおかしすぎる」
「でも事実よ」
「事実ではない」
あたしの話を、全く信じようとはしない。
だからこの話は、全然終わらない。
「あなたは何かを隠しています、彼女はどこですか?」
「だから……」ゲーム筐体に閉じ込められた話をしようとすると、担任教師が首を横に振った。
「奥津、そろそろ話してくれよ。先生怒んないから」
「なぜ、信じないの?彼女はコウモリに連れ去られて、ゲームの中に閉じ込められた?」
「そんな狂言誰が信じるものですか?」
ミーコの母親が、あたしを睨んでいた。
話が平行線で、全く進まない。
「ではいいです、もう話すことはありません」私は立ち上がった。
「おい、奥津!」
「なるほど、わかりました」
そう言いながら、探偵があたしを見ながらスマホを見せてきた。
「警察に連絡しましょう」
「勝手にしなさい。結局それが、狙いなのでしょ」
あたしはそう言い放とうとした瞬間、ミーコの母親があたしの腕を掴んできた。
「あなたは、なんの苦労もしないで引きこもって逃げているだけでしょ」
ミーコの母親があたしの腕を引っ張ろうとした瞬間、あたしのセーラー服の長袖から腕が見えた。
それは傷だらけの腕。
「なによ……それ?」驚いた表情で、あたしの腕を見ていた。
「あたしだって、なんの苦労もしていないわけじゃないわ」
最後に冷たく言い放って、あたしは部屋を出ていった。




