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我が家を社会科見学 ~やらかしピンク頭の実家を見てみますか~  作者: ロミ


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3/3

ピンク頭も、案外いいかもしれない

最終話です。

 


「・・・学園のますますのご発展を心より祈念して、答辞といたします。

 卒業生代表 アイザック・ルシルフル」


 会場から割れんばかりの拍手が送られた。







 王城の舞踏会会場で開かれる、卒業祝賀会。

 卒業生、在校生、その親達。だけでなくOBの先輩も出席し、主要な貴族が揃う大々的な舞踏会が開催される。




 舞踏会会場の扉が開いた。さあ入場だ。


 入場する卒業生の中で、ひときわ目立っているのが、答辞を読んだアイザック・ルシルフルのパートナー。

 ピンク頭にアイザックの目の色と同じ、スカイブルーのふんわりドレスを着こなしたナナ・クルーガ男爵令嬢。私である。


「あのピンク頭は、クルーガ男爵家か」「なぜ、アイザック様と一緒に並んでいる」「アイザック様もピンク頭の毒牙にかかったか」

 会場中がざわめき、驚きと、疑心に満ちた眼差しが私に送られる。


 私は、おもわずアイザック様がエスコートする腕をぎゅっと握った。

 視線が刺さる。誰も味方のいない闘技場へ連れ出されている気分。


 アイザック様は、力の入った私の手に右手を乗せ、ポンポンと叩いた。


 そうだ、今日は、モロウ侯爵家を断罪する日。このために、理不尽な日々を乗り越えて来たんだ。

 私はその場で立ち止り、深く深呼吸。


「すー、はー」


 もう大丈夫。背筋を伸ばし、真っ直ぐアイザック様を見上げる。


「流石だね。それでこそ俺の婚約者殿だ」


 私達は、二人で前を向き、堂々と舞踏会会場(闘技場)へ降り立った。






 アイザック様とのファーストダンスも無事に終え、事前の計画通り、私は1人で立食コーナーを物色中。


 予想通り、赤い縦巻髪に、アイザック様の目の色と同じスカイブルー色のマーメードドレスを着た、モロウ侯爵令嬢が私に近づいて来た。



 パシャ。

 私のピンク頭に、赤いワインがかかる。


「ごめんなさい。くすんだピンク頭が気になって、手が滑ってしまったわ。

 もう少し赤い髪の方が良いんじゃないかと思ってね。手伝って差し上げましたの。

 だってピンク頭って愚か者の象徴でしょ」


 私は、顔に流れてくる赤ワインを手で払いながら、相手を見据えた。

「ごきげんよう、私はナナ・クルーガ男爵令嬢です。私に何か御用ですか」


「アイザック様に媚びを売って取り入るなんて、姉もあばずれだったけど、妹も妹ね」


「私は、媚など売っていません。正当な権利です」


「気取っても遅いわ。あなたの股のゆるさは有名よ。

 学園でも、複数の男子生徒と如何わしい事をしてるそうじゃない。汚らわしい。

 くすんだピンク頭は、股のゆるさまで遺伝するのかしら」


「私は、如何わしい事は、一切していません」


「しらを切っても、調べは付いてるのよ。アイザック様もこんなピンク頭のどこがいいのかしら、私の方が美貌も家の格も上なのに・・・くすんだピンク頭が好みなのかしら。」


「アイザック様は、赤い縦巻髪より、ピンク頭が好きですよ」


「フン。こんな娘がいるクルーガ男爵家の社会科見学は、中止にした方が良さそうね。

 あなたの母親もくすんだピンク頭でしょ。股のゆるさが遺伝するなら母親からかしら、見学する学生の身が危険にさらされるわ」




 ブチン!



 母親を侮辱され、私の中で、何かが切れた。断罪計画なんてクソくらえ。


 私は、近くにあった、ビーフシチューの鍋を頭からかぶった。


「ほら、これで私の髪は、茶色。あなたが執着するくすんだピンク色じゃない。アイザック様が、くすんだピンク頭をご所望なら、あなたが代わりになればいい」


 私は、近くにあった、クリームシチューを、モロウ侯爵令嬢の頭の上にぶちまけた。


 クリームシチューで赤い縦巻髪だったモロウ侯爵令嬢の頭は、くすんだピンク頭へ


「なにするのよ!」

 鬼の形相のモロウ侯爵令嬢。近くにあった骨付き肉を掴み、私に殴りかかった来た。


「あんたが、始めに仕掛けて来たんだろ」

 私は、近くにあったケーキをわしづかみ、モロウ侯爵令嬢の顔に塗りたくる。


 私達二人は、立食コーナーのテーブルをぶちまけ、食べ物にまみれ二人ともグチャグチャになりながら、取っ組み合いの喧嘩をしている。






「親父、止めなくていいのか、計画はどうする」

 アイザックは、ルシルフル辺境伯へ問いかける。


「ハハハハ。何故止める。最高じゃないか。

 ナナは、小さいころからずっと我慢してきたんだ、自分のじゃない責任に。ピンク頭の呪縛に。

 その元凶と、取っ組み合ってる。止める事ができるか?」


「・・・できないな」


「だろ、このまま気が済むまでやらせよう。

 断罪計画は狂ったが、うまく行くだろう」








 ◇◇◇






 後日。

 私は、卒業祝賀会をぶち壊した事について事情聴取を受けた。


 確かに、私は赤い縦巻令嬢にクリームシチューをぶちまけたが、先に私に赤ワインをかけたのは相手だった事により正当防衛。

 しかも、赤い縦巻令嬢は、私に名乗っていないので知らない人。身分も知らないので不敬にはならず、しかも私は未成年。厳重注意で終わった。


 一方、モロウ侯爵令嬢の主張は、私がアイザック様を誘惑している。あの騒動は、迷惑しているアイザック様を助けたい一心だったと話すが、私は正式な婚約者。

 第三者が口出す事ではない為、理由は通らず、暴行と侮辱罪で、貴族専用牢屋に入れられた。

 釈放されるには、多額のお金と、身の潔白が必要。

 そこで、ルシルフル辺境伯は、今まで集めたモロウ侯爵家の悪事を全て提出。


 悪事の中には、人身売買や、他国へ我が国の情報を漏らすスパイ行為などもあり、協力した貴族も巻きもみ大捕り物となった。








 ◇◇◇







 悪事を働いた貴族が淘汰され、開いた席に入り、男爵からクルーガ子爵となった。

 領地だった広大な農地は、我が家に返却され、今、ルシルフル辺境伯領と繋がる道を開拓中。

 その指揮をとっているアイザック様は多忙だけど、私に会いに1週間に1回は子爵家を訪れる。


「アイザック様、いらっしゃい。

 今日は、アイザック様の好きな、芋まんじゅうを作りました。

 天気が良いし、中庭で食べましょ」


「ああ、ナナが作った芋まんじゅうは旨いからな、楽しみだ」


 アイザック様は、私のピンク頭を愛おしそうになでた。

「うふふ。ピンク頭も案外、いいかもしれない。」











挿絵(By みてみん)

白河・DG・夜舟様より頂きました

キャットファイト!


 おしまい。




お付き合い下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
 ロミさん、こんにちは。 「我が家を社会科見学 ~やらかしピンク頭の実家を見てみますか~ ピンク頭も、案外いいかもしれない」拝読致しました。  卒業祝賀会。  これは、婚約破棄宣言の会場でもある…
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