表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/13

彼らの正体 〜カイザー編〜


 未だわたくしをガッチリホールドしているルベルトの腕の中で、わたくしは何度も瞬きを繰り返す。

 すると、ルシフェル様はおもむろにイケメン3人組に向き直り、胸に手をあてて――恭しく頭を下げたではありませんか!

 いくら王位継承から外れているとはいえ、仮にもこの国の第一王子です。王族の方がそう無闇やたらと誰にでも頭を下げるものではありません。

 驚きに目を見開くわたくしに、ルシフェル様はその形のいい唇をゆっくりと開き、こう言いました。


 「獣人族の中でも賢狼と誉れ高い王家の血を引かれるギルベウス殿」


 灰色の髪に紅い瞳の青年が短く息を飲み。


 「精霊に愛された、知恵と長寿の象徴であるエルフ族の若き長、ユアン殿」


 ミステリアスな水色の色素を持つ青年は『おや?』と器用に片眉だけあげ。


 「そして――誰よりも気高く、神をも恐れぬ存在、各種の頂点に君臨する竜族の末裔、カイザー殿」


 最後の彼は無反応ですが……まさか古代種の中の竜族だったなんて……。

 下手に刺激したり、不興を被れば最後、あっという間に世界を滅ぼすことが出来ると言われているあの危険種でしたか……。


 ……あっ……。


 そ、そういえばわたくし……先程心配する彼を無視して、強引に前へと躍り出ましたわね……?


 や、やばばばばばばばば……!!

 どうせならルベルトに抱きつかれた際、あのまま気絶してた方が良かったかもしれません……!


 内心恐慌状態のわたくしを尻目に、ルシフェル様は続けます。


 「この度は我が弟の浅はかな愚行を咎めてくださっただけでなく、こちらのルシエラ嬢を身を呈して守ってくださり、深く感謝致します。彼女は私の忠臣であるルベルトにとって大事な妹君であり、また、私にとってもかけがえのない姫君、感謝してもしきれません」

 「私からも感謝致します。本当にありがとうございました」


 王族であるルシフェル様が優雅に礼をしている傍らで、わたくし()の肩を抱いたまま口だけお礼を述べる臣下()ってどうなんだろ……?

 礼儀が欠けてるって思われない?常識的に考えて。

 すると、無表情だったカイザー様の口元がわずかに緩み、笑みらしい笑みを浮かべた。


 「面をあげてくれ、純人族の王子。私はただ、幼い頃に私の命を救ってくれた恩人が謂れなき罪に問われるのを黙って見過ごすことが出来なかっただけだ。もっとも、彼女の方はそのことをすっかり忘れてしまっているようだが」


 彼はそう言うと、わたくしの方に顔を向けて菫色の瞳を優しげに細めた。



 えー……。

 もしかして……。

 まさかですけど……。



 あれはそう――わたくしが前世の記憶を思い出して間もない頃でしょうか。


 『ここが例の乙ゲーの世界なら、あたしも魔法が使えるってことだよね!?ヒャッハー!どんなもんか試してやんよ!』


 とかいきり立って、卵型のオレンジ色をしたジェムストーンを使ってテレポートした時のことかしら?


 とにかく人気の少なさそうな場所を頭の中でイメージして跳んだ場所は、木々が鬱蒼と覆い茂った森の中。

 その時たまたま視界に入り込んだ光景が、黒づくめの魔女らしき人物に尻尾を掴まれ問答無用で引きずられて行く、金色の鱗を持ったトカゲっぽい生き物だったんですよね。

 トカゲらしき子はとても傷ついており、尖った嘴の奥から「キュー!キュー!」と掠れた声をあげているではありませんか。

 その鳴き声がなんとも悲痛な色を宿していた為、『これアカンやつや!』と悟ったわたくしは、咄嗟に「まだ小さい子に何してんだあああぁ!!」と激情に任せて手加減なしの攻撃魔法をぶっ放しました。

 黒づくめの人物は予期せぬわたくしの強襲をまともに喰らい、あえなくダウン。大人だし自力でなんとかするだろうと思い、わたくしはその人ままの状態で放置し、トカゲの子を救出。

 救出優先で後のことを考えていなかったわたくしは、傷ついたトカゲの子に回復魔法をかけるほどの魔法力が残っていませんでした。

 仕方なく髪を結んでいた白地のリボンで手当てをしてあげて、そのまま森の中でさよならをし……。




 ――え?リボン?




 そういえば……彼の首にはやや色褪せた、でも白色だと分かるリボンが括られていたような……?

 

 わたくしが恐る恐るカイザー様を見ると、彼は明らかに喜色の笑みを浮かべました。

 途端、野次馬の中から場違いな黄色い声が上がったのはあえて無視です。


 「ようやっと、思い出してくれましたか?」

 「う、うそ……ほ、本当に……あの時の……?」


 まさかあの時助けたトカゲの子が、実は竜族だったなんて!

 あまりに強大過ぎる力ゆえ、どの種族とも交流を持たず、絶滅の一途を辿っている孤高の種族だったなんて気付けるはずがありません!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ