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それから放課後、私はグラウンドにいた。
グラウンドの高台で、バンドをしていた三人組がいた。
彼らの名は『ノットシステム』。昼間に私が許可をした三人組の学生バンド。
ベースを持った虎太郎と、もう一人の男が演奏する。その男の名を私は知らないが。
そして、中央には唯一バンドの女である詰草さんがいた。
その恵とは、ほんの三十分前に『ゲームセンターSOGO』で出会ったばかりだ。
私は、グラウンドで彼女たちの演奏を聞いていた。
彼女たちのライブは、人気があった。
二人の音楽が、かなり上達していた。
そして、なにより詰草さんの歌声は綺麗な声だ。
歌わなくても、それなりに可愛い声だけど歌うとボーカルの声だ。
生徒たちも、いや一部の外部の一般人もここに見に来ていた。
「ありがとう、ありがとう~」
マイクを持った詰草さんが、中央で手を振っていた。
踏み台を降りた詰草さん、それから虎太郎。
「お疲れ様です」
私はすぐに、詰草さんに駆け寄っていた。
歌ったのか、汗をかいた詰草さんが笑顔を見せていた。
「ありがと、会長」
「いえ、シエルは単にハンコを押しただけです」
「そうそう、俺が頼んだんだからな」
虎太郎が、なぜか胸を張っていた。
「むうっ、虎太郎はあまり関係ない」
「ははっ、いいじゃないか」
「こちらの方は?」
「ああ、隆聖。ボクら『ノットシステム』のリーダーだよ」
そう言いながら、ギターを持った細くて背の高い男を紹介する恵。
詰草さんの紹介を受けて、手を差し出してきた隆聖。
「初めまして、リーダーの隆聖です。よろしく……生徒会長」
「シエルでいいです」
私は彼の手をとった。バンド演奏で汗をかいていて、手汗がすごい。
「にしても、虎太郎って会長と知り合いだったんだね。意外だよ」
「ああ、ちょっとクラスも同じだしよ」
「はい、虎太郎は師匠です」
「し、師匠?」恵が首をかしげていた。
それを言われて、虎太郎が急に取り乱していた。
「ば、ばかっ!アニメの話はだな……一応バンドだし……」
「え?虎太郎はシエルにいっぱいコスプレを教えてくれました。
アニメや漫画、ロリコンのことも詳しく教えてくれましたよ」
「ふーん、そうなんだ」
私の言葉に、詰草さんがなぜか険しい目つきで虎太郎を見ていた。
虎太郎は、なんだか顔が引きつっているように見えた。
「あのさ、会長。ちょっとお話しない?
虎太郎のこととか、久しぶりにお話したいから」
「ええ、いいですよ。シエルも詰草さんにお願いがありますから」
「お、おいちょっと待てって、メグッポ、いや恵様っ!」
虎太郎があたふたして手を伸ばそうとするけど、私は詰草さんと一緒にその場を離れた。




