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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
四話:『シエル カーネーション』のタマゴアイドル:後編
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ここは生徒会長室、生徒会長のための部屋だ。

といっても、私一人の場所ではない。

会議室も兼ねていて、真ん中に大きなテーブルがあった。

もちろん、私はテーブルのど真ん中だ。

私の家には机自体無く丸テーブルだけなので、立派なテーブルは単純にありがたい。


私の好きなアニメだと、生徒会長は頭が良くて、スポーツ万能で、美形。

三本柱が揃っているのが、当たり前だけど現実は違う。

そもそも采女第三高校の生徒会長はこの私だ。

私に当てはまるのは、せいぜいスポーツ万能なところぐらい。

当然弱点は勉学だ。


「会長、なにしているんですか?」

「いや、勉強です」

私は勉強をしていた。

隣にいるのは副会長の三年生。『奥津 麦』は、副会長。

先輩ということもあり、奥津副会長と私は呼んでいる。


奥津副会長は、借り上げた短髪に、切れ目。

なんといっても奥津副会長は、いつもカメラをぶら下げていた。


「会長、もしかして試験あったんですか?」

「ううっ、大したことはないです」

「まあ、会長の頭の良さは、期待にしていないから」

「それってすごくひどくないですか?」

私が言うと、奥津副会長は苦笑いをしていた。


「でも、なんでみんな生徒会長になりたがらないんだろう?

こんなにいい机が支給されているのに」

「プレッシャーすごいからね」

「プレッシャーって、そんなにすごいのですか?」

私は、首をひねっていた。


「この学校の生徒会は、ほとんど推薦で決まるから。

会長が立候補で決まるのは珍しいらしいよ。

まあ、日本の学校はだいたいこんな感じだ。

責任を取るのが、嫌なのが日本人ってもんだ」

「責任を取るってどういう意味ですか?」

「そのままの理由、生徒会長はいろんな責任がかかるからな」

奥津副会長は淡々と話す。

そんな時、奥津副会長は私の方をじっと見ていた。


「それでも、会長をやってくれる人材は貴重だと思う」

「それはシエルを褒めていますか?」

「うん、褒めているか、けなしているか、判断は任せるよ」

「奥津副会長は、ちょっと意地悪です」

私はすねていた。すねたので教科書を見ていた。


「会長はなんの教科をやっているのだ?」

「数学です、抜き打ちテストで点が悪かったので」

「抜き打ちか、あの加藤先生か?」

「そうです。急に抜き打ちされて、私は残念な結果でした」

「加藤先生、抜き打ち大好きだからな。で、点数は?」

「35……ですよ」

私の言葉に、奥津副会長は苦笑いだ。

それに目をくれないで、私は教科書の問題を解いていた。


「数学かぁ、俺も苦手なんだよな。文系はまあそれなりに得意だけど」

「奥津副会長も苦手なのかぁ。会計の子は、得意だろうか?

会計は数学のスペシャリストだと、一般的に言われているです」

「会計は一年だよ」

確かに会計は一年生だし、書記は二年生だけど頭が良さそうに見えない。

しかも、会計の生徒はここにいない。


「そう考えると、一番会長が頭いいかもなっ!」

「奥津副会長の方が、頭よくないですか?」

「俺はダメダメだぞ。三年でも、成績は下位だぞ。

そんなことより、会長。今日の放課後、定例会議あるからわかっているよな」

「え?」私は一瞬忘れていた。

勉強しようと思った私の心は、一瞬にして崩れ去った。



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