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夢路

 時刻は23時を回ったころだっただろうか。大人の目を盗んで家を抜け出し、兄と裏山の方に行った。目的地は山の麓の池。寝静まった街を兄に手を引かれ歩いていく。その池は、心霊名所(スポット)として有名なところで普段から人が寄り付かず、一般乗用旅客自動車(タクシー)でさえも避けると言われていた。本当は行きたくないが、兄に見せたいものがあると強制的に連れ出された。歩いて20分弱で着いた池の周辺に街灯はなく、暗闇に包まれていた。

 そして兄が見せたかったものは白い花、それと―――――だった。


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