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『精霊の舎(いえ)』  作者: 弘せりえ
28/55

精霊の舎-28

 カイに出会って6年後、マギは

創造者の魂としてはっきり目覚めた。

 しかし、カイはあくまでマギの

情熱の源であるに過ぎず、直接的な

関係というものがまるでなかった。


 ホンナは思考の中で、目を凝らす。

なぜ、二人は結ばれなかったのだろう。

かつての人生で、幾度となくそうであったように

恋に落ちる事はないのだろうか。


 ああ、と、ホンナは目を細める。

マギの糸とカイの糸がもつれている。

本来なら、この糸をきちんと操るものがいるのに

放り出されたまま複雑に絡み合い、

あらぬ方向へとひっぱられている運命の赤い糸。

へたをすると、切れてしまいそうで

気が気ではない。


― この糸は、誰によって操られて

いるんだろう?―


 ホンナは試しに、少し前のマギの人生に

戻ってみる。

 マギが青年で、カイが少女の人生。

そこに一人の老人がいて、二人の糸を

操っているのがわかった。


 ホンナは一瞬、息が止まった。

二人をつないでいるのは、何と、

人間だったホンナ自身なのだ。


 その時、ホンナの思考がパーンと

音を立てて、炸裂した。

 思わず目を覆って、しばらく、その

目の眩むような衝撃に耐えていたホンナが

やっと目を開くと、そこには、あの、

親しい精霊の姿があった。

            続


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