049
ここは、四日市の学校近くにあるファミレス。
私は、ここに週三でバイトをしていた。
セーラー服から、ウェイトレス姿に着替えた私。
茶色のワンピースに白いエプロンは、お気に入りの制服だ。
そんなファミレスに、客として詰草さんが来ていた。
席に座り、私が接客するように立っていた。
「詰草さん、今日はありがとうです」
「こちらこそって、なぜファミレス?」
「今、シエルはバイト前ですよ」
私はバイト前でもかかわらず、あえて詰草さんをここに呼んでいた。
「バイト前って、何時からなの?」
「時間は六時からです、今は五時五十分なのでもう少ししたら仕事ですよ」
「それにしても、会長はなぜここに?」
「ここならちゃんと話せると思って、これのこと」
「……タマドルカード」
「うん」私が見せたのは、『メグッポ』という恵のタマドル名刺。
「なんで、詰草さんがタマドルになったかを?」
「ボクは……」そう言いながら、詰草さんがタマドルになった経緯を話してくれた。
「なるほど、詰草さんはわりと新しいタマドルなのですね」
「うん、だから友達もいなくて。
それに、このゲームはどう進めていいかもわからないし」
「難しいことはないですよ、要は楽しむものですよ」
「楽しむ?」
「はい、そうです。シエルは楽しんでいます」
私は笑顔を見せていた。
「そっか、シエルはいつも楽しそうだから」
「楽しいのが一番です……虎太郎が教えてくれたアニメもみんな楽しいですよ」
「それは、すごい意外。
虎太郎ってバンドでは硬派っていうか、かなりわがままだしあんまり好きじゃないっていうか」
「虎太郎いいひとですよ」
「そうなんだ」
詰草さんは感心した様子で、私を見ていた。
「でも、あの件以来ですね。こうして二人会って話すの」
「そうですね、詰草さんが歌を始めたのは意外でしたですし」
「意外って、そうかな?」
「そうですよ、詰草さんはあの時から変わっています。
今日の詰草さんは、とても魅力的でした」
私は単純に、詰草さんに感想を述べていた。
それは彼女を見て、彼女から感じたこと。
それが自然と、私の口から出ていた。
「会長……シエルだって随分魅力的だと思うけどな。
今は生徒会長でしょ、あの時から随分出世したよ」
「そんなこと、あるです」
「謙遜しないところは変わらないけど」
「ふふっ、そうですね」
私と詰草さんは、二人で笑っていた。
あ、詰草さんが笑った顔をこんな近くで見たの、やはりあの日以来だ。
「ねえ、シエルと詰草さん、もう一度友達になれないかな?」
「えっ?」
一瞬、詰草さんの表情が止まった。
急に私と詰草さんの空気が変わった。
「うん、いいよ。だけど、ボクのお願い聞いてくれる?友達として」
「えっ?」
私は首をひねって、詰草さんの言葉を待った。
「明日、来て欲しい場所があるんだ。いいかな?」
詰草さんは、そう言いながら少し照れていた。




