第10話 これがここでの日常
ダイン様と婚約した翌日のことである。
王宮からアリーセ宛に書簡が届けられた。
その内容は、アリーセを宮廷治癒師に正式に任命するというものであった。
それに当たり、王宮へと来てほしいとのことだ。
「王宮に来てほしいらしいです」
アリーセは陛下からの書簡の内容をダイン様に伝える。
「いつ来てほしいとか書いてあるか?」
「今日の夕方だそうです」
「分かった。では、私も一緒に行こう」
「ありがとうございます!」
アリーセは笑みを浮かべた。
まだ、王都に来て間もないので、土地勘があまりないので助かる。
「気にしなくていい。午後には仕事も落ち着く。なにしろ君を1人で歩かせたくはないからな」
ダイン様は前髪を弄りながら口にする。
「午後まで好きに過ごしているといい」
「わかりました。では、お庭をお散歩していますね」
「ああ、分かった。君にはメイドを付けるから何かあれば彼女に言ってくれ」
従者の1人のメイドを私につけてくれるという。
何とも至れり尽せりの待遇である。
「私は、書斎に居る」
そう言うと、ダイン様は立ち上がり書斎へと向かって行った。
「アリーセ様、お散歩なさるのでしたらこちらを」
アリーセのお付きになったメイドが真っ白な日傘を差し出してくれる。
「今日は日差しが強いので、アリーセ様の綺麗なお肌が焼けてしまいます」
「ありがとう」
アリーセは日傘をさして、お屋敷の庭に出る。
庭は綺麗に手入れされており、緑もあり綺麗な花が咲いている。
そこを歩くアリーセはまさにお姫様と形容するのが正しいと思う。
「あちらで、お茶会などもできますよ」
庭の一角に、お茶会用のスペースが作られている。
白を基調とした屋根で日差しも防いでくれるのだろう。
「では、機会があれば誰かとやりたいですね」
男爵家にいた頃からは考えられないほどの優雅な生活。
起きる時間も気にしなくていいし、誰かに怒られることもない。
のんびりと庭を歩いていると、それなりに時間が経過したようである。
「そろそろ、お屋敷に戻りますね」
そう言って、アリーセはお屋敷の中に戻った。
時刻はちょうどお昼を回ったくらいの時間である。
「アリーセさん、そろそろ王宮に行きましょうか」
お屋敷に戻ると、ダイン様が仕事を一区切り付けた様子だった。
「はい、わかりました。着替えてきます」
王宮に行くのにはもう少しちゃんとしたドレスではないといけないだろう。
「待ってますね」
アリーセはメイドに手伝ってもらって、着替えを済ませる。
そして、ダイン様が待っているリビングへと降りた。
「今日もよくお似合いですよ」
「ありがとうございます」
「では、参りましょう」
お屋敷を出て王宮への道のりを歩く。
数分で王宮に到着する。
ダイン様の顔パスで王宮内に入ると、王宮の従者によって応接間へと通された。
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