067
私はゴキゲンな表情で車に乗っていた。
鼻歌交じりに、笑顔を見せながら。
帰りの車で、私の胸は心躍っていた。
黒革の後部座席には、隣には迎えに来たハコベがいた。
「撫子ご機嫌ですね」
「はい、今日は奥津先輩に誘われました」私は笑顔を見せていた。
好きだった奥津先輩が、私をデートに誘ってくれた。
嬉しくて嬉しくて、たまらないのだ。
「傍から見ていても、最近は二人の関係はいい感じになっていますね」
「素晴らしいです、これもタマちゃんのおかげです」
私はそう言いながら、トランスカードを取り出した。
「朕に感謝をするがいい」
「今日はめでたい日です」
「そうですね、今日はお嬢様がデートに誘われたのですね」
ハコベにはっきり言われると、急に顔が赤くなった。
「デート……ですか」
「はい、そういうのをデートというのではないですか?」
「はいっ」顔が赤くなって、私はその場に俯いてしまった。
「撫子お嬢様?」
「あっ、いえ……」私は顔を冷やして、いつもどおりの表情を見せようと努めた。
そんな時、ハコベのスマホが鳴っていた。
彼女には私の家でスマホを持たせていた、何かと身の回りの世話をしてくれるので。
ハコベが電話している間も、私はどこか上の空だ。
車外の窓から見える景色が、とてもきれいだ。
ハコベが電話すること二分ほど。車が自宅の近くの道路を走っていた。
「はいっ、わかりました」そう言いながら電話を切ったハコベ。
「どうしました?」
「お嬢様、ようやく新しい目撃報告がありました。
新しいタマドル……イースターがいるとの話です」
「そうですか、嬉しいことは続きますね」
私は既に、赤みの引いた顔になりいつもどおりほほ笑みに戻っていた。




