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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
五話:『宇野中 撫子』のタマゴアイドル:前編
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『6月19日』

二日後、デートの日を迎えた。

変身すれば、大好きな彼と話ができる。

それだけで私は嬉しかった。大好きな彼が一番近くまでいるのだから。


今の私は、タマドル『ナデシコ』で車の中にいた。

もちろんデートの待ち合わせ場所、四日市駅に向かっていた。

十時集合にも関わらず、一時間以上早くたどり着く早さだ。


朝、すぐに蔵に入って変身した。

それは、四つのプリンセスコーデの一つER(エッグレア)のコーディネート。


それは、ピンク色のワンピースドレスにフリルがついたミニのスカート。

ワンピースの胸にはイチゴ、手にはピンクのドレスグローブ。

足は、長めの赤いロングブーツ。

少し動きやすさもあるが、全体的にとてもかわいらしい衣装だ。

ピンクの髪の私が来ていたのは、『イチゴプリンセス』コーデを身にまとっていた。


「イチゴプリンセスですか、お嬢様流石です」

車の中で、ハコベが私に拍手してくれた。

それを受けて、私は素直に喜んでいた。


「ありがとう、ハコベ」

「『ファストフローラル』の中でも、飛び切りかわいい衣装です。

あまりのかわいらしさに、男性は魅了されてしまうでしょうね」

「まあ、ハコベは上手ですね」

「自分はありませんが、お嬢様にはお似合いですよ」

いつも通りの黒いメイド服のハコベが、私を見ていた。


「あ、つきましたよ」ハコベが言うと、駅前のタクシー置き場に車を止めた。

ここのタクシー置き場は、宇野中家グループ傘下の会社だ。

すぐ先には、『ノットシステム』が路上ライブをしていた駅前広場がある。

さすがに、今朝の時間帯でバンドをしていることはないか。


「ですがお嬢様、今日は申し訳ありません。危険な日曜(ベーツァサンデー)なので」

ハコベが、不安そうな顔を浮かべていた。


「お嬢様を見守りたいのですが、ここで抜けねばなりません」

「ハコベの用事はわかっています、大丈夫ですよ」

「そうですね、申し訳ないです」

「いいえ、それより今度は何かしっぽをつかめるといいですね。『緑魔女』について」

「はい、緑魔女は郊外の『ドンペンホーム』にいるかと思われます。

一応デートコースは、市の郊外は避けたほうがよろしいかと」

「わかっていますよ、大丈夫です」

「特に彼は普通の人間です。カクイドリに襲われたら、連れて行かれてしまいます」

念を押して、ハコベが言ってきた。


「わかりました」

「それから、しばらく車を借りますので終わったら自分に電話をお願いします」

「わかりました」

私はそう言いながら、ドレスの内ポケットにスマホを忍ばせていた。


「では、行ってきます」

「お嬢様、いってらっしゃいませ」

最後まで、ハコベは頭を下げていた。

そして私は車を降りたのだった。



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