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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
四話:『シエル カーネーション』のタマゴアイドル:後編
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昼に許可を出して、私はずっと考え事をしていた。

虎太郎の持ってきた提案のせいで、全く手につかない。

それもそうだ、私は初めて見たのだ。


『タマゴアイドル』をやっている女の子を。

そして、イースターと一緒に契約をしている女の子を。

生徒会室に残り、私はずっとパソコンを見ていた。


「何を見ている?」

「イースターっ、聞いていたのか?」

ポケットに忍ばせたタマドルカードのイースターが、聞いてきた。

タマドルカードをポケットから取り出して、イースターに見せてみた。


「あれは間違いない。『タマゴアイドル』をやっている女の子、変身ができる。

コーデの種類は『ファストフローラル』の『ナースエンジェル』コーデだな」

「そうですね、取り立てて珍しい衣装ではない。

レア度もC(コモン)、普通の衣装です」

「『ノットシステム』に存在している、というわけか」

「はい、彼女は知っています」

「なら、話すのは簡単じゃないのか」

「でも……あの一件以来私たちは距離を置くようになったのです」

私は、バンドで歌っている少女を見ていた。


「『詰草 恵』、彼女で間違いないです。でも私は彼女に話すことができない」

「どうしてじゃ?」

「彼女だって、私と会うのを望んでいない」

「なぜそう言い切れる?」

「あの日の出来事が、そうさせた。臨海学校の苦い思い出」

「ふむ、じゃが初めて彼女がタマドルとして現れた」

いきなりイースターが、おかしな事を言ってきた。


「何を言いたいのですか?」

「彼女は、初めて見るタマドル……ということじゃ。

朕を川で拾って一ヶ月、お主の前に『タマドル』の女は現れたのか?」

「彼女が初めて……」

私は、ライブが終わったパソコン画面をじっと見ていた。


「お主もいい加減、限界を感じ始めたのではないか?

『タマドル』の進め方に、いやそれ以外にも勉強のこととかも。

明らかに、今のお主は行き詰っているように見えるぞ」

「……確かにそうです」私はタマドルカードをじっと見ていた。

キラキラ光るタマドルの自分『シエル』が、笑顔でポーズを取っていた。


「『タマドル』はな、『あたしはタマドル、トモダチもタマドル』じゃ」

「それはどういうことですか?」

「ゲームの筐体にちゃんと書いてあるぞ、このゲームのキャッチコピーじゃよ」

「そんなのあるのですか」

「うむ、お主にはトモダチが足りぬようじゃ。

今のお主は、誰か同じ仲間が必要ではないのか?」

イースターに言われて、私は胸に手を当てた。


あの時も、仲良くなりたかっただけ。

外国で、異国の地で、私は少女に声をかけられて一緒になれた気がした。


だけど、彼女はもういない。

いなくなって、私は孤立した。

結局、私の接点は彼女だけだ。

彼女がいなくなって、彼女が繋いだみんなバラバラになってしまった。

そんな私は、彼女たちに歩み寄ろうとはしなかった。

無意識に避けていた、逃げていた。


「イースター、私は少しだけわかった気がします」

「それはよかった。やはり友情、努力、お金じゃろ」

「それは違うですよ」

私は自然と笑顔になれた。



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