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~~カスタードーム:デュオ『ハコベ』『カスミン』~~
そこは初めて見るドームだ。
屋根があるステージに、多くのカクイドリ。
四方八方囲んだドームは、黒い目があちこちに光った。
あたしは、ぼんやりとしたまま隣のメイドを見ていた。
「邪魔をしないで」あたしは睨みつけた。
「あなた一人では無理」
「バカにしないでよ、あたしにはこのコーデがある。『エンジェルガール』コーデが……」
「カスミンはやはり私の邪魔をするのね」
ミーコは緑色のポンチョをかぶって、あたしを恨めしそうな目で見た。
その目は、どこか悲しげだ。
「あなたには、どうしても帰ってきて欲しいの」
「帰る?なんで帰らないといけないの?」
「ミーコ、あなたはあたしと一緒にいて……捕まって」
「捕まった?ああ、あの時はそうかもしれないわね」
「そうよ、ミーコはなんでこうなったの?」
あたしは明らかに、彼女の言葉に引っかかっていた。
「私はいつも私、ただそれだけ。じゃあ、ミーコ行くわよ。
あなたもすぐに、こちらに連れてきてあげるから。
そこにいる女王様と一緒にね」
「来るぞ!」ハコベというメイドが、低い声で叫ぶ。
そして、ミーコが手を広げるとカクイドリが動き出した。
「お前もライブしろ!」
「あたしに指図をするな」
ハコベの言葉に、あたしはただ立ち止まるしかなかった。
目の前のミーコは、かつてミーコをさらったカクイドリを操っていたのだ。