059
『6月12日』
ハコベと、イースターを拾ってから二ヶ月が過ぎた。
いろいろあった末に、私はハコベと今は暮らしている。
元々、宇野中家には私の祖父母しかいない。
そして宇野中家には、困っている人を助ける家訓があった。
ハコベは、こうして私の家で厄介になることになった。
日曜日になった今日は朝から、騒々しい。
私の家の庭には、大きなトラックが一台来ていた。
そのトラックは、あるものを運んでいた。
私の家はとにかく広い。そして、昔ながらの家なので蔵があった。
白い壁で作られた蔵、元は倉庫がわりに使われていた。
だけど、今は少し役目が変わっていた。
蔵の中に運んできたものを、設置した大型トラックの人。
三人がかりで、目的のものを蔵の中に運んで去っていった。
その蔵の中は、まるでお店のように明るかった。
白かった壁も、明るい色使いに変わっていた。
洋服屋であるかのように、メイド服が置かれていた。
そして、今日そこに一台の機械が設置された。
「お嬢様、本当に良いのですか?こんなものを置いて?」
『お嬢様』と私を呼んでいるのはハコベだ。
彼女は、いつもどおり黒いメイド服でこの蔵にいた。
「はい、どうしても欲しかったものですから」
そんな私は、普段着のピンク色の浴衣を着ていた。
ピンクの浴衣を着ている私は、長い髪を後ろに縛っていた。
「自分は賛成ですけど、結構高額ではないのでしょうか?」
「いいのです、ほかの店舗の余り物ですし」
「はあ……」
「それに、『タマちゃん』のためにも」
そう言いながら、私は一枚のカードを見せた。
それは『タマゴアイドル』のカード。
蔵に運ばれたのは、『タマゴアイドル』のゲーム筐体そのものだった。
「まさか筺体を直接買うとは」カードになったタマちゃんは、流石に驚いていた。
「でも、これで毎日『タマゴアイドル』ですよ。
ハコベにとっては一時的とはいえ、帰れる道筋がありますよ」
「いえ、まだ帰れません。はっきりとやることもできました」
ハコベは神妙な顔を見せていた。
「そんなにしんみりしないでください。
せっかく繋がったのですよ、とりあえずやってみましょうか。
ハコベ、よろしいですか?」
そう言いながら私は、自分の『タマドルカード』とハコベの『タマドル名刺』を持っていた。
「はい、お嬢様」
ハコベに言われて、早速私は硬貨を投入してカードを読み込ませた。
そして、まもなく私の体とハコベの体はゲーム筺体に吸い込まれた。




