057
私の家はとても大きい。
四日市にある高額所得者が集まる住宅街があった。
大きな庭のある日本庭園に住んでいる私は、かなり広い和室にいた。
正座をして、私は布団に眠る少女を見ていた。
彼女はまだ息をしているようだ。
セーラー服姿のまま、私は見守っていた。
彼女の髪は、金髪だ。ミドルボブの髪型で、目をつぶっていた。
肌は色白で、線が細い。唯一胸は大きい。
私が心配そうに彼女を見守っていると、急に彼女の目が開く。
そして、開いた二つの目の色が違っていた。
右が赤い目と、左が水色の目。オッドアイだ。
「あの……あっ。起きたのですね」
「……ここは?」
「ここは、宇野中邸です」
セーラー服を着替えずに、私は笑顔を見せていた。
「宇野中邸?どういうこと?」
「宇野中邸、三重分家です」
「あっ、ごめんなさい。すいません、ちょっと自分の……」
体を起こすと、その少女は何も着ていない。
彼女の大きな胸が見え、柔らかい肌が露になった。
「はあっ!」
「えっ、洋服着ていないですよ」
「そうか……」体を起こして、胸が見えた。
なんでこの人、こんなにおっぱいが大きいのだろうか。
迫力満点の胸が目にいって仕方ない。
「そういえば、お洋服を着せようと思ったのですが……」
「ああ、ここが王国でないのなら自分は洋服を着ることができない」
「王国?洋服が着られない?」
そういいながら、和室の奥には破けている布切れがあった。
私が着せようとして、なぜか全部破けてしまう。
まるで彼女の周りに、見えない風のバリアが張ってあるかのように。
「ああ、だから……」
そういいながら彼女は、頭につけていたヘッドドレスを外していた。
そして彼女はヘッドドレスを折り曲げると、ピンク色のコンパクトみたいなのが出てきた。
そして立ち上がると、彼女は真っ黒なメイド服になっていた。
黒いメイド服に、赤いリボン。シャツと、フリルは全て白い。
「メイド服が出てきた」
「はい、自分はここの世界ではありません。タマゴ王国から来ました」
「タマゴ王国?」
「申し遅れましたが、自分はハコベというものです」
「ハコベ?」私はメイド服になった少女を見ていた。
「はい、ハコベです」
「苗字は?」
「ありません」
ハコベはどこか、不思議なオーラを放っていた。
「困りましたね、あなたはどうして?」
「自分は、国を追われたのです。そうだ、私が抱き抱えたイースターは?」
「イースター?」聞きなれない言葉に、私は首をかしげた。
だけど、すぐにハコベは部屋の隅にある緑色のタマゴを見ていた。
「おおっこれだ、これっ」
ハコベが言うと、緑色のタマゴが動き出す。
よく見ると下の方はオレンジ色の模様も見えた。
「は、ハコベ様っ!」
「よかった、よかったぞ」
緑色のタマゴに、手足が生えてそのままタマゴがハコベの胸……いや腕の中に収まった。
そして、私は口を両手で押さえていた。
「タマゴが動いたっ!ついでに喋ったっ!」
私は声を上げて驚いた。
その表情を見て、ハコベも何故か驚いていた。




