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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
五話:『宇野中 撫子』のタマゴアイドル:前編
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~~レストラン『フリッタータ』~~


ここは、タマゴ王国。

『タマゴアイドル』の世界になっている場所だ。

なにより、タマゴ王国はハコベが来た国だと言われている。

実際来ても、イマイチ実感がない。なにせここはレストランだ。


立派な造りのレストランは、高級そうなイメージがある。

白い枠の窓に、大きな銀い色のテーブル。

だけど客の姿はなく、ここが背景にしか見えない。


「撫子お嬢様、ありがとうございます」

そう言いながら、私の前には『ハコベ』がいた。

だけど、いつもどおりの黒いメイド服。

メイド服に、白いストッキング、頭にはヘッドレス。

強いて言えば目の色が両方とも赤くなって、髪の長さが少し伸びるぐらいだ。


「いえ、私もすっかり『タマドル』に魅了されていますから」

私は桃色髪のポニーテールに変わっていた。

桃色のポニーテールには、大きな王冠が乗せられていた。

緑色のドレスは、フリルが付いていた。

フリルが付いたスカートには、メロンの飾りがあしらわれている。

緑色と白の縞のハイソックスは、優雅さを表していた。


「さすがは『ナデシコ』ですね、ナデシコお嬢様」

「はい、私はこちらでもナデシコです」

ここの世界だと、私は『ナデシコ』という名前のアイドルになる。

というより本名と全く同じだ。

元々自分の名前を気にっているので、変える必要がなかった。


「『メロンプリンセスコーデ』、昨日取れたのですね」

「はい、ドンペンホームでガチャを回して取れました」

「さすがはお嬢様です。これで、念願の四種のプリンセスコーデが全て揃ったのですね」

ハコベが素直に私を褒めてくれた。


「はい。ER(エッグレア)は全て揃いました。

昨日、ハコベはドンペンホームでコーデ取らなかったのですか?」

「はい、自分はガチャを回しませんでした」

ハコベは、私のコーデをじっと見ていた。


「というより、今の自分にはこの衣装があります」

「そうですか」

ハコベは、あまり自分のことを語りたがらない。

彼女の衣装はいつもメイド服だし。


「やはり、お嬢様はエレガント系の衣装がお似合いですね」

「よく着ているせいか、着慣れているのはあると思います。

ですが、いろんなお洋服が着られて私は楽しいですよ」

「それが『タマゴアイドル』というゲームですから」

「でも、ゲームの中には入れないのですよね」

「そのために朕と契約をしたのだろう」

すると、私の前には緑色のタマゴが出てきた。


「ああっ、タマちゃん」

「タマちゃんではない。ハコベ様……」

「まあ、タマちゃんでもいいと思いますよ。イースター」

「うむ、ハコベ様がそうおっしゃるのなら。

それで、今日はどのモードをやるのじゃ?」

「それだけど、今日は日曜だから自分はこれから見回りに行かないといけない」

危険な日曜(ベーツァサンデー)ですか?」

「そうです。既に、この街で被害も出ている。

先週も一件でている、今日も奴がどこかで動くやも知れぬ」

難しい顔でハコベが腕を組んでいた。


「でも、折角ですから記念に一回だけライブをしませんか?」

「ライブですか?いいでしょう」

「では、いきましょうか」

私はそう言いながら、中腰でタマちゃんにお願いをした。


「ライブをお願いします」と。



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