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世界ログ:観測者ゼロ  作者: Y.M
第1章

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「ログ改変」

目の前の魔獣が咆哮する。


黒い牙。


血の匂い。


鋭い爪。


だが、


神代レン


の視界には、

それより別のものが見えていた。


赤い文字。


空中に浮かぶ、

“未来の記録”。


【対象:魔獣】


【次行動予測】


・0.8秒後:右前脚で攻撃

・1.2秒後:噛みつき

・2.4秒後:左方向へ跳躍


「……見える」


レンは息を呑む。


頭痛は酷い。


視界もぼやける。


だが、

理解だけはできた。


これは、

ただ未来を見る力じゃない。


“未来を記録したログ”


だ。


魔獣が動く。


右前脚。


レンは反射的に身体をずらす。


風圧が頬を裂く。


「うおっ!?」


次の瞬間、

噛みつき。


これも避ける。


完全に見えている。


だが。


避けるだけじゃ、

勝てない。


「くそ……!」


背後では、

村人たちの悲鳴が続いている。


炎。


崩れる家。


血。


ルカの姿も見えた。


恐怖で動けなくなっている。


このままだと、

本当に死ぬ。


その時。


再び、

赤いウィンドウが開いた。


【ログ改変】


【対象行動を修正可能】


レンの鼓動が止まりそうになる。


「修正……?」


文字の下に、

一本の線が表示される。


【1.2秒後:噛みつき】


その文章だけが、

淡く光っていた。


まるで、

「ここを書き換えろ」

と言わんばかりに。


「……できるのか?」


レンは震える指を伸ばす。


触れた瞬間。


大量の情報が流れ込んだ。


頭が焼けるように熱い。


【改変には代償が必要です】


【精神負荷を確認】


【警告:適合率低下】


意味は分からない。


だが。


今やるしかない。


レンは、

赤い文字をなぞった。


【1.2秒後:噛みつき】



【1.2秒後:転倒】


次の瞬間。


世界が軋んだ。


バキッ――!!


空間そのものに、

ヒビが入る。


魔獣が突然バランスを崩した。


「ギャア!?」


地面へ転倒。


牙が逸れる。


「え……?」


村人たちが目を見開く。


レン自身も驚いていた。


本当に、

未来が変わった。


だが。


同時に。


頭の奥へ、

激痛が突き刺さる。


「がっ……!?」


視界が赤く染まる。


耳鳴り。


吐き気。


脳が拒絶している。


すると。


空中に、

新たな文字が浮かんだ。


【世界整合性エラー】


【因果改変を検知】


【修正を開始します】


嫌な予感。


次の瞬間。


転倒していた魔獣の身体が、

異常に膨れ上がった。


「なっ……!?」


骨が軋む。


肉が増殖する。


赤い目が増える。


一体だったはずの魔獣が、

巨大な怪物へ変貌した。


村人たちが絶叫する。


「う、うわああああ!!」


レンの背筋が凍る。


理解した。


世界は、

改変を許さない。


未来を変えるたびに、

“修正”が起こる。


つまり――


無理やり辻褄を合わせてくる。


怪物が咆哮する。


轟音。


圧力だけで窓ガラスが砕けた。


【脅威判定:B+】


赤文字が更新される。


さっきより、

遥かに危険。


「ふざけんなよ……!」


レンは歯を食いしばる。


助けようとしただけなのに。


なんで、

世界そのものが敵みたいになってる?


その時だった。


突然。


空から、

銀色の何かが落ちてきた。


ドゴォォン!!


地面が砕ける。


土煙。


魔獣が吹き飛ぶ。


そして、

煙の中から現れたのは――


銀髪の少女。


白いコート。


蒼い瞳。


巨大な剣。


彼女は静かに立ち上がった。


村人たちがざわめく。


「観測騎士だ……!」


「王都の……!?」


少女は、

真っ直ぐレンを見る。


そして、

冷たい声で言った。


「あなた」


「どうして“ログ”を使えたの?」


レンの心臓が止まりそうになる。


知っている。


こいつは、

知っているんだ。


この力のことを。


少女は剣を構える。


その瞳には、

警戒と敵意が宿っていた。


「答えて」


「あなたは、“何者”?」

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