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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
一話:『詰草 恵』のタマゴアイドル:前編
19/159

019

あれから四時間後、ボクらは小さなライブハウスにいた。

ライブハウス内は、あっという間に満タンになっていた。

今までにないぐらい、人が集まっていた。

そして、観客を舞台袖で見ていた。次はボクらの番が迫っていた。

だけど、ボクは不思議と落ち着いていた。


「なあ、客集まりすぎていないか?」

舞台袖から虎太郎が、少し声が震えていた。


「うん、ヤバイくらい」

「こんなにライブハウスは入るものなの?」

困惑気味の虎太郎が、震えた声で隆聖に聞いていた。


「違う……と思う」その隆聖も緊張している。

「メグッポがビラ配りするから」

はにかみながら、虎太郎が言ってきた。


駅前で、ボクがビラ配りを始めたら人が殺到した。

恐ろしい程の人の波を、ボクは目の前で初めて見ていた。

ビラがあっという間になくなり、さらにビラを求める観客。


これも変身の、神衣装の力なのだろうか。

ビラを急遽ほかの配っているバンドメンバーから頼んで、それらも全て配り終えた。

虎太郎と隆聖も、おそらく初めてなのだろう。緊張が顔に出ていた。


「これって、完全に俺たちメインだよな」

「そうらしい、ボードに『ノットシステム』って書いている人もいるし」

尻込みする二人を見て、ボクは大きく息を吐いた。


「大丈夫だよ。ボクらはやれる」

「メグッポ……」怯える虎太郎がボクを見た。

「いけるよ、今までずっと練習をしてきたんだから」

「そうだな……よし、気合入れっか。

これだけ注目されているんだ、これはまたとないチャンスだ」

「そうだな、俺たちの曲を聴いてもらえるチャンスだ」

隆聖の言葉に、虎太郎の迷いは既に消えていた。


そして、隆聖が差し出す手。

ボクもまた、隆聖の手に手を重ねた。


「『ノットシステム』、初ライブ成功させるぞっ!」

「おーっ」ボクと虎太郎の掛け声が響く。そして、一人の男がやってきた。

黒いスーツを来た、このライブ運営のスタッフの男性だ。


「では、まもなくライブの時間です。『ノットシステム』は……」

「はいっ」先に隆聖が進み、虎太郎が次に舞台へと向かう。

最後にボクがステージに向かおうとしたとき、男がボクを呼び止めた。


「ああ、君とは後で話がしたい。

夜八時に、ライブハウス上にある支配人室へ来てもらえるか?」

「え?はい」ボクは軽く返事した。そのまま、ボクは二人の待つ舞台に上がった。

ボクがステージに立った瞬間、ライブハウスは今日一番の歓声が地鳴りのごとく響いたのだった。



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