精霊の舎-10
「二人がどうしても結婚する運命であれば、
そうかもね」
マギの興奮ぶりに対して、ホンナは
さらりと答えた。
マギは憤慨する。
「だから、その運命とやらが、どういうつもり
だったのかを知りたいの」
「・・・こういうことさ。彼は18歳で死に、
マギは一生独身で過ごした。
二人を結婚させるつもりなんて、さらさら
なかったのかもよ」
マギは、隣に横たわるホンナを見つめて
言った。
「ひどい人ね。まるで運命が私の勘違いを
あざ笑っているかのような言い方だわ」
ホンナはマギの髪に触れて言った。
「運命なんかにあざ笑われるマギじゃないだろ。
君は、創る者なんだ。運命さえも」
「でも、私の過去生は、事実として存在
している。
ねぇ、答えて。私とイアンはどういう
関係だったの?」
ホンナは、もう一度、ため息をついた。
「・・・何億年に一度、すれ違う、
彦星と織姫みたいなもんさ。
でも、勘違いしないで。君たちは永遠の
恋人なんかじゃない。
気の遠くなるようなサイクルで
何度か出会う、顔見知りの魂であるだけで、
かつて互いに立ち止まったことは
一度もない。
イアンの魂にはイアンの、マギの魂には
マギの同胞がいて、でも、ただ・・・」
「ただ、すれ違うばかりの・・・?」
「過去においてはね。
私の知る限りでは、君たちが過去で
すれ違ったのは十数回、でも、必ず
どういう形にしろ、見事にすれ違う。
君が生まれる瞬間に彼が死んだり、
本当に道ですれ違うだけの人生だったり。
だから、君たちが立ち止まって、互いに
見つめ合った時、どうなるのか・・・
結婚するのか、それとも世界が滅亡したり
でもするのか、それは君の想像に任せるよ。
でも、こんな風にすれ違う魂は、
そう珍しいものじゃない。
数十回もすれ違って、やっと結ばれる魂も
あれば、百回すれ違っても巡り合わない魂や、
もっとヒドイのなんて、千回目に出会って、
ケンカして終わるだけのものもある。
・・・イアンがマギにとって、どういう
魂なのかは、君自身が決めなくちゃ」
続




